記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 特集/2018年7月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| コッペパン専門店がさらに面白い
|


同店で使用しているコッペパン生地は「ベルウッド」の工場で作った天然酵母のもので、夜から早朝にかけて製造・焼成したものをそのまま直送。天然酵母による、旨味成分と、もっちりした食感が特徴の生地を使用することで、他のコッペパン専門店とは少し違った風味のものとなっている。 「コッペパン専門店も新規参入が増え、競争も激しくなっていますが、当店は天然酵母で無添加の生地、沖縄産の塩や三温糖などを使用し、自然素材へのこだわりをアピールしています」(鈴木さん) 小麦粉はカナダ産小麦のものを使用、一時期国産小麦を使用していたが、コッペパンとしての特性を考えると、カナダ産の方が味や食感がよかったので、変えたそうだ。パンに付加価値をつける事で、コッペパン専門店の中での差別化に成功している様子が窺える。 具材メニューの考案や商品構成にも工夫を施している。他のコッペパン専門店同様、大きく分けてスイーツ系と惣菜系があるが、一律税別150円の定番は「こしあんバター」「いちごジャム」「北海道コロッケ」「下町やきそば」など18種類が揃う一方、加えて「ぜんざい風コッペ」(税別180円)や「いちご大福風コッペ」(同)といった期間限定の個性派商品も売場で存在感を放つ。今は夏に向けてレモンや柑橘系フルーツを入れた商品も考えているという。どの商品にもホイップやバナナなどのトッピング(税別30円)が追加可能だ。 さらに、余ったコッペパン生地を使って作る「あげパン」(税別140円)もある。売上の1割近くを占める人気のシリーズで「シュガー」「きなこ」「シナモン」の3種類を販売。あげパンのあるコッペパン専門店は珍しいためかファンが多く、種類によっては昼前に売り切れることも多い。原価が安く利益率が高い上、生地のロス対策としても有効な商品という。 経営面のリスクを分散できる 実は同店開店の大きな動機としては、鈴木さんの従業員の労働環境を改善したいという思いがあった。労働量の割には利益を多く出せ、店舗を増やす事で経営面のリスクを分散できるという条件を満たしているのが、コッペパンの専門店だったからだ。 「今、コッペパン専門店がすごい勢いで増えているのは、一つには消費者の生活に気軽に密着しやすい商品というのもあるのですが、実は、店舗運営をする際にシステム化がしやすく、スタッフの指導もしやすいということもあると思います」と鈴木さんは話す。 職人レベルの技術修得者を集めなくても、パートスタッフに具材を挟む作業を教えれば、種類豊富なコッペパン商品を提供することができる。また生地製造も、同じ種類の生地を大量に作るので工程が複雑化せず、労力も抑えやすい。 「皆が交代である程度の休みをとれるよう、パートスタッフの力も借りて複数店舗展開していく上でコッペパン専門店は最適でした」(鈴木さん) 機材・設備も通常のベーカリーと比べると揃えるものは少なく、場所も最小でカウンターだけでも開店可能なので、スペースの費用もかからない。 さらに同店の場合、機材などは「ベルウッド」本店のものを借り、パン生地は「ベルウッド」の工場で作ったものを使用しているので、負担はさらに軽減されているそうだ。 | |||||||||||||||||||

| システム化が容易でスタッフの指導もしやすい | |
|
地元住民の需要を察知する
「ただ始めるのは簡単ですが、ずっとあきられずに続けていくための努力が必要です。地域住民の需要を察知し、その都度商品構成などを考え直す必要があるでしょう」(鈴木さん) 実は同店は2月にコッペパンのスタイル変更を実施。サイズを以前より小さくする代わりに価格を一律で税別150円まで下げ、色々な種類を一度に楽しめるようにした。 「以前は220〜350円位で大きめのサイズを提供していたのですが、この近辺は高齢の方や若い主婦の方が多く、一度に食べる量としては大きすぎるという声を聞くこともありました。お客様の需要に合ってないと思いました」(鈴木さん) また、以前は客から注文を受けた後、その場で具材を挟んで作ったものを渡すシステムだったが、今は売る前に厨房で具材を挟んで作り置きしておいたものを、ある程度売場に並べておき、不足分があればその場で作るという形に変えた。