客数増加の源は、結局明るく大きな声だった - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話 - ブランスリー電子版

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連載/2018年3月号

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客数増加の源は、結局明るく大きな声だった - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話
 ブランスリー報道社がある町の商店街には、焼きたてパン屋のベーカリーAがあります。当社が2000年に創業した時にはすでにあって、パンはそれなりにおいしく、私もたまに購入していました。地味ながら、地元の固定客も一定数掴んでいる様子で、着実に頑張っているという感じでした。
 ところが、確か5〜6年前だったと思うのですが、フランス語のおしゃれな店名のベーカリーBが、すぐ近くにオープンしたのでした。店員が黒ずくめのコックコートを着て接客し、高級感を演出するベーカリーでした。
 私も、その新しくオープンしたベーカリーBを見たときに、「こんなおしゃれなベーカリーができたんだ」と思いました。選択肢が1つ増えて2つになり、ほぼ同じ頻度で2つのベーカリーを利用するようになりました。「強力なライバルができて、ベーカリーAは大変だろうな」と他人事ながら心配していたのですが、ベーカリーAはその後みるみるうちにいい方向に変わっていきました。最初は、前より、「いらっしゃいませ」の声が大きくなって、笑顔が多くなったかな、ぐらいにしか思わなかったのですが、行く度に、客の数が多くなって、「すごいな」と感心していました。
 私は、いつの間にか、ベーカリーBへ行く頻度より、ベーカリーAへ行く頻度の方が多くなっていました。
 2つのベーカリーに通っていると、あらゆる面で、比較をしてしまいます。私のパンの食シーンを少しでも楽しいものにするために、バゲットはベーカリーAの方が味わい深いけど、あんぱんの餡は、ベーカリーBの方がきめ細かさがあって量も多い、などと、色々比較検討してしまうのでした。結局私の評価は、パンについては、五分五分の勝負、というものでした。
 にもかかわらず、ベーカリーAに行く頻度の方が多くなったのは、接客についての思い入れからだったと思います。しかし、ベーカリーBの接客が悪い訳ではありません。接客のチーフと思われたのは、とても雰囲気のいい女性で、まるでホテルで接客されているかのようでした。
 一方、ベーカリーAの方は、強力なライバルが出現したことに危機感をいだき、おそらく、オペレーションを見直して、接客にそれまで以上のホスピタリティーを盛り込んできたのだと思います。しかし、店の雰囲気は劇的によくなったのですが、スタッフひとりひとりに落とし込まれた行動の変化は、前述のように、声が明らかに大きくなったことと、表情が明らかに明るくなったことぐらいだと思います。あとは、多分、スタッフ同士の連帯感みたいなものが強くなっているように、私には感じられました。
 あくまで、客として通った結果感じたことですが、店としての新たな接客の方針をスタッフ全員で共有して、頑張ったのだと思います。その連帯感が、行動の変化の継続につながり、少し時間が経つと客が増え始め、店に活気が出てきて、そのことが、さらにスタッフたちのやる気につながる、という好循環を生んだのだと思います。
 ベーカリーBは、その後数年して撤退し、今は、昔と同じようにベーカリーAだけになりました。ベーカリーBと争っていたピーク時よりは、若干落ち着いている感じですが、それでも、ベーカリーBが出店する以前と比べたら、はるかに活気のある繁盛店になっています。(RO)









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