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| 特集/2018年12月号 |
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| ベーカリーのブランディング第2弾
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高輪本店の開業時と比べ、昨今の日本では、フランスの伝統的製法で作るベーカリーの数は増え、ルヴァンの認知度も断然上がってきた。「おいしいパンが身近にある生活」へと着実に歩みを進めている。 「当社として、新たな段階に進むにはどうしたらいいか。パン作りに関しては、日々追求していることですし、劇的に味が進化することはありません。そこで、パンという枠を持たず、広く食事として捉え、当社ならではの方法で提案していこうということになりました。食事を提案していくに当たって、当社にはパンがあり、そのパンを活用していこうとする考え方です」(木村寛さん) 昨年9月、同社は新ブランドとして、銀座一丁目のオフィスビルの一角に「アンドコーヒーメゾンカイザー銀座一丁目店」を開業した。コーヒーと、店内で焼き上げるパンを使用したサンドイッチを楽しめるカフェだ。パンを店内で焼き上げているものの、あくまでコーヒーを主と位置付けるため、店名は、コーヒーの後に「メゾンカイザー」が続くようにしたという。 「サラリーマンや旅行者の多い立地で、特にニーズの高いのがコーヒーを扱う喫茶店やカフェです。店づくりは、利用者にとって、使いやすい形であることを念頭に置き、当社の技術と材料をどう活かすかを考えて行いました。そして、数ある店の中でも、コーヒーがおいしいことはもちろん、一番おいしいサンドイッチを提供できる店にしたいと思いました。『パン屋のやるコーヒー屋』というのを紹介したいという気持ちがありました」(木村寛さん) コーヒーの味については、人によって好みが分かれるところだが、「パン屋のやるコーヒー屋」として、パンとの相性の良さを第一に、同社のフランス人のブーランジェが厳選した。 提供するサンドイッチには、同社の看板商品である「クロワッサン」(税込216円)を使用している。サンドイッチのほか、デニッシュ食パンを使用したメニューもある。同メニューは、スライスし、具をのせてピザのようにトーストしたものや、クリームを絞り菓子パン感覚で食べられるものだ。 「バターをたっぷり使ったパンとコーヒーの相性の良さを、楽しんでいただけるメニューにしています。クロワッサンを食べて、コーヒーやエスプレッソで口をリセットするという、フランスの日常と言えるような形です」(木村寛さん) コーヒーを主体にしているが、パンを店内で焼いている様子は、外からも見えるようにしており、自然とパンに目が奪われるような造りとなっている。普段コーヒーだけで済ます人や、パンを食べる習慣のない人などを取り込んでいきたい考えだ。 食事パンの楽しみ方を実践できる店も 昨年は「アンドコーヒーメゾンカイザー 銀座一丁目店」に続き、パンをビュッフェ形式で食べられる「メゾンカイザーテーブル 三軒茶屋店」をオープンした。食事パンの楽しみ方を伝えてきた同社として、「メゾンカイザー」とはまた違うやり方で、食事パンの魅力を提案する。 「ご飯食のお膳なら、おかずは何種類かあっても、出されるご飯は何種類もある訳ではなく、一種類ですよね。ところが、パンの食卓だと、例えばおかずがステーキなら、バゲットや食パンなど色々な種類のパンが添えられても自然です。フォンデュであれば、バゲットに飽きたらトマトを練り込んだパンに変えると、味が変わって楽しいと思います。会話をしながら、色々なパンをスライスしてシェアして、一度の食事でそれらが楽しめるのが、食事パンの良さだと思っています。新業態の『メゾンカイザーテーブル』には、こうした食事パンの楽しみ方を、実践していただきたいという願いを込めています」(木村寛さん) 店名:メゾンカイザー 高輪本店 住所:〒108−0074 東京都港区高輪1−4−21 電話:03‐5420‐9683 営業時間:午前8時〜午後8時 定休日:なし 品揃え:パン約40品目、サンドイッチ(ピザ、キッシュ含む)約10品目、パティスリー(タルト、焼き菓子など)約20品目 スタッフ:製造常時3人、販売常時3人 店舗面積:厨房15坪、売り場22坪 日商:平日40万円、土日祝日60万円 | |||||||||||||||||||

