顧客との交流 - パンリコ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2002年10月号

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顧客との交流 - パンリコ

パンリコの外観
大阪市のベーカリー、パンリコの山��雄二オーナーは、「これで約1カ月分です」といって、はがきの束をバッグから取り出した。意見を書いて投函してもらおうと、
レジで顧客に渡しているはがきが1日平均3通ほど届く。名付けて「お叱りはがき」。「顧客との交流」が
パンリコのキーワードだ。



顧客からのはがきが1日3通、そのすべてに直筆で返事を書く

顧客から戻ってきた「お叱りはがき」に山��さんが返事を書いたものを順番に店内のボードに張り出している。


お叱りはがきは、レジのところに置いてあり、販売スタッフが顧客に渡す。


顧客から送られてきたお叱りはがき。「半分はお褒めの言葉で半分はお叱りの言葉です」と山��さん
パンリコに入店すると、所狭しと並べられたパンと様々なポップ、販売スタッフの感じのいい笑顔が目に飛び込んでくる。しかし来店客を圧倒しない。逆にほっとさせる。おいしそうなパンを素直に買いたくなる。この雰囲気はいったい何に由来するのか……。
お叱りはがきの表には「これからも皆様によりご満足いただけるように努力してまいりますので、ご意見をお寄せください」とある。裏面には▼食パンの焼きたての保証▼笑顔の保証▼品揃えの保証、などパンリコが顧客に保証することを宣言した5つの項目が書かれていて、その下に「お叱りメモ」と題して、顧客が同店に対する意見を書くスペースが設けてある。
「3カ月ほど前から始めたのですが、1日2〜3通は戻ってきます。商品が切れていたとかいろいろな意見が返ってきます。できることはすぐに改善します」と山��さんはいう。
顧客からもらった「お叱りはがき」には必ず山崎さんが直筆で返事を書く。ある顧客とのやりとりの1例。「いつも中央のカウンターにのっているパンですが、とってもおいしく大好きなパンです。でもすこしクリームが多すぎるので、もう少し控えてはいかがでしょうか?」という顧客からの意見に対して「同じ意見が多く寄せられました。検討の結果、パンの上のアーモンドフィリングの砂糖を減らし、中のクリームを30グラムから20グラムに減らしました。もともと甘いパンなので、減らしすぎると特徴がなくなりますので、最近はこの形で販売しています」と山��さんは返事を書いた。
パンリコのスタッフ十数人全員が、同店の好きな商品をイラスト入りでそれぞれ紹介したカードを1枚のボードに寄せ書き風に貼って壁に掲げているのも好印象だ。あるスタッフのお気に入りは、「めんたいフィッセル」(130円)。「初めてめんたいフィッセルを見たとき、フランスパンとめんたいが果たしてどのように合うのかなと思いましたが、お口の中で広がっていくところが私がめんたいフィッセルが好きな理由です」と紹介している。



スタッフに参加意識を持たせる。生き生きと働いてほしい

パンリコの店内


来店時にほしいパンがない場合は、欠品カードを渡す。
パンリコでは、月1回午後7時からスタッフ全員が参加してのミーティングを実施している。非番のスタッフも自発的に参加するという。どんなに些細なことでも全員で話し合う。接客のロールプレイングも行う。4〜5人ずつ4チームに分かれて、ポップやプライスカードなどを作ったりもする。「スタッフ一人ひとりが自分が参加しているという意識が持てるのが最も大きいと思っています」と山��さんは口元をほころばせる。
来店時にほしいパンがない場合は、「欠品カード」を渡す。後日欠品カードを持参した顧客に、同じ商品を10%引きで販売する。
「焼き上がり時間を店内のボードに掲示している商品が、その時間にない場合とか、焼き上がり時間を掲示していない商品でも、いつもの時間になかった場合は、欠品カードを渡します。お客様が申し出ないと渡せませんが、店の姿勢は伝わります」と山��さんは話す。
パンリコは、スタッフの参加意識を高め、顧客との交流を実現するために様々な施策を講じ、着実に成果を上げている。



1日中、焼きたての香り、パンの種類によって製法を変える

従業員がそれぞれ自分のお勧め商品を、イラスト入りで紹介している。


山��雄二オーナー(中央)、製造スタッフの田中茂雄さん(右)、製造スタッフの青木俊介さん(左)


