The new year in and the old year out - ブランスリー電子版

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特集/2018年1月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


The new year in and the old year out




人材教育に力を入れ店舗を拡大 - ボンヴィボン
オーナーの児玉圭介さん
神奈川県横浜市、「ボンヴィボン」青葉台店の外観
催事参加で技術力と知名度を向上

 神奈川県の横浜市青葉台と川崎市新百合ケ丘の2カ所に店舗があるベーカリー「ボンヴィボン」のオーナー、児玉圭介さんは2017年、新宿伊勢丹や日本橋三越など都内デパートの特別催事への参加に力を入れた。いずれも会場内の一角に期間限定の厨房と売場を設置しその場で製造した焼きたてのパンを販売するもので、期間中は各店舗から交代で二人ずつスタッフを連れて行ったという。「ねらいは普段よりも忙しい特別な場所で責任を持たせて製造作業をさせる事で、スタッフの技術力を上げる事でした」(児玉さん)。そのため、2017年は催事でも製品の販売だけをするものはあえて控える一方、製造作業が伴う特別催事には積極的に取り組んでいった。
 同店は本店である青葉台店で13人、2号店である新百合ケ丘店で17人のスタッフを抱えるが、青葉台店には比較的新人のスタッフが多い。新人も含め技術レベルにかかわらず、全員交代で催事へ参加させることが、短期間でスタッフの平均的な技術力を向上させる事につながったという。
 また「こうしたブランド力のある場所で催事に参加する事で、店の価値を高め、普段の商圏外の遠方の人にも当店の事を知ってもらう事ができた」(児玉さん)という。
 2017年の景況感や同店の売上について、児玉さんは「悪くはなかったのではないか」と見ている。原料高騰などの影響でコスト面は厳しいが、2016年に値上げしたこともあり、客単価は高くなってきている。加えて新しい兆しとして、今まで同店が多く抱えていたハード系商品のユーザーとは別に、ソフト系商品のリピーターが出てきた。食パンやコッペパン専門店などの台頭で価値が見直されている可能性もあるが、偏らず様々な商品を展開していることが、客数の増加にも貢献している可能性があるので、注意深く動向を見守る必要があるという。

3号店の出店で効率化と人材教育を強化

 2018年については、実は川崎市内の別の場所に3号店をオープンする計画が進んでいる。JR新川崎の駅から徒歩10分の大型商業施設内で家族連れが多く訪れる賑わいのある場所だ。40坪位の広さで10人以上のスタッフを投入し、大きく展開していく予定という。
 「スタッフの採用はまだこれからですが、立地条件の良い場所なのでチャンスだと考えています。オープンすれば店の知名度もさらに上がるでしょう」(児玉さん)
 また、店が3店舗に増えれば、もっと仕事の効率化を考えられるようになる。青葉台店と新百合ケ丘店の間が車で10分、新規3号店と他の2店舗が車で20分位の距離のため、同じ種類の商品を3店舗分一度に焼くなどすれば時間の効率化を図ることができる。
 「2018年の景況感はわからないですが、仮に景気は上昇しなくても、当店は盛り上げていきたいですね」(児玉さん)
 勿論、どんなに頑張っても成果が出ない事もある。ただしそんな時こそ、どう転んでもいいよう人材教育には力を入れ、若い人には自主性を育ててもらいたいそうだ。実は昨年からメニュー開発を新人にも取り組ませるようにした。「みんなが参加する形で、結果的に新人からの採用はなかったのですが、自分で何かを考えて作ると言う事を学んでもらったのは大きかったと思います」(児玉さん)
 実は同店は2017年から店の定休日を1日減らし売上を伸ばす一方、人の採用を増やしスタッフが交代で休む休日は完全週休2日を実現している。
 「結果的に全体の利益は減ったのですが、働く環境を改善した事は大きかったと思います」(児玉さん)

SHOP DATA
住所:〒227–0062神奈川県横浜市青葉区青葉台1–32–2
電話:045-983-5554
営業時間:午前8時〜午後7時
定休日:月曜
品揃え:約80品目
日商:平日20〜25万円 土日30〜40万円



アンテナは常に高くはっていたい - ペッパーズパントリー
オーナーシェフの松井修さん
陳列方法にも様々な工夫を凝らし、楽しさを演出した売り場
卸し先が増えて人手不足を実感