| 日本の製パン技術で本物のフランスのパンを日本で作る - ポール | |||||||||||||
フランスの老舗ベーカリー「ポール」のフランチャイズ店として日本で全国展開するベーカリー「ポール」。運営は、レアールパスコベーカリーズ(東京・目黒区)だ。現在の多店舗展開を始めた「ポール」の歴史は2001年12月に始まる。黒を基調としたイメージカラーと、コントラストの強いフランス語の店名ロゴが印象深い同店は、一目見て消費者に高級感をイメージさせる店舗デザインだ。また、店内は高級感の期待に応える本格的なフランスパンが並ぶ。1991年に名古屋の松坂屋で開店したポールを含めれば、28年の年月を数える中、そのブランドイメージは消費者に浸透したとみられる。しかし、2001年の八重洲店開業当時、バゲットは「売れない商品」と位置付けられており、主力商品として店の売上を支えるとは考えられていなかった。その時代背景の中、どのようにポールがブランドを確立し成長し続けているかについて、製品開発部チーフの大久保実さんは「弊社の現顧問であり前社長の牧野隆英が『日本のフランスパンの歴史を変えよう』と決意して、2001年より、新たなポール事業は始まりました。それまではドイツ人やフランス人のパン職人が日本に伝えた若干、日本風にアレンジされた外国のパンが主流でした。しかし、同時期、日本の技術者が日本風にアレンジされてない本物のフランスパンを作り国内の消費者に届けて行く段階に来ていると、製パン業界も意識していたようです」と振り返る。 同社が多店舗展開を開始した頃に、いわゆる「ブーランジュリー」と呼ばれるフランスパン専門店が次々オープンしている。同年にメゾンカイザーが、約2年後にヴィロンが、それぞれオープン。 「メゾンカイザーさんとヴィロンさんは、競合でもありますが、リスペクトしていますし、志が近かったのではないかと考えています」と大久保さん。 ポール、メゾンカイザー、ヴィロンの3社は、共に代々続くベーカリーを背景に持つ。そこに共通の「志」があったと大久保さんは見ている。日本のパン食文化の歴史の中で、フランスのパンが日本で作られるようになり、パン職人達や一般消費者もフランス現地のパンの味を知るようになった時期だった。 「当時のパン職人の方々も、フランスのパンと日本で作られるフランスパンが違う事はわかっていたそうです。そして、フランスのパンを日本で再現するためには、使いこなすのが難しいフランス産の小麦粉を使わなくてはならない事など、クリアすべき課題が多い事も念頭にあったことでしょう。どの課題を考えても簡単な事ではありませんでした。それでも、弊社は日本の製パン技術で本物のフランスのパンを作り日本で提供する事に舵を切りました。それが弊社の考える志のひとつです」と大久保さんは話す。 ポールと、同時期に開業したフランスパン専門店が次々と好評を得て、人気を博し、ハード系のパンが消費者の多くに知られ、買われるようになった。フランスパンは日本の食文化の日常になっていった。 その中で、商品単価が相場よりも高い高級志向のフランスパン専門店というカテゴリーに参入するベーカリーも多かった。約20年もの間、このコンセプトを貫いたポールと、別の道を選んだベーカリーとの違いについて大久保さんは、「消費者の認知度が上がったとはいえ、ホールセールや街の一般的なベーカリーと差のある値付けをして高級志向のスタイルを維持する難しさに挑戦し続けるかどうか」だと見ている。 「安価なパンや、高級志向ではない身近なパンを求めるお客様の声は我々も存じております。そこで自分達のスタイルを崩さずに継続する事は、常に難関との戦いになります。人件費に加え、品質を維持するための人材育成にも投資が必要です。多店舗展開をすれば、品質維持のための設備投資も惜しむ事は出来ません。それでも続けていこうと揺るがずにいられるのは、やはり我々の中に、志があり、それが支えになっているからだと思っています。利益の追求だけを目指すビジネスとして参入するなら、我々のスタイルは割に合わないでしょう」(大久保さん) 同時期開業のフランスパン専門店3社の切磋琢磨が、それまでの価格相場を覆す本格フランスパンの人気に貢献したと同社は見ている。美学はそれぞれ違えども、ハード系パンの普及は、強い思いを持った日本の製パン職人や製パン企業の、高品質のパンを作り続ける絶え間ない努力によって支えられていた。 | |||||||||||||

