周囲の店との相乗効果を生みたい - Boulangerie MAISON NOBU - ブランスリー電子版

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お店拝見/2018年10月号

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周囲の店との相乗効果を生みたい - Boulangerie MAISON NOBU
ショーケースは3段で、菓子パン、ハード系、総菜パンが並ぶ。食パンは3種類あり、ショーケースの上に並ぶ
オーナーシェフの保要信勝さん。サッカー日本代表選手のマネージャーからパン職人に転身。神奈川県葉山の「ブレドール」で修業し、サンフランシスコで開業、オーナーシェフとして店を経営した経験がある
「Boulangerie MAISON NOBU」の外観
入り口は引き戸で、対面式の売り場。3段のショーケースにパンが並ぶ
前を通る小学生に見てもらおうと、厨房の中が見えるようにした
ハード系の需要を発掘できた

 東京・江東区の「Boulangerie MAISON NOBU(ブーランジェリー メゾン ノブ)」は、アメリカのサンフランシスコで、ベーカリーを開業しオーナーシェフとして4年半務めた保要信勝さんが、今年2月にオープンした。
 「オープンして半年が過ぎ、出店場所が、ここ城東地区でよかったと実感しています。物件探しをしていたときは、近所の人にも、ここで出店するのは難しい、パンは売れないと思うなどと、結構言われました。でも、今までお米しか食べてこなかったのに、当店がオープンしてからパンばかり食べるようになったという方が出てきたりして、やりがいも感じています」(保要さん)
 一番人気は、サンフランシスコの店でも、最も売れていたという「クロワッサン」(税抜300円)。フランスの発酵バターをたっぷり使っており、外はサクサクと軽く、中はふんわりとしてもちっとした食感となっている。売り場と同じ建物の4階に専用の折り込み室を設け、温度管理のもとで製造している自信作だ。
 「『クロワッサン』は予想通りの人気ですが、嬉しい誤算で人気なのが、ハード系です。『日本橋や銀座に行かなくてもよくなった』というお声も、よく聞きます。意外と需要があったんですね。しかも、年配の方がよく買ってくださるのが嬉しいです」(保要さん)
 ハード系で特に人気なのは「トラディショナルバゲット」(税抜350円)と「レーズンウォルナッツ」(税抜800円)だ。
 「トラディショナルバゲット」は、中にガスをしっかり残すようにして焼き上げる。ボリューム感があるのと、クラムがふわふわでしっとりしていること、食べたときに重い感じがしないのが特徴だ。「レーズンウォルナッツ」(税抜800円)は、カリフォルニアの店から、継ぎ足して使い続けているレーズン種で中種を仕込み、オーバーナイトで熟成させる。大粒でジューシーなレーズンが、ふわふわ食感のパンに包まれ、瑞々しさを感じさせるしっとりとした食感になっている。
 ハード系の好調とともに常連が増え、夏に開催した地元の祭りでは、参加者の差し入れとして、同店のパンが大量に使われるなど、地域にすっかり溶け込んできた。保要さんは常連を飽きさせまいと、季節ごとにトッピングの果物を変えたデニッシュや季節野菜を入れたリュスティックなど、季節感のあるアイテムを用意している。
 「野菜や果物は、築地から仕入れている近所の青果店から、旬のおすすめのものを入れています。人によっては初めて食べる品種があったり、バラエティー豊富です。ですので、味の特徴や食べ方などの知識も、仕入れ時に教えていただいています。先日は、プラムの一種である『貴陽』を皮つきでトッピングしたのですが、皮ごと食べられることを知らなかったお客様に、『皮こそ栄養があるんですよ』と、お教えすることができました。こうして、お客様と果物の新たな出合いの場をつくっていくこともできるんですね」(保要さん)



フランスの発酵バターを使い、外はサクサクと軽く、中はふんわりとしてもちっとした食感の「クロワッサン」(税抜300円)
「クロワッサン」の断面
オーバーナイトで熟成させて作る「トラディショナルバゲット」(税抜350円)。クラムがふわふわで軽く、食べた後に重い感じがしない
「トラディショナルバゲット」の断面
生のパイナップルをのせた「パイナップルのデニッシュ」(税抜370円)。
「レーズンウォルナッツ」(税抜800円)は、ふわふわでしっとりとしたレーズンがポイント
オープン前の心理戦で集客力アップ