 千葉県木更津市のベーカリー「ペッパーズパントリー」は、この地で20年以上営む、地域に根付いたベーカリーだ。焼きたてのおいしさや、楽しさ溢れる売り場作りには定評があり、多くの人の心を掴んでいる。
 卸し販売も、地元の商業施設から「地元のパンを置きたい」との要望があり、同商業施設が3年前に開業したときから卸しているのだが、2017年、これに加えて地元の病院からも同様の要望があり、卸し先が2軒に増えた。
 「卸先が増えたのは嬉しいことで、製造体制は問題ないのですが、パンの荷造りや配達をする人手が足りていません。パン業界に限らずどんな業種でも人手不足であることを実感します。急遽、販売スタッフに配達に回ってもらっているのですが、それがずっと続いている状態で、早くなんとかしたいですね」(オーナーシェフの松井修さん)
 卸販売は2カ所とも毎日行なっているため、配達担当のスタッフはどうしても必要だという。

既存商品の改良と生地の開発が成功

 2017年は、2016年より売上がよかったという。その理由は、卸先が増えたことだけでなく、商品開発が成功したことがある。 既存商品の改良と、新しい生地の開発がそれぞれうまくいった。
 まず、既存商品の改良は、2017年6月頃行った。ソーセージをハード系の生地で巻いて焼き上げた総菜パン「ロングウインナー」のソーセージを、地元木更津市の養豚農家が作るソーセージに変更した。
 「地域のイベントで、たまたま口にしたフランクフルトがおいしくて。それが変更したきっかけです。そのフランクフルトを作っているのが市内唯一の養豚農家で、そこで豚を一頭買いしてソーセージとハムに加工してもらうようにしました。サンドイッチ用のハムも、こちらに変更しています」(松井さん)
 「ロングウインナー」の価格は、30円の値上げで、250円(税抜)となった。
 「ブランド豚ということで値が張るため、やむを得ずの値上げとなってしまいましたが、お客様には、地元の豚を使用していることと、おいしくなったことが受けて、さらに売れるようになりました」(松井さん)
 新しい生地の開発は、2017年の夏に行った。パンドロデブの生地をヒントに新たに開発した生地で、もちもちした食感のパンの「ミルクフランス チョコ」(税抜120円)など菓子パン系の3種類を焼き上げる。
 「新商品はよく出していますが、生地そのものの開発がうまくいくと嬉しさもひとしおです。ネーミングは、パンドロデブにこだわらず、わかりやすさを第一にしました。パンドロデブの生地を応用した商品はずっと課題だったのですが、食事系ではなく菓子パンとして作ろうと発想転換したことがよかったと思います」(松井さん)
 午前11時に並べても昼頃には売り切れてしまうほどの人気で、すっかり定番商品の位置付けになっているという。
 「商品を改良したことと、新たな生地を開発したことで、売上げも好調でした。『ミルクフランス』の生地を使った商品は今後増やしていく予定ですので、2018年も調子よくいくのではないかと思います。また、地元の養豚農家と出会えたことを振り返ると、アンテナは常に高くしていきたいですね」(松井さん)

SHOP DATA
住所:〒292‐0057 千葉県木更津市東中央3‐6‐3
電話:0438‐23‐0061
営業時間:午前7時30分〜午後8時30分
定休日:水曜
品揃え:160品目
日商:40〜50万円



品数を減らし質を向上させて効率化 - パンジャ
オーナーシェフの大内啓さん
色とりどりのフルーツなどがのったデニッシュは約15種類並ぶ
埼玉県入間市の「パンジャ」。自宅と同じ敷地内にある
新設したカフェとベーカリーの相乗効果

 埼玉県入間市のベーカリー「パンジャ」は、2017年10月末、同店の隣にカフェを新設した。
 「2017年の前半売上は前年割れでよくありませんでした。新規のお客様を開拓していきたいのと、少し足が遠のいているお客様には、また改めて同店のパンを知ってもらういい機会になればと、カフェを始めました。すると、カフェとベーカリーの相乗効果で、ベーカリーの売上が、V字回復できました」(オーナーシェフの大内啓さん)
 カフェの建物は、ベーカリーの建物とほぼ同じくらいの大きさがあり、64席設けた。それぞれの席の間隔は余裕をもたせ、天井は高く開放感がある造りだ。ベーカリーのイートインはそのまま残している。
 「カフェはイートインと役割が違うので、カフェでは食事をするだけでなく、ゆったりくつろいでもらうことに重点を置いています。メニューはパン屋のカフェとして、パンの盛り合わせを入れたランチなど、パンを中心にしていく予定です」(大内さん)
 2017年内はプレオーブンとし、2018年から本格的に始動していきたいという。メニュー展開がこれからの課題だ。
 「カフェに来店してくれたお客様のほとんどが、ベーカリーも利用してくれるので、ベーカリーの客層の中で、少ない層向けのメニューを作っていきたいと思っています。若い世代が少ないので、まずは子ども向けのメニューを用意していきたいですね。カフェの本格始動はこれからなので、2018年は、カフェの勢いに乗って、ベーカリーの調子も維持していくことができると思います」(大内さん)

