ドイツパンの普及を目指す - マインベッカー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2017年8月号

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ドイツパンの普及を目指す - マインベッカー
優しい笑顔とパンに関する平易で理論的な説明で接客する宮崎章シェフ
閑静な住宅街の中に佇む欧風の美しい店舗外観
対面販売を生かし、食べ方のアドバイスを熱心に行う
地域のパン食文化を担い、豊かな食生活の一助に

 2012年に心機一転、リニューアルを果たした千葉県市川市のマインベッカー。再開した同店が改めて大事にしているのは「ドイツパンを普及させよう」という強い思い。
 同店のオーナーシェフ、宮崎章さんは「ドイツパンを知れば知る程、多くの魅力を備えたパンだと実感します。現在の傾向では、ドイツパンの栄養価の高さ、カロリーの低さが健康志向の60代以上のシニア層を中心に注目されています」と話す。ドイツパンには、胡麻や種など優れた栄養価を持った食材を丸ごと材料として使うものも多く、健康な食生活のために適した面が目立つ。
 「私は何よりも『美味しいパン』であることを重要視します。美味しさを追求した結果、健康にも良いという長所が付いて来るなら、それもお客様が得られるメリットとして提供したいと思います。そして、美味しくて体にいいパンで、シニア層に限らず若い人達も、お子さんも含めて、この地域の皆様に貢献して行きたいんです」(宮崎さん)
 宮崎さんは現在、潜在顧客も含めた地元の人々のために全力を注いでいる。熟練の技術者として、ドイツパンを学ぶ団体の「ドイツパン・菓子勉強会」に参加したり、製パン講習会の講師を引き受けたりして、パン業界への貢献を積極的に行いながら、マインベッカーのオーナーとしては地域のパン食文化の向上やドイツパンの普及を第一に尽力している。
 「電車や車で一時間以上掛けて毎週通って下さるお客様もいらっしゃいます。やはり『ドイツパンは砂糖や油脂が少なく健康にいい』という理由で私のパンを求めていらっしゃいます。しかし遠いので一度に沢山買っていかれる事も多いんです。夏場はドイツパンも2〜3日で味が落ちてしまうし、添加物が入っていませんから傷みも出やすいんです。来てくださって嬉しいのですが、本当はお客様の家のご近所に、いいドイツパンの店のある事が一番だと思っています」と宮崎さんは語る。
 メディアの活用も、今は地域向けの情報誌などの取材を中心に受け、地元の人達にマインベッカーやドイツパンを知ってもらう事を大切にしているという。
 「遠くの街はその街のベーカリーに頑張って欲しいんです」。宮崎さんは、パン業界全体の繁盛にもドイツパンの普及にも、各ベーカリーが伸びていく事が不可欠だと考える。美味しいパンを食べた消費者は、別のベーカリーにも興味を示すもので、美味しいベーカリーが増える事がベーカリー同士を成長させる事に繋がるのだという。
 「週末に売上が伸びるベーカリーは多いでしょう。同じ街にベーカリーが増えても、パンが美味しければお客様はリピートしてくれるし、いいベーカリーが出来た事でパンのファンが増えれば他のベーカリーも興味を持たれます。足を引っ張るとしたら、美味しくないパンを売ってお客様をがっかりさせてしまうベーカリーなんです」
 宮崎さんは、フランスパンが日常化して日本人の食生活に溶け込んだように、ドイツパンも「ベーカリーの品揃えにあるのが日常」「買うのが日常」というパン食文化の達成を目指し、日々奮闘している。



夏限定のサンドイッチ「ミスタービーン」(税込170円)。枝豆とツナを自家製マヨネーズで和えたフィリング入り
「プフラウメンプルンダー」(中央、税込250円)。プラムが丸ごと入った季節のデニッシュ。高級ケーキを食べたような満足感を得られる菓子パン
「ボーネンブロート」(1本税込840円、ハーフサイズ税込420円)は、ライ麦70%使用で小豆入り
「フロッケンセサム」(1本税込900円、ハーフサイズ税込450円)。全粒粉入りライ麦70%の生地に、クルミとレーズンを混ぜている
食べやすいように、ドイツパンはあらかじめ適切な幅にカットし、小さく小分けして販売している
「ライブレッド」と考えれば自由なパンを作れる

