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| 特集/2018年3月号 |
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| 石窯ベーカリーの新展開
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その後、新店設立から8年が経ち、石窯のあるパン屋として地元に根付いた店へと成長した後、新機種に交換。 それから4年半経った現在も、同店の石窯はオープン時と変わらず入口を入ってすぐ右手の売場からはっきり見える場所に置かれている。 1日に何度か決まった時間に焼き上がったパンが窯から出され、すぐ前の作業台に置かれ客の目の前で仕上げなどが行われる。 主に「バタール」(取材当日は土曜セールで39円引きの税別205円)、「十勝バゲット」(税別241円)などのハード系プレーン商品のほか、おなじくハード系生地にチーズを練り込んだ「チーズブール」(税別500円、ハーフ税別260円)や、フランスパン生地を使った食パン「大地食パン」(税別325円)などが焼成されている。 また場所が空けば流動的に色々な種類のパンを入れて焼く事もあるという。香ばしい焼きたてのパンが窯から出され次々と並べられていく姿は、客の視覚と嗅覚を直接刺激する。作業台のパンは場合によってはその場で小さく切られ、試食として提供される事もある。 「火力が強いので何かあって短時間で焼成したいような時にも石窯は便利です」(佐伯さん) ただ1段のみのタイプを入れているので、一度の焼成で入れられる量には限りがある。その他の食パンやソフトな惣菜パン、菓子パンなどは併設する3段タイプのデッキオーブンで焼成する事が多い。 それでも石窯から客の目の前で取り出されていくパンの姿は大きなデモンストレーション効果がある。勿論、石窯で焼いたハード系のパンには根強いリピーターも多い。 現在同店は、多い時で1日の来店者数が800人を超える事もある繁盛店だ。ただ現在は、食パンやハード系のパンのほか惣菜パンや菓子パン、サンドイッチに至るまで幅広く様々な種類を揃え、地元住民に愛されている事、スカイツリーなどへの観光客が立ち寄る事がある事も繁盛の理由として大きくなってきている。 「それでも石窯はオープン時にはインパクトが強いですから、初期の段階では店の成長に大きく貢献してくれたと思います」(佐伯さん) | |||||||||||||||||||

一方で、佐伯さんは、新店を今後出そうとする人へ安易に石窯を入れる事をすすめはしないとも言う。「おいしいものを表現する形も多様化してきているから」というのがその理由だ。 例えば、生地の発酵の方法一つをとっても今は昔に比べて様々な方法があり、またトレーサビリティーを重視した作り手の顔が見える食品作りに注目が集まるなど、20年位前であれば考えも寄らなかったような事が起きている。 また石窯同様、通常のオーブンも改良が進み、今では部分的に石窯の機能を持つものや炉床に天然石を入れ蓄熱性が高いものも出てきている。 佐伯さんは「確かに石窯で焼いたパンはおいしいですし、店内に置くと見栄えがし集客効果はあります」と話す。ただ設置スペースの問題や予算、小物を含めて様々な商品を出す事を考えると、通常のオーブンと併用せざるをえない事が多い。「ある程度規模のある店なら良いと思うのですが、小規模店で少量多品種の商品を揃える場合は、省コストで小回りがきく通常のオーブンでも良いかもしれません」(佐伯さん) そんな同店にとっての今後の課題は人材教育という。実は昨年から完全週休2日制を導入した。今は、満足度の高い商品・接客サービスを生み出すためのシステム作りがまずは先決だ。 「石窯は店が伸びる大きなきっかけになりました。今後は引き続きお客様に喜んでもらうため、様々な取り組みに力を入れていきたいですね」(佐伯さん)。 SHOP DATA 店名:石窯パン工房KAMEYA 住所:〒131-0033 東京都墨田区向島3-39-8 電話:03-3625-2201 営業時間:午前6時30分〜午後7時 定休日:月曜、火曜 品揃え:80〜90品目 スタッフ:製造8人、販売7人 店舗面積:売場16坪、厨房34坪、テラス8席 日商:約60万円 | |||||||||||||||||||
| 石窯を使うことが強みになると確信していた - 石窯パン工房TAKU | ||||||||||
設置場所や看板で石窯をアピール 同店では、開業するに当たって真っ先に決めた機械がオーブンで、オーブンを石窯にすることについては迷いがなかったという。 オーナーシェフの高橋拓也さんは、石窯に決めた理由についてこう話す。 「石窯を使うことは、一番の強味になると思いました。石窯でパンを焼くと、むらなく焼けるので品質が安定するからです」 「開業前に勤めていた都内のベーカリーで、石窯は使っていなかなったのですが、その店でお付き合いのあったメーカーから石窯についての情報は入っていましたので、開業するときは石窯を使いたいという思いがいつの間にか固まっていました」(高橋さん) 石窯を使うことのメリットは、客に対しても積極的にアピールしている。輻射熱と遠赤外線の作用によって、おいしく焼き上げることができるという内容を書いた看板を、店の前を通る人に向けて掲示している。 また、店内に入ると、まずはじめに目線の先に石窯がくるように設置した。 「石窯の設置場所が大事だと思いました。