菓子パンもサンドイッチも具沢山 - ブーランジェリー クー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2018年1月号

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菓子パンもサンドイッチも具沢山 - ブーランジェリー クー
住宅街に馴染む佇まいの「ブーランジェリー クー」。入店を待つ人の列が絶えない
狭い店内に、ベーグル、あんぱん。クリームパンなどがぎっしりと並ぶ
具がごろごろと入った「抹茶と渋皮栗ホワイトチョコとさつま芋のパン」(税込490円)
「抹茶と渋皮栗ホワイトチョコとさつま芋のパン」の断面
一番人気の「クリームパン」(税込190円)
「クリームパン」の断面
狭い空間に並ぶ150種類のパン

 千葉県船橋市の新興住宅地に、2017年11月に開業8周年を迎えたベーカリー「ブーランジェリー クー」はある。道路を挟んだ向かいには大型マンションが立ち並び、子ども連れが集う公園や公民館からもほど近い。しかし開業当時は、「周りに何もないという印象でした」と、オーナーシェフの中島直人さんはいう。
 「ここでパン屋をやると言ったら、融資元の銀行の担当者に『ここは人がいないですから、難しいですよ』と言われたほどです。でも、一番重視していたのが、公園の近くの立地ということだったのでそこまで気にせず、ここを選びました。それから開業して3、4年経つと、景色も変わるほど住宅が増えてきて、賑やかな街に変わりました」(中島さん)
 店前には入店を待つ人の列が絶えず、扉が開くと、一人出て一人入るというシーンが繰り返される。入り口横に、定員7人という旨が書かれた貼り紙がある。売り場は小さく、通路も、客同士「すみません」と声を掛け合いながらすれ違うというほどのぎりぎりの幅しかない。そんな狭い空間に、150種類ものパンが並ぶ。
 二つある窓も小さく、店内の様子は外からはほとんど見ることができない。そのため、150種類ものパンは、扉を開けてからのお楽しみだ。
 「ドアを開けた瞬間、どきどき、わくわくするようなパン屋にしたいと思って設計しました。売り場のスペースは、建物の柱の位置がずらせないという事情があるのですが、ぎゅっと詰まったお店にしたいと思ったので、あえて狭い造りにしています」(中島さん)
 L字型の通路に沿うようにみっちりと並べられたパンは、「ごまあんぱん」(税込80円)や「ミルクキャラメルあんぱん」(税込80円)など8種類も揃うあんぱんなどの菓子パンや、ベーグル、ドーナツ、テーブルロール、食パン、ハード系、キッシュなどで、バラエティー豊富だ。

組み合わせで生まれる美味しさを提案

 25種類も揃い、ボリューム満点の具が好評なのは、サンドイッチだ。パンは、「角食パン」(税込290円)や「バゲットクー」(税込300円)など7〜8種類を使う。パンに塗るペースト類は、有塩バターだけでなく、わさびマヨネーズやミックスクリームチーズ、タプナードなどもあり、これらは自家製だ。それぞれ使い分け、様々な具と組み合わせることによって、相乗効果でさらなるおいしさを作り出す。
 「『端から端まで具がたっぷり入っていて欲しい』『たくさん食べたいけどヘルシーなものがいいな』などといった声をもとに、食べる側の立場で考えて作っています。また、同じ具材でも、パンを変えることで全く違う印象の味になったり、『このパンにこの具材が合うんだ』と新発見したりすることも多いですね。このように、いろいろな味を楽しめるのがサンドイッチの魅力だと思います」(中島さん)
 「ツナとタマゴサラダサンド」(税込240円)など定番のもののほか、秋冬限定の「ツブ貝とキノコソテーのバゲットサンド」(税込470円)という変わり種もある。自家製タプナードを塗ったバゲットで、ツブ貝、4種類のキノコのソテー、カマンベールチーズ、クルミ、などをサンドした商品だ。
 「『ツブ貝がパンに合うとは思わなかった』などという声が聞かれ、お客様にもその意外性を楽しんでいただけており、5年くらい前から秋冬の恒例メニューとして根付いています。このメニューを考案したのはサンドイッチ担当のパートスタッフですが、お客様からのリクエストで生まれるメニューもあります」(中島さん)
 まわりの意見を柔軟に取り入れることによって、中島さん自身も味の新発見を楽しんでいるようだ。
 しかし、メニューが豊富に揃うサンドイッチを、ペースト類も、サンドする具も自家製で作り上げるためには、使用する食材も多く、それらの管理は大変だ。
 「野菜の保管場所を確保するのが一番大変で、数年前にプレハブ型の冷蔵庫を外に設置しました。それでも、連休のときなどはパンパンになります。また、葉っぱものなど日持ちしない野菜はこまめに買い出しに行ったり、ネットスーパーを利用したりします。ネットスーパーは、きちんと選んでしかも配達していただけるのでとてもありがたいサービスだと実感しています」(中島さん)



