パティシエールを対象にした洋菓子講習会 - ブランスリー電子版

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レポート/2018年9月号

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パティシエールを対象にした洋菓子講習会

 ツジ・キカイ(本社・埼玉県川越市、山根証社長)は6月27日、大阪市北区の同社堂島ラボで、「石窯・スチコン・ブラストチラー スイーツセミナー『パティシエールへ』」と題した洋菓子講習会を開催した。受講者を女性の洋菓子職人に限定し、講師の森山康氏、冨田大介氏、赤崎哲朗氏の3人が、女性が洋菓子製造の現場で活躍するためのポイントなどについての話を交えながら、洋菓子の製造実演を行った。また、洋菓子原材料の輸入業者、ナリヅカコーポレーションの内海三三子社長が、助手として参加した女性パティシエらと共に、女性の社会進出についての話をした。



女性であることは大枠の個性の一つ
森山康講師
冨田大介講師
赤崎哲朗講師
女性ならでは感性を活かして

 森山康講師の話 今回は女性限定の講習会ということですが、女性らしい艶やかな表現の仕方というのは確かにあると思います。僕は、女性だからとか男性だからとかいうことはあまり言いたくないのですが、特にコンクール用の作品を見たときに、これは絶対女性が作ったんだろうなというものはあります。僕ら男性にはこんな表現はできないなと感じ、こんな表現もあるんだということに気付かされます。例えば僕がピンク色を表現するのと、女性がピンク色を表現するのとでは、違うものになると思います。女性が見て可愛いと思うピンクと、僕ら男性がいいと思うピンクは絶対に違うと思うんです。それはどうしようもない事実で、僕は割り切ってやっています。結局は各々の個性で勝負していけば、女性男性は関係ないとは思いますが、女性ならではの感性は武器にして、そのエッセンスをとり入れたお菓子作りをしていってほしいと思います。

最近は、女性と頑張っている

 冨田大介講師の話 今回は、女性パティシエ(パティシエール)さん向けの講習会ということですが、うちの店は、男性ばかりだった時期がが長く、今日助手で来てくれている女性は、うちで一番長いのですが、それでも入社8カ月です。僕とおやじを入れて9人のパティシエがいますが、8か月前に彼女が入るまでは、すべて男性でした。2カ月前にさらに女性が2人入って、今は女性が3人になりました。店は結構かわいらしく、エレガントな感じになっていますが、男性ばかりだった時は接客も男性がするので、女性の綺麗なお客様がいらしたときに、出てくる人が全員男性なので、「また男が出てきた」と、ぼそっと言われたことがありました。別に女性をとらないと決めていたわけではないのですが、僕は、どうも男には、まあまあ人気があるのですが、女性にはあまり人気がないみたいです。

「なぜだろう」の積み重ねが大切

 赤崎哲朗講師の話 この素材は、何度で何分焼いたら、どいう状態になるのか、ということが瞬時に判断できなくてはなりません。食材を本当にコントロールできているかということです。シンプルな目線で、食べ物をどうやって調理したらいいのかとか、どうしてこれはこのルセットなのだろうかとか、そういう疑問を抱いて、日々の目の前のお菓子に携わっていってほしいと思います。「なぜだろう」を積み上げてきた人と、マニュアルをなぞることのみで、日々を終えてきた人との間には、1年たったとき、3年たったときに、歴然とした差がついています。本当のものづくりの楽しみはその先にあると思います。同じルセットでも、カカオ、バター、砂糖、卵など、それぞれ材料に対するアプローチひとつで、出来上がる製品が変わってきます。配合の裏にあるものを理解する力、ルセットを読む力は、日々の「なぜだろう」の積み重ねでしか養えません。そして、そうしていくうちに、ある日突然見えてくることもあるので、是非、そういう目線を持ってやっていってほしいと思います。ルセットとマニュアルでは到底到達できない世界があります。今日は女性の助手を連れてきていますが、彼女に「オレンジとチョコレートのアントルメ」で、ルセットとマニュアルでは到底到達できない世界を伝授する際に、何回も作り続ける彼女に付き合い、何回もダメ出しをして、多分何回か彼女を泣かせているんですね。でもそうしていくうちに、彼女も僕と同じ目線で見られるようになったのか、「オレンジとチョコレートのアントルメ」が僕よりうまく作れるようになったんです。与えらえたマニュアルの大枠の中で及第点の製品を作り続けるのも間違いではありません。ただその中でど真ん中の商品を毎日作ろうと努力する人は、つまりは、素材のコンディションを最優先させる人なんです。そして、失敗しながらも、いろいろなことに疑問を持ちながら、ど真ん中を狙い続けた経験が積もってくると、菓子作りについて見える風景が変わってくるんです。



