人と話すのが好きで選んだ仕事 - ウララカ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2017年12月号

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人と話すのが好きで選んだ仕事 - ウララカ
店主の和田里美さん
下高井戸駅から歩いてすぐの場所にある「ulalaka(ウララカ)」
入ってすぐの場所にベーグルが並ぶ。カフェスペースは10席。奥にある厨房で、和田さんがベーグルとカフェメニューを作る
アンティーク調のテーブルや椅子、ミシンや時計などが置かれた店内
ベーグルのメニューが書かれた店の前にある黒板には、サービスに時間がかかる旨が書かれている
気持ちに余裕を持つことで初心を思い出せた

 ベーグルの製造販売と、カフェ営業を店主一人で行う店がある。東京・世田谷区の京王線下高井戸駅からすぐの場所にある「ulalaka(ウララカ)」だ。
 駅からすぐとは言え、店舗入り口が奥まった造りのため、初めて来店する客の中には、「周りを20分も探し歩いてしまった」という人もいるという。そんな目立たない店構えにも関わらず、店主の和田里美さんが作るベーグルは、ほぼ毎日売り切れる。しかも、昼の12時開店で、早い時には午後1時半頃にほとんどなくなってしまう。
 「平日は1日100個、お客様が多い土曜日曜は1日120〜130個作っています。天気がよくない日は、事前に製造量を2割くらい減らして調整することもあります。ですが、『今日は雨だからまだ残っていると思って』と言って来店してくださる方がいて、そのような方のおかげもあって、結果的にはほとんど売れ残ることがないようになっています。また、多めに残っていると、『冷凍できるからたくさん買っておこう』とまとめ買いしてくださる方もいらっしゃいます」(和田さん)
 売り切れる時間の早さを知らない客が、例えば午後3時頃来店し、品薄状態の陳列台を目の前にして残念がるという場面はよくある。
 「お客様には、電話やメールでお取り置きができることをお伝えします。でも、予約することに抵抗があったり、気軽に買いに来たいという方もいらっしゃいます。中には、ないことが2〜3回続いてしまったお客様もいて、申し訳なく思うのですが、今作っている量が精一杯の量で、これ以上作れないのが現状です」(和田さん)
 すべて一人で行っているため、和田さんの体力が、ベーグルの製造量に反映される。
 今年から定休日を週1日から2日に増やし、さらに8月から閉店時間を平日だけ2時間早め、営業時間を短縮した。
 「体力もそうですが、1日の中でどれだけ仕事をこなせるかという点で、時間も無駄にできないという思いがあって、自分でも気付かないうちに気持ちの余裕がなくなっていました。気持ちに余裕がなくなることで、カフェでの接客やベーグルの販売でのお客様とのふれあいが、味気ないものになってしまっていたと思います」(和田さん)
 接客に興味があったという和田さんは開業前、日本料理店とカフェで接客業をしていた。次第に、かしこまった接客が求められる日本料理店より、気さくさのある接客ができるカフェの方が自分にあっていると思うようになったという。
 「もともと人と話すのが好きで、接客のできる仕事を選んでこのカフェを開業したのに、毎日の営業でそれを楽しめていないなんて本末転倒です。営業時間を減らして気持ちに余裕ができたことで、初心を思い出すことができましたし、売上げなど経営面がかなり心配でしたが、そうしたデメリットはほとんど気になっていません。余裕がなかった頃は、お客様にも、『忙しそだから』と気を使わせてしまっていたと思います。今は前より、お客様と交わす言葉の数が増え、それと同時に、お客様が笑顔になってくれることも多くなりました」(和田さん)



ベーグルは平日100個、土曜、日曜は120〜130個販売
「オーガニックチョコ」の断面
開業当初から人気の「オーガニックチョコ」(税込250円)
小さい子ども連れに人気の「プレーン」(税込180円)
ランチメニューの「ベーグルサンドとスープのセット」(税込950円)
材料の品質の良さが活きるベーグル

 ベーグルは12〜13種類あり、そのうち2〜3種類は季節限定商品となっている。
 季節限定商品には、和田さんの実家で栽培したカボチャなどの野菜を使うこともある。実家から直送される野菜は無農薬で、「ベーグルサンドとスープのセット」(税込950円)など、カフェのランチメニューにも使用しており、「野菜自体の味が濃くておいしい」と人気がある。
 開業当初から根強い人気なのは、チョコレート入りのベーグルだ。同商品は、チョコレートをヴァローナ社のものから、現在のオーガニックのものに変え、「オーガニックチョコ」(税込250円)として販売している。噛むと、ほんのり甘みのあるパンにビターなチョコレートがじゅわっと溶け込む。
 「『オーガニックチョコ』も含めてすべてのベーグルは、『プレーン』(税込180円)の生地を使っていて、ゆでや焼成の時間は同じです。『プレーン』は小さなお子様連れのお客様に好評で、クリームチーズが入ったものも、常に人気です」(和田さん)
 使用材料は、北海道産小麦粉、ホシノ天然酵母、ハチミツ、沖縄産の塩で、これらの配合と作り方は、和田さんが編み出した。
 「ベーグルは、人前にお出しするものとしてではなく、自分で食べるために趣味で作っていました。当店の前身のカフェでパンを出すことが決まったことを機に、試行錯誤を重ね、今のレシピにたどり着きました。その間、材料の質を上げると、その分だけおいしくなるということを体感したのですが、ベーグルは、シンプルなおいしさが感じられる食べ物だと思います」(和田さん)
 和田さんはレシピ開発の際、他店のベーグルは特に意識せず、自分の好きな味を追求し、外はパリッとして、中はもっちりとして、噛むごとにほのかな甘みが感じられるベーグルを作り上げた。
 「世田谷区はパン屋さんが多く、当店の近くにもおいしいところはたくさんあります。皆さんフットワークが軽いので色々なお店に行かれていると思います。味は好みの問題だと思うので、当店の味としてお客様に伝わればいいなと思っています」(和田さん)
 ベーグルは、店頭販売のほか、月に数回冷凍したものを発送している。昨年から開始した。
 「SNSがきっかけで地方の方から要望を受けました。ただ、ベーグルを冷凍した状態でお客様にお渡しするのが嫌で迷いました。おいしい状態でお召し上がりいただくことができるか不安だったからです。ですが、パンを冷凍保存する方が増えてきていて、冷凍したパンの食べ方がかなり認知されてきていますし、わざわざ注文してくださるくらいパンがお好きなお客様ですから、大事に扱っていただけるはずです。発送できるようになったのは、このように考えることができたからです」(和田さん)

SHOP DATA
店名:ulalaka(ウララカ)
住所:〒156‐0044 東京都世田谷区赤堤4‐46‐6 1F
電話:03‐6323‐3234
営業時間:午後12時〜午後5時(土曜、日曜は午後7時まで)
定休日:木曜、金曜
品揃え:ベーグル12〜13品目
スタッフ:製造・販売1人
店舗面積:売り場約6坪(カフェスペース含む)、厨房4・5坪
日商:3〜4万円



この記事の読みどころ

●自分が最も大切に考えていることを実現できるように、様々なことをうまく調整する。
●他店の製品は気にせず、自分の好きな味を徹底的に追求する。
●パンの激戦区にあっても、気負わず自分の味を淡々と客に伝えていく。
●SNSがきっかけで、地方発送も開始。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。



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