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| 工場内に設置された製パン室には最新鋭の製パン機械が完備されている。講習会も頻繁に開かれる |
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| 工場内に設置された製パン室には最新鋭の製パン機械が完備されている。講習会も頻繁に開かれる |
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| 春には、満開の桜に囲まれる新秦野工場 |
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ホシノ天然酵母パン種(本社=東京・町田市、土田耕正社長)は昨年1月に、神奈川県秦野市立野台の工業団地内に新工場を竣工し、順調に稼働させている。新工場と同じ秦野市内にあった旧秦野工場を移転した形で、新工場は旧工場の2倍の生産能力を持つ。工程の管理や酵母を育てる衛生管理などを徹底させることで、製品の品質の安定化がさらに徹底されたという。新工場の建設を指揮した土田耕正社長に、同社の現状や今後の展望などについて聞いた。ホシノ天然酵母パン種は、2006年に2代目社長の星野益男氏が、レオン自動機(本社=栃木県宇都宮市)に経営権を譲渡し、レオン自
動機の子会社となっている。
HACCPの認証を取得――HACCP(ハセップ)の認証機関の認証を受けたと聞きました。
土田 はい。東京都食品自主衛生管理認証制度の認証を取得しています。その制度の要件をすべて満たすことを条件にして工場を設計しました。微生物を扱う工場として、間違いが発生しないように万全を期した工場になっています。
――認証を受けるのは大変でしたか。
土田 長年健康食やトレーサビリティーに厳しい会社にパン種を納めていましたので、10年以上前からご要望に準じた工程管理表や記録表を作っていました。その頃は、HACCPという概念がまだ普及していなかったのですが、当社はHACCPの考え方に沿った生産管理をすでに行っていましたので、一通りベースは揃っていたんですね。
まず最初に、当社の町田工場で、2016年末に東京都食品自主衛生管理認証制度の認証を受け、こちらの新秦野工場は、2017年1月からの稼動でしたが、今年の2月にその認証を受けました。検査官が工場に来て、こちらが提出した書類に基づいて、工場内の設備や様々な場所をくまなくチェックするのですが、「ここまでしっかりやっておられる工場はめずらしい」とお褒めの言葉を頂きました。
技術の伝承を脈々と――立地に秦野市を選んだ理由は。
土田 環境ですね。秦野は水がとてもいいんですよ。丹沢山ろくが控えていて、雨が降ると山に浸み込んだ水が伏流水となり、あちらこちらから湧き水として出てきます。秦野の生活水は水道水と湧き水の割合が半々だと聞いています。水道水の質もとてもよく年間を通して水温が比較的安定していて、酵母の生産上も有利になっていると思います。また、秦野は季候も温暖で、小田原の方から暖かい空気が入ってきて、冬もあまり冷え込みません。
――最新設備を完備した工場ということで、生産効率も上がったのでは。
土田 当社がやっていることは、基本的には人の手で、手間をかけて酵母を育てるという極めてシンプルな作業です。どうして、こんな時代と逆行するようなことをやるのかと言われることもあります。でも、それは、創業者の星野昌氏に始まり、ずっと65年以上やってきたことです。それを、星野ファミリーが守ってきたのですが、それはつまりは技術とノウハウの伝承だったんですね。それを今度は私共が引き継いで行っていく役割を担ったわけです。どんなに近代的で衛生管理が徹底した工場になっても、本質的な部分は65年前とまったく変わっていません。
小規模ベーカリーを応援――新工場について、ユーザーさんへのメッセージはありますか。
土田 水と気候に恵まれた秦野という場所に新工場を竣工し、これまで以上に衛生管理、生産管理を徹底し、皆様に質が高く安定した製品をお届けできればと考えています。微生物を扱う食品メーカーとして、きちっとしたパン種を商品としてお届けするために、温度管理や衛生管理などが徹底できる設備・環境を整えるという、メーカーとしての責任を全うしていく覚悟です。この工場がその礎のひとつになればと思っています。
――ホシノ酵母は、特に小規模のリテールベーカリーの差別化商品作りに貢献していると言われています。
土田 当社は、「リテイルのパン屋さん」を応援して、小規模のベーカリーでも、特徴あるパンが出せるように、様々なご提案をさせていただいています。また、安売りをせずに、価格競争ではない世界できちんとやっていただけるように応援して参りました。当社の創業以来、当社の酵母のよさを理解して、使い続けていただいているパン屋さんもいっぱいいて、そういった方々とお話して、いいパンを作り、さらに、どういうふうに売っていったらより消費者に喜ばれるかを考え、共に繁盛の輪を広げていけたらと思っています。
また、それぞれのお客さんに合わせて、パン作りをカスタマイズし、こうやったらおいしいパンができるんじゃないですか、このお店に合っているのはこういう方法じゃないですかね、といったアドバイスができるような技術力を発揮できるように日々努力しています。
ベーカリーと深く関わる――土田社長は親会社のレオン自動機では、アメリカやヨーロッパ勤務が長かったとか。
土田 はい。世界各地のユーザーさんの工場に機械を設置して、きちんと動いて、いい製品ができるようにして、帰ってくるという仕事をずっとしてきました。振り返ってみて何がやりがいがあったのだろうと思うと、情熱のあるパン屋さんと深く関わることができたことだと思いますね。社長さんや工場長さんに、「こんなパンを仕上げたいんだ」と熱く語りかけられると、ついつい引き込まれてしまいます。徹夜の作業が続いたりしてかなり辛い場面もありましたが、最終的によい状態にして、お客さんに喜んでもらい、帰る時にはタクシーを呼んでもらって玄関先までみんなに送ってもらったりすると、帰りの飛行機の中で、心の底からの充実感に浸ることができました。
――ホシノ天然酵母に来られていかがでしたか。
土田 日本のリテイルベーカリ―の皆様と接し、その技術と努力は素晴らしいと思いました。あれだけのパンを毎日作れる技術を持っていたら、海外だったら間違いなくナンバーワンになれると思います。日本人は、いろんな国のパンを習得する際に、そこの国のパンの技術以上のものを理解してしまうようなところがあります。いわゆる匠の技を修行していくうちに身に着けてしまうのだと思います。これからも当社は、一生懸命パンを作られる方々のお役に立てるように頑張ってまいります。