当店のお客様が必ず目にできる場所にして、石窯で焼いていることを知ってもらい、だから当店のパンはほかと違うということを実感していただきたいと思ったからです」(高橋さん) 実際石窯が見えることなどから、客から石窯について聞かれることも多いという。 「細かいことを訊ねてくる方はいらっしゃらないですが、『大きくて立派な窯ですね』とか、『高そうですね』などと、窯を見ながら褒めていただくことがあります。そういうとき、『あの窯は、石窯なんですが、炉床の石の部分が、大きな一枚の石でできているんですよ』と話すと、驚かれます。もっと興味がありそうな方には、『一枚の石だと、つなぎ目がない分、熱を逃がさず一気に焼き上げることができるんです。均等に熱が入るのでおいしく焼けるんですよ』などと説明します。でも、お客様には、こうした細かい説明をするのは、ちょっと違うかなとも思うので、滅多にすることはありません。おいしいと思っていただくことが大事ですから」(高橋さん) | ||||||||||
同店の主な客層は、地元の高齢の女性や学生だ。また、温泉のある湯河原町ならではのことだが、近隣の別荘地から車で買いにくる人も多いという。 「ソフト系を好む方と、ハード系を好む方と、お客様のタイプはかなりはっきりと分かれています。別荘地から車で来店される方の中には、『ハード系はこちらのパンと決めているんですよ』とおっしゃってくださる方もいます」(高橋さん) ハード系は、「バゲット」(税込290円)や、クルミ入りの「カンパーニュ ノア」(税込500円)、このほかゴマ入りのものなどで、大きめに焼き上げたものが多い。 「石窯で焼き上げると、短時間で焼き上がって水分が余分に出ず、中がしっとりと焼き上がります。固いのが苦手という方には勧めることはできませんが、保水力のあるハード系のパンは、ぱさつかないので食べやすいと思います」(高橋さん) 食パンは、角食の「食パン〜TAKU〜」(税込250円)、山型の「食パン〜海〜」(税込280円)、地元の名産品の湯河原みかんの皮を練りこんだ角食「食パン〜山〜」(税込500円)など、6種類ほど揃う。 「自家製酵母として、地元の酒蔵の酒粕から起こした酒種を、ハード系以外のパンに使っています。食パンは、その酒種を入れていることと、さらに石窯で焼き上げることで、よりしっとりとした食感に仕上がっていると思います。湯河原みかんの皮を練りこんだ『食パン〜山〜』の生地は、卵とバターをたくさん使っているので、ブリオッシュに似た生地なのですが、ふわふわしてかつ、しっとり感もある焼き上がりになります。みかんの皮は、知人のジャムメーカーに特注しているのですが、みかんの香りは、身よりも皮の方にあるということで、その皮を細かく加工してもらったものを、生地に練りこんでいます。石窯だと、水分を飛ばさずに済むので、みかんの風味もしっかり保持できているのではないかと思います」(高橋さん) 「食パン〜山〜」と同じ生地を使ったあんぱん「湯河原あんぱん みかん」(税込160円)もあり、ご当地あんぱんとして売り出している。星形の形状と黄色味のある見た目で、土産にも向きそうな商品だ。中の甘さ控えめの粒あんと、みかんの風味が爽やかで、しっとりとした食感のパンと、バランスよく融合した味わいとなっている。 このほか、「クリームパン」(税込140円)や、「酒種あんぱん」(税込130円)などの菓子パンや、豆乳を練りこんだ生地に、サイコロ状のチーズをたっぷり巻き込んだソフトな食感の「Wにゅ〜」(税込180円)などの総菜パンなどバラエティー豊富な品揃えになっている。 「前に働いていたベーカリーではレストランへの卸しをしており、製造量が多かったので、バゲットなどのハード系専用のフランス製の窯と、ソフト系専用の平窯を使い分けていました。今はすべて石窯で焼いています。様々な好みのお客様に合わせた商品を焼き上げるのに、不足はないですね」(高橋さん) | |||||||||||||||||||
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パンから菓子まで一日中製造できる
パンのほかに、「パンプディング」(税込180円)や地元の豆腐店の豆乳を使った「豆腐プリン」(税込200円)などの生菓子、「オレンジラスク」(税込150円)や「クロワッサンラスク」(税込150円)、「スコーン」(税込100円)などの焼き菓子もあり、これらは、パンを焼き上げたあとの余熱を利用する。 「パンを焼き上げた後、火を落として、180度Cに下がったらスコーン、150度Cでプリン、100度Cでラスクという風に順番に焼いていきます。ラスクは扉を開けて乾燥焼きするのですが、一晩そのままの状態で置いておきます。火を付けていなくても蓄熱性があるので一日中利用でます」(高橋さん) しかし、蓄熱性があるということが、反対にデメリットに感じることもあるという。 「温度を下げたいときは少し工夫が必要です。山食のように蓋をしないで焼くパンは、上火を低くしたいのですが、蓄熱性が高いので、なかなか下がらないんです。でも、慣れれば気にならないと思います」(高橋さん) SHOP DATA 店名:石窯パン工房TAKU 住所:〒259‐0301 神奈川県足柄下郡湯河原町中央1‐20‐7 電話:0465‐63‐3377 営業時間:午前9時〜午後6時 定休日:日曜、第2第4月曜 品揃え:約60品目 スタッフ:製造2人、販売2人 店舗面積:厨房12坪、売り場8坪 日商:3〜4万円 |
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