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| 特集/2017年10月号 |
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| 食パンが強い店
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「2斤食パン」と同様の人気があるのは、「2斤食パン」と同じ生地を使って作る「3斤食パン」(1斤税込340円)と「4斤食パン」(1斤税込340円)だ。また、「2斤食パン」は山型のみ、「3斤食パン」は山型と角食の両方があり、「4斤食パン」は角型のみで、全部で4種類ある。 「4種類それぞれ、成形や焼き型が違うと、窯に入れたときの火通りと火抜けが違うので、食感や味が変わってきます。お客様には、バゲットとパリジャンの違いと同じような感覚を、食パンに置き換えて楽しんでいただけるといいなと思っています」(東村さん) 2種類の小麦粉、食塩、オーガニックショートニング、海洋酵母、ホシノ酵母を材料に作るシンプルな配合の食パンだ。 「フランス産発酵バター入り角食」の生地は、この配合の2種類の小麦粉のブレンド比率を変えたものに、さらに乳脂肪42パーセントの生クリームとエシレバターを加える。 「『フランス産発酵バター入り角食』の味わいの特徴は、乳風味ともちもちしたクラムで、焼いて1時間から1時間半位が、最もおいしく感じます。カフェでやっている焼きたてパンが食べられるモーニングでも、多くのお客様に、このおいしさをお楽しみいただいています」(東村さん) 「フランス産発酵バター入り角食」は、桐箱入りの販売もしているほど、ギフトの用途もある製品。有り難く味わおうと、食べ方について聞かれることも多い。 「トースターで焼いて食べるときは、軽く抑えてくださいとお願いしています。焼き色が付くと、乳の風味より小麦の香ばしさが強く出てしまいますから」(東村さん) | |||||||||||||||||||

「2斤食パン」は、橋本宗茂社長が、「ブレドール葉山店」の開業前に製造責任者として勤めていたベーカリー「葉山ボンジュール」の時代から、その店の看板商品として葉山の人々に愛されていた食パンだ。橋本社長が自身の店「ブレドール葉山店」を開業すると、同食パンのファンは、ブレドール葉山店で引き続き、橋本社長の食パンを買い続けたという。 「当店の食パンは、レシピ自体は特に変わったものではありません。何か挙げるとしたら、吸水が多めであることくらいです」(東村さん) シンプルな配合であるがゆえに、経験の積み重ねが物をいう職人の技術によって、作り出される唯一無二のおいしさなのだ。 東村さんは、他のベーカリーに数年勤務した後、同店に入社した。しかし、今までの経験だけでは、同店のパンは作れないとすぐに気付かされたという。 「それまでは、温度や時間などのマニュアルを守るように教えられました。初心者でもできるような、温度や時間の管理をしていただけに過ぎなかったということです。当店に入って、とにかくパン作りは繊細だと思わさせられました。単に数字の管理ではなく、見極めと判断がパン作りには必要で、当店の味を守っていくには、その力を磨いていかないといけないと思っています」(東村さん) 生地の仕込みの担当が変わると、客がそのことに気付くという。 「現在は勤続10年以上のスタッフが3人で仕込みを行っていますが、以前別の人に変わったとき、『おいしくなくなった』と指摘を受けたことがあります。当店の食パンはお客様にも守っていただいているんですね」(東村さん) ロスが最も出せない食パン 食パンはこのほかに、バリエーションとして、「全粒粉食パン」(1斤税込680円)、「セサミブレッド」(1斤税込430円)、スパイスのキャラウェイを練り込んだ「キャラウェイブレッド」(1斤税込390円)、「デニッシュトースト プレーン」(1斤税込490円)などのデニッシュ食パンがある。 デニッシュ食パンは、定番のプレーン、キャラメル風味、季節限定の味など4種類ほどで、4〜5年前から売り出している。 「『フランス産発酵バター入り角食』が売り切れてしまったとき、わざわざ来ていただいたのに申し訳なく、その代わりとして『デニッシュ食パン』をお勧めすることもあります」(東村さん) 「フランス産発酵バター入り角食」は、午後3時過ぎにはほとんど売り切れてしまう。 「原価が高いので、最もロスを出せない製品です。