オリジナルの味が近所で評判に - ミルメルシー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2018年2月号

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オリジナルの味が近所で評判に - ミルメルシー
横溝寛治さんと妻の近子さんの2人で、製造と販売をこなす
自宅を増築して構えた「ミルメルシー」の店舗
縦に長い造りの店舗。レジの奥に厨房がある
手が空いているときは、2人で販売に立つ。近所の客と日常会話が絶えない
住民にとって待望のベーカリーのオープン

 「20年位前ですが、土地を探して家を建てようというとき、すでに何か店をやるつもりでいました」と話すのは、神奈川県川崎市のベーカリー「ミルメルシー」の店主、横溝寛治さん。
 同店があるのは、東急田園都市線・梶が谷駅から徒歩4分の住宅街。15年間住み続けた自宅を増築して店舗を構え、2014年4月に開業した。
 「当店の前の道は、車も人もよく通るのですが、その割に店が少なくて、ベーカリーもありませんでした。オープンの告知は、約1カ月前に店舗前に看板を出した位なのですが、近所の方々がとても楽しみにしてくださっていたようで、お客様の数も、オープン当日から予想をはるかに超えて、1カ月くらい対応しきれない状態が続きました」(横溝さん)
 横溝さんの元の職業は電機メーカーのエンジニア。50歳の切りのいいタイミングで、ベーカリー開業を志した。妻の近子さんは、料理が好きで、パン作りも自宅で行っていたが、子育てが落ち着いたのを機に、約8年大手ベーカリーチェーン店舗の製造を担当するなどし、さらに腕を磨いた。
 「開業は定年後を考えていたのですが、パン作りは重労働だということを考慮すると、少しでも早い方がいいと思いました」(横溝さん)
 横溝さんは退職後すぐに、あるパン酵母製造会社に研修を受けに行くなどしてパン作りを学んだ。
 開業は結局、横溝さんが退職してから1年後となったのだが、近子さんはその展開の早さに驚いたという。
 「自分自身、学生の頃からパン作りをしたいと思い続けていましたし、夫と開業の話もしていました。ですが、退職を決めてから開業までの夫の行動力と展開の早さに、正直戸惑うくらいでした。『本当にパン屋さんができるんだなあ』という信じられない気持ちもありました」(近子さん)
 現在、製造と販売ともに、横溝さんと近子さんが二人で行っており、深夜に及ぶ仕込みの作業は横溝さんが主に行っている。土曜日など学校が休みのときは、娘二人が製造と販売のそれぞれ得意な方を手伝う。アルバイトやパートは雇っていない。
 「最初は疲れて、夕飯を食べながら寝てしまうことがよくありました。最近はようやく、手が早くなってきたのと、段取りがよくなってきたことで、睡眠時間が最低限確保できるようになってきたと思います」(横溝さん)
 営業時間は、午前10時半から午後8時。閉店時間にこだわりがある。
 「会社帰りの方がよく来店して下さいます。片付けや仕込みで遅くまで店に残っていますから、その間も買っていただけるようにと、開けるようにしたんです」(横溝さん)



一番人気の「揚げカレーぱん」(税抜200円)。カレーとパンの量のバランにこだわった、パンのおいしさも十分に楽しめる商品
「揚げカレーぱん」の断面
「フルーツグラノーラ(メープル)」は、大サイズ(税抜680円)と小サイズ(税抜230円)の2サイズあり、月に2回の限定販売
「プレーン」(税抜160円)や「シナモンレーズン」(税抜200)などのベーグルは、6種類ほど揃う
ベーグルの「プレーン」の断面。外はパリッと、中はふんわりとした食感が特徴
苦手な人も好きになってしまうアイテムが豊富

 酵母は天然酵母(自然培養酵母)、砂糖は種子島の粗製糖、塩はシママースを使い、基本となる生地のおいしさを第一としたパン作りをしている。
 開業時30種類だった商品は、人気のベーグルや揚げパンなどの種類が増えるなどして、現在約50種類で安定している。
 「揚げカレーパン」(税抜200円)は、当初から不動の一番人気商品で、近子さんがフィリングのカレーを開発した。
 「フルーツを隠し味にしたキーマカレーであることという、私のこだわりのもとで、試食に娘たちも加わり、家族皆が納得する味になるまで何回も試作を繰り返して完成させました」(近子さん)
 カレーを包む生地は、揚げパンと同じもので、まわりにまぶすパン粉は「山型食パン」から作ったもの。
 「食感がとにかくいいんです。パン粉のサクサク感とパンのもっちり感がしっかり楽しめます。でも一番特徴的なのは、生地とフィリングのカレーの割合です。カレーの割合が少ないんです」(近子さん)
 一般的には、中のカレーは、量が多いことを強調するが、同店はその反対とも言える特徴を持たせている。「揚げカレーパン」を半分に割ってみると、パンとカレー間に隙間はなく、カレーを厚みのあるパンでサンドしているような構造となっている。
 「中からカレーがどろっと出てくるようなタイプが苦手で、キーマカレーにしたいと思ったんです。また、パンとカレーの、それぞれの量のバランスを重視しています。それによって、パンのおいしさをカレーが引き立てるような味に仕上がっていると思います。『カレーパンは苦手なんだけど、これなら食べられる』と言ってくださるお客様もいらっしゃいます」(近子さん)
 「揚げカレーパン」だけでなく、「プレーン」(税抜160円)などのベーグルも、「専門店のは食べられないけど」などと言って購入していく客がいる。
 同店のベーグルは、外がパリッとして中はふわっとしており、自然な甘みがあるのが特徴だ。
 「天然酵母の特徴が出やすいアイテムだと思っています。揚げぱんもそうですね」(横溝さん)
 「シュガー」(税抜130円)などの揚げぱんも、思っていた以上の人気アイテムとなり、現在常時5〜6種類揃えている。
 これらのアイテムに限らず、同店のパンに出合ってから朝がパン食に変わったという常連客もいる。
 「原材料に米を使っている天然酵母で作っているから、日本人にとって食べやすい味になるのだと思います。以前ハード系は、レーズンやヨーグルトで起こした酵母を使っていましたが、ある業務用の天然酵母に変えました。安定性を得るための負担が減っただけでなく、味も食べやすくて好評です」(横溝さん)
 同店には、月に2回売り出す常連客をとりこにしている人気商品がある。パンではなく、オーツ麦をベースに作るグラノーラだ。大小2サイズあり、リピーターは大サイズを複数まとめ買いしていく。毎回すぐに売り切れる。
 「元々は自宅で食べるために作っていたものです。グラノーラだけ買っていかれる方もいるほど、気に入っていただける商品になったのは嬉しいです」(横溝さん)
 将来的には、パン教室を開催したり、「パンのビュッフェとワインの会をやって欲しい」などという客の要望に応えるべく、ワインを扱ったり、様々なイベントを行うなどしていきたいという。

SHOP DATA
店名:ミルメルシー
住所:〒213−0033 神奈川県川崎市高津区下作延2−33−16
電話:070‐6401‐0141
営業時間:午前10時30分〜午後8時
定休日:日曜、第1、3月曜
品揃え:50品目
スタッフ:製造・販売2人
店舗面積:厨房4・2坪、売り場3・5坪
日商:平日6万円、土曜祝日9万円



この記事の読みどころ

●片付けや仕込みで遅くまで店に残っているのだからと、午後8時まで営業するようにした。
●カレーパンは、一般的な製品よりカレーの具をかなり少なめにして、パンの美味しさをカレーが引き立てるような形にしたところ、人気が沸騰し、カレーパンが苦手だった人にも受け入れられた。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。



原価計算女王
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