少ない人手で作れる商品構成を目指す

 商品開発はこれまで、ほとんど大内さんが行なってきたが、2017年はスタッフに任せるようにした。
 「特に若手にやってもらうようにしました。自分の開発した商品が好評だと、スタッフの中だけでなく、お客様からも評価されたんだという実感を持つことができます。すると、やりがいを感じて責任感が出てきただけでなく、ネガティブな発言が明らかに減りました。愚痴の数が減ることによって、スタッフ全体の空気感もいい方向に変わります」(大内さん)
 2018年は、製造担当のベテランスタッフの3分の1が、配偶者の転勤など家庭の事情で退職する予定だ。
 「少ない人手でも作れるような商品構成を目指しています。2017年中は、パンの種類が150〜200あったのを、110くらいに減らし、生地の種類数を25から18に減らしました。2018年はさらに、製造工程の効率化を進めていきたいと思っています。例えば、自家製トマトソースはこれまで一つの製品にしか使っていなかったのを、最低でも3種類は展開できるようにするなどしていきたいです」(大内さん)
 ただ、週に5日ほど来店する常連客の中には、その変化に気付く人もいたという。
 「種類数が減っても、商品や生地の質は落とさず、むしろ上げていく気持ちで、取り組んでいくつもりです。常連のお客様に対して、裏切ることはできないという責任があります」(大内さん)

SHOP DATA
住所:〒358‐0054 埼玉県入間市野田939‐1
電話:04‐2932‐5808
営業時間:午前7時〜午後8時
定休日:木曜
品揃え:110品目
日商:30万円



景気回復を少しずつ実感している - パラオア
オーナーシェフの池口康雄さん
ハード系商品が充実している同店の売場
値上げしたが客数は減少せず

 千葉県鎌ケ谷市のベーカリー「パラオア」は、2017年8月の盆明けに、原料高騰や人件費などの増加を理由とした商品の大々的な値上げを行った。
 値上げした際にPOSレジを導入したが、幸いにも、客数の減少は殆ど見られなかったことがわかった。売上や客単価は値上げ分がそのまま伸びたので、コスト分を吸収できるようになったという。
 「最近は景気回復の兆しを少しずつ実感できるようになってきた気がしています」とオーナーシェフの池口康雄さんは話す。
 実は3年前、近隣に100円均一のベーカリーができた時は、一時的に売上が下がり半年位は苦戦したが、それでも同店の方向性は大きく変えなかった。品質重視で同店のパンを求めて来てくれる常連客がいたからで、その後、売上は徐々に戻ってきたという。
 「最近はSNSなどを通じて商品の情報を拡散する傾向にあるので、価格に見合った商品であれば消費者はお金を出すようになってきている。一時のようなとにかく激安品ばかり求める動きは、緩やかに、なくなってきているかも知れません」(池口さん)

催事の客は商品への興味が強い

 同店は2009年のオープン以来、素材や製法にこだわったパンを豊富に揃えた店として定評を得てきたが、実は2016年からデパートのパンフェスタなどの催事へ積極的に参加するようになったという。
 催事を通じ、同店の認知度が拡大。遠方から来てくれる客がちらほら増えたので2017年は特に力を入れた。
 「遠方なので頻繁にリピートしてくれることはあまりないのですが、店頭で色々話していってくれたり、当店の商品に強く興味を持ってくれる人が多いですね」(池口さん)
 催事で特に人気が高いのはカスクルートなどのパンを使用したサンドイッチ。また同店は口コミなどでハード系が強い店というイメージが強くなったので、実際の店頭ではソフトなパンも多く揃えているが、催事にはハード系でおすすめの商品を何点か持っていく。同じハード系でも様々な商品がある事を見せる事で興味を惹きつけている。