「作っている姿を見たいとかエンターテインメント性を求める声は割と少なくて、それよりもあるものをすぐ持ち帰りたいという要望の方が大きいなと感じました。スタッフの負担も少なくて済みますしね」(鈴木さん) 実際、直前は段々低迷を見せていた売上も、こうした戦略が奏功し、変更後は売上が見事に回復した。 さらに同時に、店内に食パンやクロワッサン、カレーパンといった「ベルウッド」本店の商品を一部置き始め、本店とより連携した店舗運営もできるようにした。現在は「コッペパンが中心だが、他のパンも販売しているベーカリー」という位置付けで鈴木さんは考えている。近場で「ベルウッド」のパンを買うために毎日こちらの店舗を訪れる客も出てきた。 「コッペパン専門店も、今後は淘汰され、最終的には通常のベーカリーのような生活に密着した店として、各地域に一定数あるような形に落ち着くのでは」と鈴木さんは話す。 「大手が参入するなど話題もあり、市場そのものが活性している感じで良いのですが、当店はとりあえずその中で地域の皆様により愛される店づくりに励んでいきたいですね」(鈴木さん) 今後の動向次第では3号店となる新店舗も「コッペパンを中心に他のパンも販売するベーカリー」として出したいという。 SHOP DATA 住所:〒123-0852東京都足立区関原3-15-10 電話:03-6807-2724 営業時間:午前9時〜午後5時(月〜金)午前9時〜午後2時(土) 定休日:日曜、祝日 品揃え:コッペパン25品目、その他15品目 スタッフ:製造・販売常時2〜3人 店舗面積:売場5.5坪、厨房3.5坪 日商:平日7万円 土曜10万円 |
| 作業の単純化を図りながらも商品は豊富に - パン屋のオヤジ | |||||||||||||
2年前に開業した神奈川県横浜市のコッペパン専門店「パン屋のオヤジ」。開店時刻は朝7時だが、それより前の時間に来店し、常連客のよしみで購入していく人もいるほど、早くもこの地に根付いている。 「早朝6時頃いらっしゃる方もいます。開業当初は、朝7時に開けて、夕方6時まで営業する予定でした。しかし実際営業してみると、昼過ぎには、連日売り切れてしまったので、閉店時間を売り切れ次第終了にしたんです。ピークは朝の通勤時間帯で、午前10時頃には、商品の半数がなくなっています」(マネージャーの和田加里奈さん) 同店があるのは、最寄りのJR根岸駅から歩いてすぐの場所。そのため、ターゲットは通勤通学の駅利用者で、ほぼ期待通りに集客できているという。 「朝は通勤途中に寄るという方が多く、ほかのベーカリーと比べると、男性が多いと思います。テラス席があるので、そこで朝食として召し上がって行かれる方も多いですね」(和田さん) 商品を購入した客には、テラス席でコーヒーを無料で提供しているほか、朝の10時までは、「日替わりスープ」(税込220円)も無料というサービスもある。ただし、テラス席で飲む場合だけ無料で、テイクアウトは有料という仕組みを取っている。 「ドリンクサービスは、お客様に喜んでもらうのが一番の目的です。ですが、集客に関してもメリットがあるようにしています。店の入り口前にあるテラス席で、お召し上がりになるお客様がたくさんいらっしゃれば、それが集客につながると思うんです。人が人を呼ぶということですね。ですので、無料サービスは、その場でお召し上がりいただける場合に限らせていただいています」(和田さん) 客と店の双方にとって有益になるよう考えられたサービスだ。 その場で食べず、テイクアウトしていく客の中には、職場のランチ用として20〜30個ほどまとめて購入していく人もいる。 「通勤時は時間がないですから、お待たせできません。数が多い場合は、来店時間までに袋に入れて用意しておけるよう、事前予約してもらうようにしています」(和田さん) 地域の子ども会や、会社の会議などの集まりなどで、大量の注文があるときも予約を受ける。こうした依頼が多いため、同店はケータリングサービスを行っている。 「子ども会でのご予約時は、半分に切ったコッペパンを数種類詰め合わせたランチボックスが好評でした。予約は、当店を一度は利用したことのある方から頂くのがほとんどなので、パンの形状やサンドする具は、おまかせが多いのですが、予算や個数、どういう場面で召し上がるかなどは細かくお聞きしています」(和田さん) | |||||||||||||
