自分流の成功の法則を見つける - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話 - ブランスリー電子版

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連載/2017年7月号

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自分流の成功の法則を見つける - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話
 パンや洋菓子というと、やはりフランスが本場という向きが多いのか、多くのパン職人や洋菓子職人たちがフランスで修業を積み、フランス流の技術を身につけ、フランスの食習慣を膚で感じ、膚に染みこませて、日本に帰国して店を持ち、大健闘している人も多いようです。
 本誌2017年6月号で取材させていただいた「パティスリータツヤササキ」もそんな店のひとつです。オーナーシェフの佐々木達也氏は、フランスの名店「ル・フュレ・タンラード・PARIS」のアラン・フュレ氏に師事し、パリ市内やノルマンディーなどフランス各地のパティスリー、ショコラトリー、レストランで修業を積み、本場の伝統的なフランス菓子の技術を身につけました。
 ただ、このことは、彼が日本に店を構え、着実に実績を上げつつあることの必要条件ではありますが、十分条件ではありません。彼は、フランスで得た技術と経験を核に据えて、日本の消費者との深い関わりの中で、日本の消費者と共有したいと願うお菓子についてのある価値観を心に秘めていました。それは、フランス人が普段の生活の中で、素朴に食べているフランスの伝統的なお菓子を、日本の人たちにも、普段の生活の中で、素朴に食べてほしいという願いでした。そして、そうした食習慣が新たに日本に定着すれば、日本人の心がさらに少しだけ豊かになると思っていました。
 何かを目指そうという人には、自分にとっての絶対的な価値観というものがあるはずです。フランスで洋菓子の修業をした人なら、フランスの師匠が熱く語っていた素晴らしいフランスのお菓子の文化であるかも知れません。ドイツでパンの修業をした人なら、ドイツパンと様々なドイツの料理が並ぶドイツの家庭の食卓の風景の素晴らしさかも知れません。まずは、そうした自分にとっての絶対的な価値観があることが出発点のように思います。
 そして次に来るのが、その価値感を誰に伝えていくかを決めることです。洋菓子店やベーカリーを開くのであれば、まずは店がある地域の人たちが、その価値感を伝える相手ということになるでしょう。
 ここまでは、比較的スムーズに事が進むと思いますが、問題は、その価値感をどうやって伝えるかです。パティスリータツヤササキの佐々木氏は、そこに知恵の限りを尽くして、いろいろな施策を試みていて、私は感銘を受けました。
 フランスでは、例えば「フィナンシェ」や「マドレーヌ」は、日本のように袋詰めにはぜず、焼きたてで売っていると聞きます。佐々木氏は「フィナンシェ」が税込170円、「マドレーヌ」が税込180円と、比較的安い価格に設定して、日常の菓子としての普及を目指しているといいます。「コーヒーとセットでワンコイン以内を想定しています。コーヒーと共に食べるのもフランス風ですから」と佐々木氏はいいます。
 私は、ひとつの価値感を他人に提案するときに何より大切なのは、偉そうに上から目線にならないことだと思います。伝えたい相手に寄り添って、相手の立場を限りなく尊重しながらも、自分の主張はしっかりと相手に伝えていくという絶妙なバランス感覚が、佐々木氏にはあるように思えました。ここにも、「普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛できる話」が潜んでいると思います。(RO)







原価計算女王
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