同店の特色のひとつは、フランスのポールから年一回徹底した品質管理のチェックが入る事。全世界同一の基準でチェックされるのは、製造や製品だけでなく販売方法から陳列、店舗の雰囲気にまで至る。そんなポール製品の中で目を引くのが、各パンのサイズだ。ポールの製品は全体的に大振りなのだ。 「ポ―ルの製品はフレンチサイズと言いまして、日本の一般的な製品サイズより大きいものが多いのです」と大久保さん。フランス再現のエキゾチックな美しさを持ち、更に大振りで見た目のインパクトに優れる同店の製品。同店の特長は、さらに中身に高品質の材料を惜しみなく使い、素材の水準も高い事。 「市場調査をしていると、弊社はユニットプライス(キロあたりの売価)で相場価格の製品よりリーズナブルな品揃えのようです。単価は相場より高めかもしれませんが、パン1個のグラム数もサイズ感も消費者の方にリーズナブルな仕上がりです」と大久保さんは話す。 製品単価だけの比較では「相場より高い」とされる同店だが、製品の充実度はサイズも内容も価格に対して抜群に良い。 「お客様にとって高品質な製品をリーズナブルな価格でお届けすること、そこはとても大事な点ですし、ポールの特色と考えています」(大久保さん) 同店は多くのファンを得ており、SNSで一般消費者向けに六本木一丁目店での店内イベントへの参加を呼び掛けた際は、申し込みが殺到しパーティーは盛況となった。 数年前から続くポールアトレ四谷店の日曜のモーニングビュッフェは、行列の出来る人気が続いている。ポールのスタイルは高品質を求める消費者に理解され、確実に多数の支持者を獲得している。高品質な高級ベーカリーを求める層を日本に確立させたのだ。 ブランドイメージと消費者ニーズのバランス 同店の主要顧客層の年代は30代〜50代だが、SNS全盛時代の昨今、インスタグラムで新しいブームが起きている。同店の「パルミエ」を撮影し、ハッシュタグ「パルミエ」を付けて製品写真を投稿する事が10代〜20代の若い世代の間で流行しているのだ。パルミエをポールのロゴの入った包装材と共に撮影したり、店舗のロゴを背景に撮影する構図も人気だ。投稿者の中には小学生のような子供世代の姿も見られる。 「一年くらい前からのブームです。パルミエは棕櫚(しゅろ=ヤシ科の樹木)の葉をかたどったパイのような菓子パンですが、こういう評価のされ方をする時代なのかと驚きました。顔が隠せる大きなサイズのパルミエは珍しいみたいですね」(大久保さん) ポールの製品デザインは「リュスティックシック」と呼ばれ、外観は「素朴でお洒落」「シンプルで美味しく、複雑にしない」といった面を重んじている。そんな中でパルミエは、「インスタ映え」という消費者のニーズに合致してブームになった。 「弊社は原則的にフランスのポールの製品を販売しているのですが、日本製のメニューも企画開発し、認可が下りれば販売出来ます。日本国内のニーズに合わせて国産小麦を使った食パンも始めています。例えば、人気製品のクイニーアマン(税込291円)は地方の菓子パンなので、パリのベーカリーではあまり見かけません。フランスのポールにもありません。でも日本で人気なので販売しています。日本人の求めるフランスのイメージに応えていくのも我々の在り方です。でも、食パンもクイニーアマンも売り場で浮かない、あくまでポールのイメージを保った見た目に仕上げて商品展開します。そこのバランス感が重要ですね。なので、パルミエもインスタ映えのニーズに応じて装飾性を高めたシリーズを出していく案も出ています」(大久保さん) フランスと同じ品質の同じ製品を作り、さらに本国のポールの厳しい基準をクリアして、日本独自の製品を製造販売することを許されている日本のポールは、世界水準の製パン技術と企画力を持っていることを、自ら証明しているといえる。 日本のポールが挑戦し、日本のパン業界に生み出した「日本のフランスパンの品質と価格」は、同店の「全体の形を崩さない」という努力によってブランドとして確立され、守り続けられている。 店名:ポール六本木一丁目店 住所:〒106−6001 東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー1F 電話:03−5545−9515 営業時間:午前8:00〜午後9:00(土曜は午前10:00〜午後8:00、日曜・祝日は 午前10:00〜午後6:00) 定休日:不定休 品揃え:パン約100品目、サンドイッチ約10品目、菓子約10品目 スタッフ:製造8人、販売16人 店舗面積:厨房約30坪、売り場約15坪、カフェ約30坪 日商:約1300万円 | |||||||||||||||||||
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