| グループ全体でのシナジー効果を発揮 | ||||||||||
同店の経営母体は、若者の就労支援事業を行う団体「K2インターナショナルグループジャパン」で、ほかにも複数の飲食業を展開している。お好み焼き店や食堂、市内にある高校の学食の運営などだ。 ベーカリーとしてではなく、コッペパンに特化して開業した理由について、K2インターナショナルグループジャパン飲食部門統括責任者の鳴海加奈子さんはこう話す。 「若者の自立の手助けとなるように、そして、働くための訓練の場として機能するように、当店は運営しています。コッペパン専門店であれば、いくつもの種類のパンを作らなくてはならないベーカリーよりも、作業動作の種類が少なくて済むからです。基本的にパンはコッペパンだけでいいので、成形やトッピングの手間がほとんどありませんし、パンが焼ければ、あとは具を挟むだけです。また、当団体内のほかの飲食店で作っている総菜などを、具として活用できるという体制も利用し、私たちの独自性として打ち出しています」 コッペパンの種類は、現在80〜100種類ほどあり、季節商品などが毎日代わる代わる出るので、これまで500種類以上は作ってきたという。 「自社農園があるので、そこで採れた野菜や果物を使って季節商品を作っています。春は、苺とカスタード、ホイップをサンドした『いちご狩り』(税込350円)が、朝採りの苺を使っているのでとても新鮮で好評でした。これからは、夏野菜が採れるようになってくるので、それらを使った日替わり商品が増えてくると思います」(鳴海さん) | ||||||||||
| 製品が劣化せず中身が見えるパッケージを使用 | ||||||||||
同店のコッペパンは、もっちりとした食感を一番の特徴とすべく開発した。 「具に使っている、学食や食堂で作っている総菜のレシピには自信がありますから、具を引き立てるために、パン自体はあっさりとした味がいいと思って開発しました。また、もっちり食感なので、総菜コッペは、総菜とご飯のような相性の良さがあると思います」(鳴海さん) 「石巻金華サバフライ」(税込250円)や「ガパオコッペ」(税込350円)、「タンドリーチキン」(税込250円)など、定食のおかずのようなメニューが豊富に揃う。 「『まるでプディング』(税込250円)や『まるでティラミス』(税込250円)も、コッペパンを使っているのに、不思議ですが食べてみるとプリンやティラミスだと思える味で、パン自体の味が、具を邪魔しないことを実感します」(鳴海さん) 新商品は、スタッフ同士の会話からどんどん生まれてくる。楽しさを演出できる種類の多さも人気の理由だという。 「『次何が食べたい』という話をしながら、皆で盛り上がる中で、新商品がどんどん生まれてきます。『まるでプリン』などもそうですが、何でも食べたいものはコッペパンで作れると思っています。種類が多いのも、お客様に好評な理由のひとつになっていると思います」(鳴海さん) 商品はあらかじめサンドした状態で、袋やパックなどに入れて陳列している。そのため、見た目の良さは特に重要だ。 スタッフの中には、フードコーディネーターの資格を持つ人がおり、そのスタッフが、こうした食味以外の点も含めて監督している。 「サンド済みで陳列しているのは、スタッフにとっての作業のしやすさを考慮してのことです。また、10分でも置いておくと乾燥して味が落ちてしまうので、袋に入れていますが、中身が見えるように窓のある袋を採用しています。窓からの見た目がよくなるように、『仕上げにお化粧してあげましょう』と声をかけています」(鳴海さん) サンド済みの商品は二次使用ができないため、売り切らなければならないが、これまで一度も廃棄したことはない。 「せっかく作った食べ物なので、絶対に無駄にしないという考えを、重視し、日々努力しています」(鳴海さん) SHOP DATA 住所:〒235−0007神奈川県横浜市磯子区西町14−3 電話:045‐353‐3351 営業時間:午前7時〜午後3時から午後6時の間(売り切れ次第終了) 定休日:日曜、祝日 品揃え:80〜100品目 スタッフ:製造常時6人、販売常時3人 店舗面積:厨房11坪、売り場3坪、カフェスペース2坪 | ||||||||||
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。




