近所の学校が休みかどうか、周辺でイベントがあるかどうかなど、過去のデータと合わせて考えながら、大体50〜200本の間で、毎日何本焼くか慎重に決めています」(東村さん) 原価の問題だけでなく、小物商品より焼成時間がかかるため、製造のタイムスケジュールの問題にも関わってくる。 「カフェのモーニングの時間中や、テイクアウトのお客様が多いお昼位までの時間は、食パン以外にもバラエティーに富んだパンの焼きたてを出す必要があります。また、『フランス産発酵バター入り角食』も、できるだけその時間帯に焼きたてを出すようにしています。元々『フランス産発酵バター入り角食』を買う予定で来て下さったお客様に対しても、『今焼きあがりました』というサービスは、喜ばれますし、店内が盛り上がります」(東村さん) SHOP DATA 店名:ブレドール葉山店 住所:〒240‐0111 神奈川県三浦郡葉山町一色657‐1 電話:046‐875‐4548 営業時間:午前7時30分〜午後6時 定休日::火曜 品揃え:約150品目 スタッフ:製造常時8人、販売常時3人 店舗面積:売場約8坪、カフェスペース24坪、厨房10坪、隣接工場12坪 日商:平均40万円 | ||||||||||
| 試行錯誤の末、生み出した自分しか作れない食パン - ドゥエトゥレ | |
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噛むと溶けていくような食感
東京・八王子市、JR西八王子駅から徒歩5分、静かな住宅街の中を通る裏通りの道に面したベーカリー「ドゥエトゥレ」は人気商品の食パン「でか食」(税別230円)を1日約160斤販売する。焼成は1日4回。地元住民から引き合いが強いため、店内での販売のほか、近隣のスーパーにも一部卸している。最近では「食パンのおいしい店」として知名度が上がってきたため、西八王子エリアのみならず広い範囲で注目される店となりつつある。 人気の秘密は、噛むと口の中でゆっくり溶けていくような柔らかい食感で、シンプルに小麦の素の味が楽しめる。 「食パンの生地にはなるべくバターの味が出ないようにしています。私自身が食パンには加塩バターを塗って食べるので、食パンそのものは純粋にパンの味を堪能できるようにしていますね」と同店の店長である川崎泰之さんは話す。口どけの良い独特の食感と風味は、長い時間をかけて川崎さんが育てた液種の小麦酵母を使う事で含水量が高いしっとりした生地に仕上がっているためという。 同店は今から11年前の2006年にオープン。「開店から3年間は『でか食』はイーストのみで発酵させていましたが、時間が経つと生地がパサパサしてしまい、日持ちしにくいんですね。自家製の小麦酵母を取り入れてからだいぶ変わり、口コミも広がって売れるようになりました」と川崎さんは話す。 味のほか、柔らかいクラストのためか消化にもよく「胃にもたれにくく食べやすい」として健康に気遣うような人からの引き合いも増えたという。 全般的に食パンに力を入れる同店は、シンプルな定番の食パンである「でか食」以外に、ずんだ(枝豆)餡を練り込んだ「ずんだ食パン」(税別300円)、ドライ苺を練り込んだ「いちご食パン」(税別380円)、全粒粉の生地を使用した「グラハムブレッド」(税別270円)、卵と高品質バターを使用した食パン「ホテルブレッド」(税別300円)など12種類の食パンを販売している。 店の売上の約2割を「でか食」が占め、またその他の食パンも含めると約3割強を食パン類が占めるという。 「何があっても、食パンだけは絶対外せないですね。同時にこれだけは自慢できるというものにしています」(川崎さん) |
川崎さんは開店前の修業時代、東京・久我山にある個人店の老舗ベーカリーに勤めていたが、そこの店長で川崎さんが師と仰ぐ人物から再三聞かされていたのが「食パンが強くないと個人店は厳しい」という言葉だった。その店は長きに渡って地元住民から愛されていた店だったが、中でも定番である食パンが人気で有名な店だった。 川崎さんは昔から、俗に言う「食いしん坊」で甘いものが大好き、菓子パンが大好きでベーカリー業界に入ったが、師匠のこの言葉は忘れられないものとなった。食パンの奥深い世界を追究していくきっかけとなったという。 実は、修業中、川崎さんは自分が独立したら作りたいと思うパンのアイデアをノートに書き溜めていたが、師匠の影響を受け、食パンのレシピも数多く書き溜めていた。 そして自分のアイデアを世に出したいという一心で開業。