非日常と日常のバランスをどうとるか - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話 - ブランスリー電子版

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連載/2018年11月号

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非日常と日常のバランスをどうとるか - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話
 今回の特集のテーマは「ベーカリーのブランディング」で、取材は、渋谷のベーカリー、ヴィロンにお願いしました。当社の記者から上がってきた記事を熟読し、このテーマにまさにぴったりのベーカリーだけあって、多くの貴重なお話しを聞かせていただいたことを実感しました。ヴィロンは、全国から多くの人が集まる渋谷の一等商業地にありますから、商品構成も価格設定も、住宅街立地や郊外街道沿い立地のベーカリーとは当然違ってきますが、それでもなお、住宅街立地や郊外街道沿い立地のベーカリーにも大いに参考になる情報が散りばめられていると思います。
 「現在パンの購入量は、ホールセールが7割以上を占めています。消費者からすると、ホールセールが日常で、リテールが非日常と言えると思います。さらに言うと、当店は、日常になろうとしても、なれないはずです。ですから、非日常使いの店として、ハレ感をいかに演出していくかを考えていかなければなりません。価格ありきで商品を作ろうとすると、ハレ感のあるいいものは作れません。例えば、当店のサンドイッチが税抜600〜1230円という価格なのは、とびきりの具とパンで作った結果です。原価率も低くありません。お客様も、価格にあった中身があるかないかはすぐに見抜きます。また、高すぎると現実離れしてしまいますので、非日常だけど、食べたい時に食べてもらえる程度という価格に設定しています」(ヴィロンの運営会社、ル・スティルの西川隆博社長)
 大手ホールセラーのシェアは、戦後一貫して伸びていて、今や市場の8割を占める日も近いのではないかとも言われています。1斤100円以下のホールセラーの食パンが、スーパーの棚に並ぶことも珍しくなく、まさにホールセールのパンは、日常のパンと言っていいでしょう。そして、それに対して、リテールのパンは、非日常という側面があることも確かです。
 私の心には、最後の部分の「高すぎると現実離れしてしまいますので、非日常だけど、食べたい時に食べてもらえる程度という価格に設定しています」という言葉が響きました。
 まさにそうだと思います。いくら非日常のハレ感を演出していても、食べたい時に食べてもらえる範囲内の価格設定という条件がつくわけです。そしてこれこそが、リテールベーカリーの強みだと考えるのです。
 ヴィロンの場合は、ベーカリーの中では、非日常の度合いが最も高いケースのひとつだと思います。でもそのヴィロンでさえ、『食べたい時に食べてもらえる程度の価格』というにある意味日常の要素も持っているわけです。
 これを住宅街立地や郊外街道沿い立地のベーカリーの場合に当てはめて考えてみると、非日常の度合いは下がり、日常の度合いは上がるということになるでしょう。「日常の中のささやかな贅沢」などといったキーワードがしっくりくるかもしれません。
 つまり、リテールベーカリーが生き残っていくためには、非日常と日常のバランスをどうとるかが重要だと思うのです。このバランスは、商品の品質や品揃え、商品の価格設定、スタッフの技術力、店の立地や商圏の広さなど様々な要素が複雑の絡み合って、決定され、表現されるものでしょう。
 ここで、ひとつ言いたいのは、リテールベーカリーが吸い上げるべき日常の需要は、ホールセラーが吸い上げている日常の需要とは、同じ日常でも、その質が根本的に異なるということです。(RO)







原価計算女王
原価計算女王

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