助手として参加したパティシエール4人と、女性の社会進出について語るナリヅカコーポレーションの内海三三子社長(左)
育休はしっかりとった方がいい

 ナリヅカコーポレーションの内海三三子社長の話 もっともっと女性が活躍することが、日本を良くしていくと考えています。自分が会社を引き継ぐことになった時に、子供が3人いて、一番下の子はまだ小学校にも上がっていませんでした。会社と子供を守らなくてはいけなくなった時に、全部を完璧にやろうとしないで、優先順位を決めて、その時々でバランスをとりながらやろうと考えました。女性は職場で体力で男性と張り合う必要はありません。細やかな作業など、体力以外の部分で頑張れるところがいくらでもあると思います。出産については、私は育休をしっかり取った方がいいと言っています。無理に復帰を急がなくても、会社はあなたの子育てが一段落するまで待ちますよ、と言っています。そのためには、普段から会社に貢献し、会社から必要とされるようになっておくことが大事だと思います。
   ◇
 助手として参加した女性たちは、職場での女性の強みについて、「繊細な手先の細かい作業は女性の方が得意だと思います」「女性は美意識が高いと思います」「繊細さで女性は優れていると思います。工芸細工のピエスモンテでも、男性の力強さとは対極の、女性の繊細さを活かした作品作りは魅力的です」などと話した。



ツジ・キカイの山根琴江氏
ツジ・キカイの山根証社長
欧州の食文化を日本に伝える

 ツジ・キカイの山根琴江氏の話 ツジ・キカイは私の祖父が創業して今年で70年を迎えます。戦後の混乱期に東京の新宿に本社を構えて、お陰様で小さな会社ではありますが、元気に今までやっております。創業から一貫して貫いている方針は、ヨーロッパの食文化を日本の皆様に伝えたいという想いを、ヨーロッパから輸入して持ってくるのではなく、日本で作って提供することで実現するということです。今日は素晴らしシェフの方々に、その方針にご共鳴いただいて、このような素晴らしいセミナーが行われることを大変嬉しく思っております。

出会いを求めてアクションを

 ツジ・キカイの山根証社長の話 皆さんに人との出会いを大事にしてほしい、そして、出会いを求めてアクションを起こしてほしいと思います。私自身、19歳の時に私の妻と出会い、妻の父親がヨーロッパの食文化を伝える仕事をしていて、その素晴らしさに魅せられて、今ここにいるわけです。その出会いがなければ、今日皆さんとお会いすることもなかったと思います。社長になりたかったわけではないのですが、縁あってこの業界に入って、パンやお菓子やナポリピッツァと関わっていますが、こんなにも素晴らしい仕事で本当によかった思っています。出会いを大事にしていれば、自分がいいと思えるものにたくさん出合うことができます。今日はそのことを皆さんに伝えられたのではないかと思います。

森山講師が紹介した「ケーク ショコラ オランジュ」
冨田講師が紹介した「Chibouste A L’Orange」
赤崎講師が紹介した「ガトー オ ショコラ」
魅力的な洋菓子を紹介

 講習品目は、森山講師が、「ケーク ショコラ オランジュ」、冨田講師が、「Chibouste A L’Orange(シブースト オランジュ)」、赤崎講師が、「ガトー オ ショコラ」。
 「ケーク ショコラ オランジュ」は、オレンジとチョコレートのケーキで、中心にオレンジのコンフィチュールを入れている。上面のオレンジジャムが食欲をそそる。
 「Chibouste A L’Orange」は、オーソドックスなフランス菓子のシブーストをオレンジでアレンジすることで、夏向けの爽やかな味わいに仕上げていた。
 「ガトー オ ショコラ」も、オーソドックスな菓子だが、シンプルな菓子をとりあげることで、配合や工程の意味を深く考えるきっかけとした。

原価計算女王
原価計算女王

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