製造の面で、妥協はしたくない

 同店は国産や輸入小麦を含む数種類の小麦と、全粒粉酵母、サワー種、イーストの3種類の酵母を使い、一週間で16種類の生地を作っている。これまで池口さんは、じっくり作った様々な生地の味わいの深さをこの地域の住民に伝えたいという一心でパン作りに励んできた。
 そのため仕込みには時間をかける。実際の営業日は週4日だが、休みの日も仕込みで厨房に出ている事が多い。生地の種類を増やす事で商品も広げ、平日で約100品、土日で120品ほどを販売。現在製造の体制が池口さんとパートスタッフ一人との常時2人体制のため、人手不足感を常に感じている。2017年の売上は悪くはなかったが、人手の関係で外販ができなくなってしまったので「2018年はできれば復活させたい」(池口さん)という。
 それでも製造の面で妥協はしたくない。新商品を頻繁に出す事は厳しくても、季節商品の入れ替えや商品数を減らさない事で固定客は離さないようにしている。
 またむしろ最近はベーカリー以外の飲食店が競合になってきている点が気になるという。2015年8月に売場を全てセルフ式にして、イートインを設置したら好評だった。
 「ひょっとすると最近の売上増にも多少つながっているかも知れません」(池口さん)

SHOP DATA
住所:〒273-0107千葉県鎌ヶ谷市新鎌ケ谷4-6-28
電話:047−468−8046
営業時間:午前9時〜午後7時
定休日:月曜、火曜、水曜
品揃え:平日100品目、土曜、日曜120品目
日商:平日14万円、土曜、日曜21万円

景気は不透明でも客数は増えた - ラパンラパン
店長の宮本康晴さん
ハード系の商品が充実している同店の売場
夕方焼成を強化し寄り道客を獲得

 東京都足立区のベーカリー「ラパンラパン」の店長の宮本康晴さんは2017年から、ハード系のパンを中心に、夕方に焼成するパンの種類を増やした。
 同店は駅から住宅街に向かう通り沿いにあるため、夕方は店の前を会社帰りの人々が多く通り抜ける。そんな人達にちょっとでも興味を持って立ち寄ってもらうためにも売場を華やかにしたかった。
 「種類を増やした事で、結果的に夕方に新しく来てくれるようになったお客様が出てきて、夕方の客数が増えました。今年(2017年)うまくいって嬉しかった事の一つですね」と宮本さんは話す。
 もともと2011年の同店オープン時から、ハード系商品を充実させた店舗運営を行っていたが、乾燥しやすく食べごろの期間が短いため、朝、昼、夕方と日に何回かの焼成はずっと続けていた。それでも夕方になるとバラエティー系の商品の焼成は控えるなど種類は若干減らしがちだったという。
 2017年の景気動向について「今の段階ではまだ良くなってきているという実感はないですね」と話す宮本さんだが、客単価の増加が厳しくなっている現状だからこそ、朝、昼、夕方と広い時間帯で多くの人に訪れてもらえるようにしたかったのだという。
 2018年の景気動向についても不透明と感じているが、人件費や原料コストなどは上昇している。商品価格は2014年の値上げ以来は変えていないので、利益率は減っている。2011年の開店から6年以上が経ち、近隣住民を中心に一定の常連客がいるが、今後はさらに客数の増加を狙いたいところだ。
 景気が良くなっていくのであれば遠方からの新規客も取り込み、広く色々な人に同店のパンを食してもらえればと考えているが、そのためにもなるべく情報は広く発信していく必要があると考えている。
 実はもともとブログで店の情報を出していたが、2017年からは合わせてインスタグラムも開始した。最近では常連客から勤労感謝の日にもらった励ましの手紙が嬉しかったので写真をアップしたり、友人が経営しているベーカリーの写真もアップするなど、割と楽しんでやっている。