しかし、いざオープンしたらレシピ通りの商品を出してもなかなか売れなかった。中でも食パンは師匠の教え通り作ったつもりでも、自分で納得のいかない味になってしまい、店でもやっぱり売れなかった。 「オープンしてから3年間は客がなかなか増えず商品が売れない状態が続き、苦しかったですね。なんとかしようと、お客が来なくて暇になってできた時間を利用して、東京近辺の色々なパン屋を巡って研究をし尽くしました」(川崎さん) 川崎さんによると、当時は「変わったパン」が流行っていた。ハード系のパンも流行り始めていた頃だった。色々食べ歩いたおかげで店による食パンの味の違いだけははっきりわかるようになったという。「まず小麦の違いによる味の違いがわかるようになりました」と川崎さん。 ハード系に力を入れる店も回り、「確かにおいしい」と思う店もあったが、川崎さんとしては「ときめかなかった」という。 「気づいたのは、真似をすると成功しないという事です。教えられた事をそのままやるのではなく、自分しか作れないものを作ろうと考えました」(川崎さん) 結局、シンプルだけど毎日飽きずに食べたくなるパン、食いしん坊の自分も好む食べ応えのあるボリューム感のあるパンを作るべきだという考えに行き着いた。 | ||||||||||||||||
同店ではほとんどの商品にカナダ産主体の強力粉で日東富士製粉の「マンモス」を使用している。久我山の店での修行時代から使っており、「使い勝手はそれほど良いわけではないのですが、毎日食べ続けたくなるような微妙な味を出すには、自分としては最適で、だから小麦は変えませんでした」と川崎さんは話す。 代わりに、食べ歩きをする中で、天然酵母、自家製酵母を使った製法に興味を持つようになった。そのため独学で酵母について勉強。色々試して定番の食パン類に小麦酵母を使うようになった。開店から3年ほどたった頃の事だ。以降、同店の食パンは格段に売れるようになっていったという。 併せて八王子産の食材を使った自家製フィリングを入れた「西八ビーフカレーパン」(税別170円)も地産地消の商品として話題をよび、2012年には「第一回八王子お店大賞」を受賞。相乗効果もあり、同店は徐々に現在のような繁盛店になっていった。 ただやはり同店にとって、最も大切な商品は「でか食」であり、食パン類だという。 「食パンは焼成時、場所もとるし、量の割には価格も高くつけられません。付加価値をつけられる菓子パン・惣菜パンなどと比べると、効率は悪いかもしれません。また、生地そのものが全てなので、味もごまかしがききません。それでも地域の台所でいたいから、ずっと作り続けたいという気持ちが今では強いですね」(川崎さん) 品質を安定させ長く出し続けたい 小麦酵母を使った製法に変えた後でも、安定した品質のものを作れるようになるまでには時間がかかったという。4年前には、窯をドイツ製の「ウェルカー」に変更、より内側が柔らかいままで外側がパリっと焼けるようになった。 川崎さんが自分として納得のいくようなものが作れるようになったのは、ここ3年位の事だという。 そんな川崎さんに、「パン屋巡りをした中で、最も印象的だった店は」と聞いてみた。 回答は横浜元町の「ウチキパン」。日本の食パン発祥の店として有名な創業129年の伝統を持つ店だ。 「シンプルだけどおいしいものをずっと長く出し続けているところにひかれましたね」(川崎さん) 「でか食」に次ぐ食パンはと聞くと、売上では、2位が「ずんだ食パン」、3位が「いちご食パン」である事が多い。ただし「ホテルブレッド」「グラハムブレッド」にも根強いリピーターがいるので、できる限り提供し続けたいという。常連の熱心な要望にはなるべく応えたいものなのだ。 今後も食パンの強い店として「売れるだけ売っていきたいですね」と川崎さんは話す。ただし店を広げるより、販売エリアを拡大して「スーパーなどの販路をさらに拡大し、卸売する分を増やしていきたいと考えています」と今後の展望について話してくれた。 SHOP DATA 店名:ドゥエトゥレ(Due Tre) 住所:〒193-0835 東京都八王子市千人町2-13-8 モナーク西八王子103 電話:042-682-5066 営業時間:午前7時〜午後7時 定休日:月曜、第1、3、5火曜 品揃え:80品目 スタッフ:製造4人、販売2人 店舗面積:売場4坪、厨房12坪 日商:平日20万円 土日30万円 | |||||||||||||
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