基本は美味しさを追求すること - マミーブレッドの伊吹裕介専務 - ブランスリー電子版

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インタビュー/2018年3月号

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基本は美味しさを追求すること - マミーブレッドの伊吹裕介専務
レストラン部門を担当する専務の伊吹裕介さん
 東京・新宿区内の東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩約5分の所に、今年で創業34年を迎えたベーカリーレストランの「マミーブレッド」(電話03−3357−7779)がある。創業者は現代表の伊吹真波さん。都内のロシア料理店から料理人を迎え、大手ホテルのホテルベーカーをパン職人として招いた。そして、1980年代には当時としては珍しかったベーカリーレストランをオープンした。今年、創業以来初めての本格的な価格改定を実施した。これまで価格改定をしなかったのは、顧客優先を通してきた結果でもある。今回は、10年前からレストラン部門を担当する専務の伊吹裕介さん(43歳)に顧客目線の経営について話を聞いた。



レンガ創り風のマミーブレッドの外観
広々したパン売り場でゆっくり商品選び。昼時は調理パン類が主流
レストランコーナーで昼食を楽しむ女性たち。全体的に女性客が多い。
創業以来の価格改定を実施

―――最近値上げしたのですか。
伊吹 ええ、この1月に値上げしました。全商品ではありません。商品によって上げ幅は異なりますが、平均すると10円から20円といったところです。レストラン部門は2年半ほど前に値上げしました。
―――34年も経営していれば何度か通る道ですよね。
伊吹 確か、1989年(平成元年)に消費税が導入された時に、多少価格をいじった感じですね。それ以来です。
―――初めての本格的な値上げというわけですか。
伊吹 そうなります。人気商品の一つである「くるみあんぱん」は、タップリとくるみが入ります。これまで、原価割れの状態でした。それと、調理パン・サンドイッチリ類は特に価格を抑えてきましたので、値上げはやむを得ないと思っています。パンの品揃えは60種類ですが、調理パン類の割合は50%以上を占めていますので。
―――よくこれまで、値上げをせずに来ましたね。
伊吹 お客様目線に立って、従業員と相談しながら日々経営をしています。簡単に値上げは出来ません。食パン1斤400円の値付けをしたいと思う気持ちもありますが、それはお客様にとっても現実的ではありません。お客様は値上げ後の価格でも、他店よりまだ安いと言ってくださりますが、私どもはこの価格改定で経営的には落ち着いてきたと感じているところです。

難しい人材募集

―――人手不足の問題も大変ですよね。
伊吹 最近は本当に人が集まりません。アルバイトの募集には困りませんが、職人さんとなると難しいです。20年前なら苦労することはありませんでしたが、今は違います。こちらが望む人は中々来てくれません。今は製パン経験15年程の女性パン職人が1人でパン作りを支えています。もう一人是非欲しかったので、募集を掛けたのですが、中々採用できず、ようやく2月に男性のパン職人さんに決まりました。
―――どのような人を求めていたのですか。
伊吹 きちんと目的を持っている人です。以前店のパン作りを支えてくれた職人さんの一人は、デニッシュ作りならあのベーカリー、甘食はこのベーカリーといったように、自分自身の技術力向上に向けて意識的に修業を続けてきました。そのような人が望みでした。
―――給料も考慮されるわけですね。
伊吹 はい、実際に技術力を見たうえで最終的に給料の額を決めています。



トマトを挟んだサンドイッチは、ホテルで供される品と同じと評判
あんとくるみがタップリ入ったくるみあんぱん
レストランで提供されるマミーブレッド。パン生地の下にはクリームシチューが入る
グラタンとドリア計7種を2年前から製造販売している
自家製具材で強み発揮

―――創業は1984年(昭和59年)ということですが、当時としてはベーカリーレストランは珍しかったのでは。
伊吹 珍しかったそうですよ。元々ベーカリーだった店舗を買い取ったのですが、思った以上に面積が広かったので、レストランの併設を考えたんです。
―――何故レストランを。
伊吹 それまで、都内のロシア料理店と関わりがありました。その店の料理人に声をかけ、レストラン部門を担当してもらうことにしました。それが、切っ掛けです。
―――レストランとの関係が自然に現在のスタイルを誕生させたんですね。
伊吹 今ではベーカリーカフェなどは当たり前にありますが、当時は目新しい業態だったと思います。開業当時この地域は、ビジネス街でしたが飲食店はあまりありませんでした。
―――現在はどの様に変化したのですか。
伊吹 マンションも増えました。会社員の方々も来店しますが、家族が多くなりましたね。それと、以前より、弁当屋、コンビニエンスストアなどが増えました。お客様は拡散していると思います。ただ、ファミリーレストランが出店されていませんので、正直助かっています。土曜日になるとお陰さまで多くの家族連れで賑わっています。
―――それを支えているのがパンと料理ですね。
伊吹 レストランがありますので、調理パンやサンドイッチの具材の多くを自家製で作れます。それが、店の強みです。最初のパン職人さんは大手ホテル系のベーカーでした。当店のパンの基本レシピはこの方の影響が大きいですね。
―――基本レシピに変化はないのですね。
伊吹 基本レシピに変わりはありません。かつて、当店で働いていた職人さんたちが色々と案を出して工夫を重ねてきました。時代に合わせた変化はしています。例えば、サンドイッチ用の食パンにはミミをつけたまま提供しますので、ミミを食べやすくする工夫をしています。
―――変わらない商品は。
伊吹 代表的な商品は店名にもなっているマミーブレッドですね。
―――ロシア料理のつぼ焼きのような。
伊吹 初めに料理部門を担当したロシア料理出身の職人さんの発想です。カップにクリームシチューを入れ、パン生地でフタをしました。レストランの他にテイクアウトもします。開業当初は珍しさもあって、一番人気の商品でした。キーマカレーと2種類を販売しています。
―――テイクアウト用の販売方法は。
伊吹 電子レンジで温められるようにボックスをつけての販売です。量はレストラン用より少なめです。

料理活かし飽きない工夫

―――先程、調理パン等の具材の多くが自家製との話がありました。これは、ベーカリーとレストランが融合している結果ですね。
伊吹 パンは毎日食べるものです。お客様を飽きさせない方法を考えることが大事だと思います。
―――どんな方法がありますか。
伊吹 調理パンのトッピングを季節によって変えるのもその一つです。お客様から「毎日食べても飽きない」とほめてもらえるのが嬉しいです。工夫のし甲斐があります。
―――何か特別な材料を使いますか。
伊吹 特にありませんが、驚いたことがあります。私どもでは25年前から油脂に発酵バターを使っています。それが、店の魅力を伝える点になるとは気が付きませんでした。クロワッサン等のサクさを出そうと使ったのが切っ掛けでした。他店が使用をアピールするのを見聞きして、関心しました。
―――あまりこだわりがないのですね。
伊吹 材料に特段こだわりはありませんが、悪い材料は使わない選択はしています。お客様にはいつでも美味しく食べて欲しいと思っています。そのため、自分たちや自分の子供たちが安心して、美味しく食べられる商品を提供することを常に意識しています。
―――創業以来、お客との結びつきを大切に商品作りをしてきたということですね。
伊吹 今後も変わることのない私どもの基本姿勢です。





原価計算女王
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