素材・製法のこだわりを表に出す

 宮本さんは2018年については、素材や製法の情報を、こちらから発信する事にもっと取り組んでみたいと考えている。具体的にはポップの文言をもっと詳しく書く事などを考えているが、今までは、商品の品質を上げる事に注力してはきたが、作る上でのこだわりや自分たちの思いを積極的に表に出す事はなく、ポップもシンプルに商品名や説明を入れたものが多かった。しかし以前、国産小麦の商品を出した時、客の方から興味を持ってくれて色々と聞かれた事があったので、伝える事も大切だと思うようになった。
 また、今年は国産小麦の商品の種類をもっと広げていきたいとも考えている。昨年は土日限定で出している国産小麦の食パン1品の展開だったが、好評なため同じ生地でもっと様々な商品を出したいと考えている。
 国産小麦に限らず、もっと生地の数を増やして商品展開をすることが幅を広げるため必要だと考えている。
 酵母はルヴァン種を使っているが、できればサワー種やレーズン種なども育ててみたいと考えている。管理は手間もかかり酵母の状態も環境に左右されるが、技術的な部分は修業時代に作ったノートを改めて見直したりしている。

SHOP DATA
住所:〒120-0005東京都足立区綾瀬3−26−2
電話:03−5856−0984
営業時間:午前7時30分〜午後7時30分
定休日:水曜、木曜
品揃え:約80品目
日商:13万〜15万円

原価計算女王
原価計算女王
若い世代と価値観を擦り合わせていきたい - ル・ミトロン
オーナーシェフの大場和幸さん
本店には100種類ものパンがぎっしり並ぶ
品質とブランド価値を上げていきたい

 「2017年は2016年より厳しかったですね。売上も、開業からずっと伸びていたのですが、2017年は前年に少し届きませんでした」と話すのは、神奈川県横浜市のベーカリー「ル・ミトロン」のオーナーシェフ、大場和幸さん。
 大場さんは、同店のほか、カフェと2店のコッペパン専門店を経営している。これらの店舗全体の売上は増加したが、本店である「ル・ミトロン」単独での売上はわずかに落ちてしまったという。
 「まわりのベーカリーや、大手ベーカリーカフェチェーンなども2017年は厳しかったという声を聞きます。お客様の節約志向も、より高まっているような気がします」(大場さん)
 2018年も、大場さんはこうした厳しい状況は変わらないと予想している。
 「本店に関しては、現状維持では不安が大きいですね。また、とにかく安さを求める方と、値段を気にせずいいものが欲しいという方の2パターンに分かれてきていることも感じています。当店としては、今よりさらに質を上げていって、納得していただける、ある程度の価格を付けていきたいと思っています。ある程度の価格とは、この地域で受け入れられる上限の価格です」(大場さん)
 質を上げるのは、商品だけではない。店の内装やスタッフの接客など、客の満足度を上げるために、どこをどうしていけばいいかを、考えていきたいという。
 「ある程度の価格で、それに納得していただけたら、ブランド価値は上がると思います。ブランド価値が高いと、同じおいしさでも、プラスアルファでよりおいしく感じられると思うんです。ちょっとした贅沢な気分を味わっていただけるようにしていきたいと思います」(大場さん)

3つの店舗を開業して恩返し

 大場さんは2017年、1月に近所にある神奈川大学の売店に卸しを始め、3月に本店と同じ神奈川区内にコッペパン専門店の2号店を開業、7月には、同区内の商業施設にパンの販売店を開業した。一気に3つの事業を展開する一年となった。
 「新しく始めた卸しや専門店などのパンも、本店の厨房で製造しているので、厨房スペースを広げました。そして、これらの新店舗を軌道に乗せることができました。コッペパン専門店は、商業施設からの誘いがあり、2018年も店舗を増やす予定です」(大場さん)
 本店の開業が約4年前なので、急成長を遂げている。
 「規模が大きくなり、仕事量が増えることによって、お世話になった各業者の方々に恩返しができたらと思っています」(大場さん)

若い世代のスタッフの教育を考える

 2017年はスタッフの入れ替わりがあり、若い世代が多くなった。それによって、スタッフをどう教育していくかを見直す必要があった。
 「教育は、個々の成長に合わせることを重視するようにしました。半人前よりちょっとできる位には早くなってもらって、一人前になるのは長期的に見ていきたいと思います」(大場さん)
 また、若い世代との違いを受け入れて、価値観を擦り合わせていきたいという。
 「『自分も開業してまだ4年の若手』という意識を持って、若い人と一緒になって、頑張っていきたいと思います」(大場さん)

SHOP DATA
住所:〒221‐0801 神奈川県神奈川区神大寺4‐1‐2
電話:045‐413‐1430
営業時間:午前7時〜午後5時
定休日:なし
品揃え:100品目
月商:700〜800万円


2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

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