具がたっぷりの「ツブ貝とキノコのソテーのバゲットサンド」(税込470円)
「鴨肉ときゅうりのバインミー」(税込490円)や「ツブ貝とキノコのソテーのバゲットサンド」(税込470円)など、ボリュームたっぷりのサンドイッチは25種類ほど並ぶ
フルーツが彩りよくたっぷり盛られたデニッシュやブリオッシュが売り場を鮮やかにしている
「ツナとタマゴサラダサンド」(税込240円)など三角サンドも具がたっぷり
厨房では常時5〜6人ほどのスタッフが製造している
限界を感じてから、人に任せられるように

 具の量が多いという特徴は、サンドイッチだけでなく、同店の商品すべてに言えることだ。「抹茶と渋皮栗ホワイトチョコとさつま芋のパン」(税込490円)や「チョコオレンジカシューナッツのパン」(税込350円)などのハード系の商品も、スライスすると、大ぶりの具がごろごろと顔を出す。
 テレビ取材で一気に火が付き、同店の客足を一層増やすきっかけを作った一番人気の商品「クリームパン」(税込190円)も、中身のクリームの量が多いため、手に持つとその重さに驚く。生地量45グラムに対し、90グラムのクリームを包んでいる。クリームは、バニラビーンズがたっぷり入った風味豊かな甘さ控えめの味だ。
 「クリームの量は最初から多かったのですが、お客様に喜んでもらえるのが嬉しくて、ちょっとずつ増えてきていると思います。クリームの量と甘さのバランスは大事で、量が多い分、甘さはだいぶ抑えています」(中島さん)
 「クリームパン」に続き、サンドイッチもテレビ取材を受け、忙しさに拍車がかかった。開業当初は中島さん夫妻とパート合わせて4人で製造販売を行っていたが、現在は社員10人と、パートが4人いる。
 「当面の課題は、社員の人数が増えた分の売上げを上げることです。社員の待遇を改善することが、長く勤めてもらえることに繋がります。休みも、年間120日以上とれることを目標にしています」(中島さん)
 中島夫妻の修業先である千葉県のベーカリー、ツオップの伊原シェフを訪ねた際も、同シェフとの会話の中で、社員の待遇改善の重要さを感じたという。
 中島さんは、社員の待遇の改善と合わせ、社員を育てていくことの必要性もここ数年実感している。妻の知美さんが体調を壊し、製造や経理などの業務ができなくなってしまったからだ。
 「もともと人に任せることができない性分で、仕込みなどすべて自分でやらないと気が済まなかったのですが、妻の分の仕事も増えて限界を感じたのを機に、ほかのスタッフに任せられるようになったんです。自分も、任せてもらえたから今があると、やっと思えるようになったんだと思います」(中島さん)

SHOP DATA
店名:ブーランジェリー クー
住所:〒274−0060 千葉県船橋市坪井東2‐14‐27
電話:047‐497‐8340
営業時間:午前7時〜午後6時
定休日:水曜
品揃え:150品目
スタッフ:製造常時5〜6人、サンドイッチ製造2人、販売常時2〜3人
店舗面積:厨房15坪、売り場6坪
日商:平日25〜35万円、土曜日曜55万円



この記事の読みどころ

●狭い空間にパンをぎっしりと並べ、外からは見えないようにして、ドアを開けた瞬間、わくわくするようなパン屋にしたかった。
●サンドイッチや菓子パンの具の量をできるだけ多くした。
●自分も先輩に任せてもらえたから成長できたと悟ったとき、スタッフ達に色々な仕事を任せられるようになった。



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