食品ロスを減らすためのパン屋さんの工夫 - 一粒の麦から44(文・本行恵子) - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
連載/2018年7月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


食品ロスを減らすためのパン屋さんの工夫 - 一粒の麦から44(文・本行恵子)
「Boule Beurre Boulangerie」のおまかせパンセット
食品ロスの削減キャンペーンの告知ポスター
 お客様にとって、閉店間際でも商品が豊富に揃っているのは嬉しいものです。しかし閉店した後に残っているパンのことを考えると「あのパンは捨てられるのかしら」と心配になります。
 食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは、農林水産省の平成24年度の推計によれば、年間642万トンにもなります。この現実は、飢餓に直面する人々の問題や食料資源の無駄使い、地球環境汚染など多くの矛盾を生んでいます。
 原材料が高騰する中、食品ロスを減らす取り組みを実施しているパン屋さんを紹介します。

「パンお任せセット」でロス削減

 愛知県海部郡にあるベーカリー「ポン・レヴェック」の大山 伸さんは、朝はもちろん、夕方に来店するお客様のためにも焼きたてのパンを出しています。そのため閉店時にパンが余ってしまい、日によっては何万円ものパンを処分しなければならないことに心を痛めてきました。
 こうした現状を打破するため、毎日残るパンをその日のうちに冷凍保存し予約販売することになりました。100サイズの段ボール箱一杯に詰め込んだ「パンお任せセット」は、5000円以上のパンを送料(一部地域を除く)と消費税込み3760円で販売しています。
 10年前に始めた当初は、注文がどれくらい来るのか不安もあったそうです。しかし店まで足を運べない人や、親しい方へパンを送りたいという常連客の方から人気を集め、今ではしっかり定着し、お値打ち商品として数カ月待ちの状態です。
 また東京・八王子市にある「Boule Beurre Boulangerie」の草野 武さんも、大山シェフの取り組みに共感し、店で売れなかったパンの詰め合わせを「八王子パンと小麦畑とおまかせパンセット」の名前で販売しています。
 食品ロスの軽減は勿論のこと、天候や思わぬアクシデントに左右される売り上げを、少しでも上げたいと始めました。閉店前の夕方約2800円分のパンを箱に詰め、2000円で販売しています。フェイスブックやブログで「おまかせパンセット」の売り出しを告知し、申し込みのあった人たちに販売しています。早速私もフェイスブックを見て、「おまかせセット」を注文し送っていただきました。到着した箱を開封すると、おいしそうなパンがたくさん入っていて、何から食べようか迷ってしまいます。パン愛好家たちには嬉しいサービスです。
 草野さんは「おまかせセット」をフードシェアリングのウェブサイト「TABETE」にも出品し、月平均70〜80箱売り上げています。

フードシェアリングのウェブサービス

 テレビや新聞の紹介で注目を浴びているウェブサイト「TABETE」は、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物と、値ごろ感のある買い物をしたい人を繋ぐフードシェアリングのウェブサービスです。また少しでも食品ロスを減らしたいと考える人たちも、「TABETE」のサイトにアクセスしてきます。
 「TABETE」を運営する会社、コークッキングの川越一磨社長は、和食料理店での料理人としての修業や大手飲食チェーンでの勤務の経験を活かし、食が抱える様々な課題に取り組む新事業を展開しています。
 「TABETE」の仕組みは、加盟店が商品の入れ替え時や閉店間際などに出る食品ロスの価格と取引期限をネットに掲載し出品します。それを見た登録ユーザーがウェブ決済で購入し、店頭に取りに行く仕組みになっています。ほとんどの店が、ランチタイムの後や夕方に出品の告知をします。
 今年の4月から正式にスタートしたこのウェブサイトは、登録するお店の初期費用や月額費用は無料です。出品商品が売れた場合にのみ、販売金額の35%を手数料として「TABETE」に支払います。現在東京を中心とした飲食店、カフェ、ベーカリー、和菓子店など126店舗、ユーザーは約2300人が登録しています。ベーカリーは前出の「Boule Beurre Boulangerie」の他7店舗が参加。
 今後もフードシェアリングのウェブサイトは、時代を反映し様々な形で増えていくことでしょう。

本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。







原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら