おいしさを再発見できるパン - BEAVER BREAD - ブランスリー電子版

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お店拝見/2018年12月号

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おいしさを再発見できるパン - BEAVER BREAD
パンにぎゅっと囲まれる感じと、穴にもぐる感じを出すため、売り場の天井をわざと低くした
同店の創設者、割田健一さん
「ビーバーブレッド」の外観
「クリームパン+リコッタ」(税込250円)は、フィリングに、カスタードクリームだけでなくリコッタチーズも使用しており、生地にフランス産の赤唐辛子が練り込まれている
「クリームパン+リコッタ」の断面
日本のパンを自分なりのアレンジでつくり込む

 「クリームパン+リコッタ」(税込250円)や、「カカオニブメロン」(税込280円)といった、クリームパンやメロンパンなどの日本発祥のアイテムに、独自性溢れるアレンジを効かせた商品が並ぶのは、東京・中央区に昨年11月、オープンした「BEAVER BREAD(ビーバーブレッド)」の店内だ。
 形は定番のグローブ形だが、真ん中にカシューナッツがトッピングされ、異彩を放つ「クリームパン+リコッタ」は、カスタードクリームだけでなくリコッタチーズも入っており、生地にフランス産の赤唐辛子が練り込まれている。セルクル型を使って焼き上げた、横から見るとキノコのような形の「カカオニブメロン」は、クッキー生地にチョコチップではなく、カカオニブが入っている。
 「リコッタチーズを合わせることで、白ワインや甘口のロゼと合いそうとか、ナッツの油分を加えることで、これから冬に飲みたくなる赤ワインを連想させるのでは、などと考えて作りました。『カカオニブメロン』は、ふわふわで、ぐしゃっとした食感にして、チーズを彷彿とさせる、なめらかな食感をイメージしています」
 こう話すのは、これらの商品を誕生させ、自らの肩書きを「創設者」とする割田健一さん。同じ中央区にある「ブーランジェリーレカン」で、シェフを7年間務めた後の新店開業となった。
 「パン作りを約20年続けてきましたが、日本人なのに、日本に昔からあるあんぱんやクリームパンを作ってきませんでした。そして、食べようとも特に思わず、食べる機会もほとんどありませんでした。自分に限らず、大人になると、その傾向が強いかと思います。でもたまたま、子どもの食べ残しがあって、よく意識して食べてみると、おいしく感じたりすることがあったんです。このように、お客様にもおいしさを再発見してもらいたいという思いと、パン職人としてまた違うものが見えるのではないかという期待を持って、日本のパンを自分なりに作り込んでみようと思いました」(割田さん)
 大人向けであることを分かりやすくアピールするため、「クリームパン+リコッタ」のように、アルコールとの相性の良さを考えて開発しているという。
 「日本のパンは良い意味で進化してきませんでした。だからこそ、独特のビジュアルや食感のバランスの良さは、日本のパン独自のものとなったのだと思います。クリームパンのグローブ形の切れ目から、クリームが溢れてくるんじゃないかとドキドキさせてくれるようなユニークさとか、カレーパンの両端がとがっていて、あんぱんは丸形という風に形が大体決まっているところとか、面白いですし、それぞれに意味があると思っています。その辺を考えながらアレンジしていくと、色々なことに気付かされますし、無限の可能性も感じます。例えば、『フランス風』などと、何かテーマを決めれば、クリームやトッピングなどのアレンジが広がります。どこまで膨らますことができるか、考えると楽しいですね」(割田さん)



クッキー生地に、チョコチップではなく、カカオニブが入っている「カカオニブメロン」(税込280円)
「カカオニブメロン」の断面
「クロワッサン」(税込250円)は中を半生に近い焼き加減に調節する
「クロワッサン」の断面
カスタマイズするように改良を繰り返す

 割田さんは日本のパンだけに限らず、あらゆるアイテムについて、深く考えてつくり込む姿勢を持っている。
 例えば、「ディンケルとレモンのフォカッチャ」(税込280円)は、通常一日経つとパサついてかたくなってしまうフォカッチャの弱点を克服しようとして開発した商品。生地にバターを練り込み焼き上げ後、オリーブオイルをたっぷり塗り、時間をおいて再度オリーブオイルを塗ることでしっとりさせた。
 他店でも根強い人気の塩パンだが、同店の「塩パン」(税込150円)は、焼成時に生地から流れ出てしまうバターを、できるだけ無駄にせず、パンが再吸収できるように、器型の焼き型に入れて焼き上げるというひと手間をかけている。
 「クロワッサン」(税込250円)は開業後数カ月で製法を変えた。
 「クロワッサンは、バターと小麦粉を食べさせるためのパンだという考えを持っていて、そのことをもっと表現できたらという思いで改良しました。三つ折り三回を四つ折り二回に変えたのですが、工程の省略化にもつながりました。どの商品についても、カスタマイズしていく感じで、改良を続けています」(割田さん)
 外側はサクサクで、しっかりと焼けている。それに対し、中は半生といえるくらいにしている。
 「バタートーストの、バターがたっぷりと溶けている部分っておいしいですよね。そういうバターのおいしさが楽しめるような、焼き加減を考えています」(割田さん)



「塩パン」(税込150円)は型を使って焼成する
「塩パン」の断面
厨房の窓から店内と外が見える
街づくりの観点から考えた立地

 立地は昔からの問屋街の一角で、同店の面する通りは日中でも日が当たらず、元々ひとけも少なかった。
 「近年マンション建設が進んでいて、住民も増えているのですが、住む町としては発展途中と言えるところで、パン屋もありませんでした。ないところに必要なものをつくるという、商業として大事な部分と、パン屋ができたら、どう変化していくんだろうという、街づくりの観点から考えて、この立地に決めました」(割田さん)
 開業後明らかに通りの様子が変わった。日が当たらないのは相変わらずだが、来店客の効果で、人や自転車がよく通るようになった。店前が待ち合わせ場所に使われるようにもなるなど、常に人が絶えない場所となった。
 「人の流れを変えることができ、活気を生むことができた点でやりがいを感じています」(割田さん)
 開業から半年後、厨房を拡大した。手狭になったタイミングで店舗の2階が空いたので、「クロワッサン」の折り込みや焼き菓子の包装をするための場所として新たに確保した。
 「売上げも順調で、これから焼き菓子なども増やしていきたいと思っています」(割田さん)

SHOP DATA
店名:BEAVER BREAD
住所:〒103−0004 東京都中央区東日本橋3-4-3-1F
電話:03‐6661‐7145
営業時間:午前8時〜午後7時(土曜、日曜、祝日は午後6時まで)
定休日:月曜日
品揃え:パン約70品目
スタッフ:製造常時8人、販売常時3人
店舗面積:厨房(1、2階合わせて)16.8坪、売り場2.7坪
日商:30〜50万円



この記事の読みどころ

●日本のパンについて様々な角度から考察し、深い理解を得た上で、独自の解釈を加えた商品開発を実践。
●一つ一つの製品について、テーマや目的を明確に設定し、それを実現するための製法を徹底的に追求する。
●店の存在が、街のあり方を変えるきっかけになっているという実感が嬉しい。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。

原価計算女王
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