 ドイツパンの知名度はまだ低い。それだけに、ドイツパンを主役に据えたベーカリー運営は、名店とされる東京・世田谷区の「ベッカライブロートハイム」で修業を積み、長いキャリアを持つ宮崎さんにとっても、簡単な事ではないという。以前はデニッシュの人気に応え、バリエーションも増やしていた。しかし再開後はドイツパンに本腰を入れ、平日はライ麦パン9種類、休日は12種類と増やした。その分デニッシュを3種類に絞り、季節のフルーツの活用で変化を出すに留め、売り場の使い方を調整している。
 「ドイツパンが安定して売れるようになるまで、7〜8年位掛かりました」と宮崎さん。今後もドイツパンの普及を志に続ける心づもりだ。
 同店には小豆入りのライ麦パン「ボーネンブロート」(1本税込840円、ハーフサイズ税込420円)もある。「『ドイツパン』を名乗ると決まったものを作る事になりますが、『ライブレッド』と考えれば自由な発想でパンが作れます」と、宮崎さんは提案する。小豆の品のいい甘味は塩気の利いたライ麦パンの酸味の生地とよく合っていた。小豆を生かして甘いフィリングを加えることで菓子パンとしても楽しめる。
 宮崎さんはドイツパンの魅力について「一つの生地で複数のパンが作れる」という作り手の利点も示した。後からクルミやレーズンを入れて焼けば「フロッケンセザム」(1本税込900円、ハーフサイズ税込450円)に出来るなど、バリエーションが出しやすく、小規模ベーカリーに向くのだ。ドイツパン作りで重要なサワー種も既製で良いものが出来ており、本場ドイツでもライ麦粉は進化しているそうだ。「プンパニッケルのように12時間蒸し焼きにするものは、夕方窯に入れれば朝出来上がっています」と宮崎さん。

丁寧な食べ方提案をこれからも続ける

 フィリングとの好相性もドイツパンの魅力のひとつだが、宮崎さんは「凝ったサンドイッチにしなくても、シンプルなフィリングで美味しく食べられます」と話す。ハムやチーズを一枚のせるだけで、ドイツパンの食べ方は広がっていく。
 ライ麦パンにマスカルポーネとジャムを塗る食べ方が、今、同店で好評だ。「ライ麦パンは冷蔵庫の保存とそんなに相性が悪くありません。2〜5度C位の冷蔵温度ならでん粉の風味を損なう事はありません」(宮崎さん)
 夏場は無添加のライ麦パンは3〜4日の保存が限度だが、冷蔵庫なら1週間〜10日持つという。冷えたパンに冷えたクリームチーズとジャムで味付けする事で、夏場の菓子パン離れに対応するというアイデアだ。「冬の内からお客様に親しんでおいてもらって、夏場も継続して食べてもらえるようにするんです」と宮崎さん。
 現在ドイツパンは、製パン講習会で人気店の配合も明らかにされている。「配合だけでは同じ味は作れません。仕上がったパンから、この焼き色を出すには砂糖の量はどのくらい、焼成時間は、と、逆算して推測する力も必要になります。材料で美味しく出来るものでもありません」と、宮崎さんはドイツパンの難しい面を話した。しかし技術を磨きたい人には、教われる環境が整っているという。
 「2〜3品ずつでもいいので、美味しいドイツパンが各ベーカリーに並ぶようになって、ドイツパンを知る人が増えれば、誰もが自分の街で気軽にドイツパンを買えるようになります」と宮崎さんはいう。
 今、同店のドイツパンはあらかじめ食べやすい厚さにカットされ、小分けに袋詰めにして売られている。大きなドイツパンを焼きあがりのまま店に置く事は求められないという。
 「いつか、大きなドイツパンの格好良さをお客様にわかってもらえたら嬉しいですね。大きなパンを喜んでそのまま買ってもらえるように頑張ります」といい、宮崎さんは一途な情熱はを滲ませた。

SHOP DATA
店名:マインベッカー
住所:〒272−0144 千葉県市川市新井1−6−7
電話:047−711−1015
営業時間:午前9時〜午後6時半
定休日:月曜、火曜
品揃え:常時約60種品目
スタッフ:製造1人、販売2人



この記事の読みどころ

●各地域のベーカリーが、その地域の人たちにおいしいパンを提供してほしい。
●ドイツパンは、ひとつの生地から多くの種類の製品を作りやすい
●ライ麦パンは冷やして食べても美味しいので、マスカルポーネやジャムなどをのせれば、夏のデザートにもなる。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。



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