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| 連載/2018年9月号 |
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| 暮らしに溶け込むベーカリー - 一粒の麦から45(文・本行恵子) | |
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「イースト東京」に新しい風が吹く
歴史を感じさせる老舗が残る東日本橋、馬喰町、馬喰横山界隈は、この数年で空きビルや店舗を改装したお洒落な店やギャラリーが増え、新旧がが共存する新しい街に生まれ変わってきています。これらの地域は、「イースト東京」と呼ばれるようになり、様々な方面から注目されています。 明治2年創業のすき焼きの「伊勢重」や、明治5年創業の合鴨料理専門店「あひ鴨一品鳥安」などは、江戸の風情を残すこの街になくてはならない存在です。 一方若い世代の経営者による、様々な業態の店も誕生しています。ブルックリンのレストラン「bozu」の姉妹店としてオープンした「北出食堂」は、工場として使われていた場所を2013年12月にリノベーションした店です。自家製生地で作るタコスや自家製のサルサソースを使った、本場のメキシカン料理を中心に多国籍料理が味わえます。また食、本、イベントを楽しむ、「おむすびスタンドANDON」もあります。昼は周辺で働く人たちにおにぎりを提供し、夜は秋田のお酒と日本各地の名産品を使った料理を肴に立ち飲みスタンドになり、2階のイートインには本を読むコーナーが、3階にはイベントスペースがあります。そして世界中から集まるバックパッカーたちから人気のあるホステル「CITAN」は、宿泊だけでなくカフェ、料理、お酒、音楽を楽しめるスポットになっています。その一角に昨年11月、ベーカリー「ビーバーブレッド」が誕生しました。 地元の要望に応える店を目指して 店を統括するのは、銀座の「ビゴの店」や「銀座レカン」のブーランジェリーシェフとして活躍してきた割田健一さんです。 料理人たちとのつながりから高級食材に触れる機会も多く、探求心と自由な発想で独自のパンを作ってきました。またパン職人としての実力は業界内外から注目され、厳選された素材を効果的に使った様々なパンは、料理人たちの間でもファンを増やしています。 以前からこの街にパン屋さんを開いて欲しいという要望があり、この街に必要とされる店のプランを考えていました。 かつては生鮮食品を売る個人店があり、日常生活は困りませんでした。しかし一般住宅が減りビルが立ち並ぶようになると、個人商店の経営は難しくなってきました。最近は大手スーパーの小型店も進出し、ますます個人店は衰退しています。 そういう中でのパン屋さんの開業はうれしいニュースで、持続可能な店に育ってほしいと地元の人たちも応援してくれています。新世代のファミリー層にも、ママ友仲間のSNSでビーバーブレッドの情報が浸透し、利用者は広がっています。 個性的なパンで話題を集め繁盛店に 店に並ぶパンは、ハード系から菓子パン、調理パンまで様々です。昔ながらの日本を代表するクリームパンやメロンパンも、割田さんならではのアレンジで個性的なパンが誕生します。クリームパンは普通のカスタードクリームと、リコッタチーズを加えた大人向きの2種類があります。メロンパンはビス生地にスーパーフードとして注目されるペルー産のカカオニブを混ぜ、特徴を出しています。また季節感のある桃のカンパーニュは、ドライピーチをジンとライチのお酒でマリネした個性的なパンです。 そして、オープン当時から「北出食堂」のシェフが作る具材を使った「北出サンド」や、西麻布の「サロン・デ・サリュー」の赤ワインで煮込んだカレーを使ったカレーパンなど話題性のある商品が並びます。最近はオーガニック薬膳教室を主宰する高遠智子さんのタルティーヌとスープも定着し、健康志向のファンから支持されています。 8月の1週目の週末には、山梨の生産者から送られてきた果物や野菜を販売するマルシェを開催し喜ばれました。昔ながらのご近所さん同士のつながりを大切にしながら、オープンから半年で地元になくてはならない存在感のあるパン屋さんになっています。 |




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