 「一度しかない人生なんだから、毎日を楽しく過ごしたいと思っています」(保要さん)
 保要さんがモットーとしていることだ。同店のパン製造は、保要さんが一人だけで行っている。忙しさに追われ、楽しいと思えなくなったり、辛いと感じるようなことがないよう、目標や計画をしっかり立てるようにしている。
 「必要な月商から日商、それからひと月の営業日数や一日の来客数などと、逆算していって、自分がどれだけ働けばいいかを明確にしておきます。それ以上働いて、無理して体を壊してもしょうがないですから。食べたいものを食べて、寝たいときに寝るのと同じで、仕事のときも、好きな音楽を聞いたりして楽しみながら、自分がやりたいようにできるようにしています。これこそ、個人店だからできることだと思っています」(保要さん)
 この半年間の目標売上げは上回った。ハード系の好調など嬉しい誤算もあるが、やはり、計画を立ててとった行動が奏功した。
 「店舗の工事が終わって、開業するまで約2カ月間あったのですが、厨房で試作しつつ、周り近所の注目をどうしたら集められるかを考えました。それで、完成から2週間後に突然看板にカバーをし、約一カ月間そのままにしておきました。『あれ、パン屋さんがオープンすると思っていたのに、なくなっちゃうのかな』って、近所の噂の的にしてもらうためです。心理戦ですね。そして開業2週間前に、カバーを外して、オープン日程を店頭に告知しました。結果は成功で、2月のオープン初日、寒くて吹雪いていたにも関わらず、行列を作ってたくさんのお客様が買いに来てくださいました」(保要さん)
 初日から順調に起動に乗ったのも、事前の綿密な調査と計画があったからだ。また、保要さんはサンフランシスコの店だけでなく、修業先の神奈川県葉山のベーカリー「ブレドール」の支店でも、オープニングを経験しており、事前調査の重要性を実感していたという。
 「物件探しのとき、最寄り駅の乗降客調査をしました。すでにデータはありましたが、私は何でも、百聞は一見に如かずのところがあるので、駅前に立って観察しました。さらに、周辺のベーカリーでは、何時にどんなアイテムがどのくらい陳列されているのかなどを見に行って、どのような需要があるのかなど調査しました。事前に知っておくことで、オープン後起動に乗るまでが早いですし、物事がスムーズにいくので、作業効率もよくなります。調査などの準備が足らないと、オープン後に急な変更が必要になったりします。普段の仕事を、そういう苦労と並行してやる必要はないと思っています」(保要さん)
 同店は、カレーパンと、コロッケパンや焼きそばパンなどの総菜コッペは並べない。コーヒーなどのドリンクの用意もない。
 「すでに近所にカレーパンの有名店と総菜コッペなど昔ながらのパンの人気店があるので、当店では、それ以外のパンを作って、各ベーカリーで相乗効果を狙っていきたいです。また、コーヒーショップやカフェの多い地域でもあります。各店にそれぞれ、目当てのものがあれば、街歩きする人が増えて、地域全体で盛り上がっていけるのではないかと期待しています」(保要さん)

店名:Boulangerie MAISON NOBU
〒135−0004 
住所:東京都江東区森下3−14−1
電話:03‐6875‐2253
営業時間:午前9時〜午後6時
定休日:月曜、火曜
品揃え:約40品目
スタッフ:製造1人、販売1〜2人
店舗面積:厨房5坪、シータールーム5坪、売り場2・5坪
日商:10万円、土日祝日13〜15万円



この記事の読みどころ

●看板商品のクロワッサンは、専用の折り込み室を用意して、徹底した温度管理のもとで製造。
●ハード系の需要が、年配者の間に予想外に多かったは、嬉しい誤算だった。
●オープン後の予期せぬ路線変更を避けるために、事前の市場調査を自分の足できめ細かに行った。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





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