ちさ夫人
パンリコは、パンの種類によって製法を使い分けている。菓子パン生地には、酒麹を配合し、液種法で作る。ふわっとした食感が得られ、皮が薄く仕上がるのだそうだ。
フランスパンは、オートリーズ法だ。スパイラルミキサーで仕込み、「発酵によって引き出されるおいしさを出すためにドライイーストの青ラベルを使っている」(山��さん)という。
自家製の酵母で作るパンも販売している。酵母は「レーズン、モルトシロップ、三温糖、水を合わせてじっくり発酵させて作る」(山崎さん)。「ライ麦バゲット」(170円)など2品目。
パンの焼成回数をなるべく多くして、夕方にもパンが焼き上がるように工夫している。フランスパンや食パンなどは1日2回仕込む。菓子パン類とバターロールは、生地玉冷蔵で、1日4回は焼き上げる。天然酵母パンは前日仕込みだ。最後の焼き上がり時間は午後6時ごろ。店内には1日中「○○パンが焼き上がりました」という販売スタッフの声が響き、活気にあふれている。
「基本的な製造スケジュールがあって、あとはお客様の来店状況をみながら、微調整します」と山��さんはいう。

いつしかパンにのめり込んでいた

パンリコは、JR関西本線(大和路線)加美駅を下車して徒歩1分の場所にある。かなり小規模な商店街風の場所。斜め向かいにはコンビニがある。
店舗は、売り場が約6坪、製造スペースが約10坪。製造スタッフは、山��さんを含めて3人。販売スタッフはちさ夫人を中心に、パート十数人がシフトを組み、常時2人の態勢だ。
日商20万円を目指して、健闘している。
山��さんは、最初イタリア料理のシェフを目指した。あるとき、自分の料理といっしょに出すパンは、自分で作りたいと考え、パンに興味を持った。いつしかパンにのめり込み、パン職人として11年間修業を積んでいた。
2000年5月に現在の場所に店を構え、独立した。

パンリコといえばめんたいフィッセル!
めんたいフィッセル
パンリコの看板商品。1日50個以上売れるという。ひとつ130円。
【配合%】
リスドウル(フランスパン用粉) 100
伯方の塩 1・9
ドライ・イースト(青) 0・7
ピュアナチュラル藍(天然由来の改良剤) 1
水 68

【工程】
ミキシング(スパイラルミキサー) L2分(オートリーズ20分後、イースト投入)L1分(伯方の塩投入)L3分H15秒、
捏ね上げ温度 23・5度C、
発酵 3時間(1時間の時点でパンチ)、
分割 80グラム、
ベンチタイム 20分、
成形 フィセル形、
ホイロ 28度C80%1時間10分、
焼成 上火230度C下火233度C15〜20分(スチーム注入)

※焼き上がったら、(1)粗熱をとり、カットを入れる(2)カットした部分に▼めんたいフィリングを絞る(3)切り口を上にして180度Cのオーブンで約13分焼成(4)次に切り口を下にして、180度Cのオーブンで約5分焼成。

▼めんたいフィリング
(1)マヨネーズ450グラムと無塩バター900グラムを混ぜ合わせ、やわらかくする
(2)[1]にめんたいこ700グラムを加え、混ぜ合わせる

原価計算女王
原価計算女王
きんぴらごぼうが入ったフラットブレッド
きんぴらベーコン
自家製のきんぴらごぼうを入れたパンで、ナンのような形をしている。生地に炊いたもち米を入れる。ベーコンとマヨネーズとの組み合わせがいい感じだ。150円。
【配合%】
スーパーカメリヤ(強力粉) 80
やわらかく炊いたもち米 20
三温糖 4
伯方の塩 2
脱脂粉乳 2
無糖ヨーグルト 1
インスタントイースト(赤) 0・6
ラード 4
水 53

【工程】
ミキシング(縦型ミキサー) L3分ML3分(ラード投入)L3分ML4分MH2分、
捏ね上げ温度 26度C、
発酵 1時間30分、
分割 100グラム、
ベンチタイム 30分、
成形 (1)麺棒で平らにのばして、ベーコン、マヨネーズ、きんぴらごぼうをのせる
(2)2つ折りにして、綴じ目をはがれないように押さえる
(3)上面に白胡麻をトッピングしてホイロへ。
ホイロ 38度C88%45分、
焼成 上火230度C下火230度C9分(スチーム注入)

※焼成する際に、生地をのせた天板の上に天板をもう1枚のせる。こうすることで、フラットな状態で焼き上がる。

レッドチェリーをたっぷりとトッピング
サワーチェリーデニッシュ
レッドチェリーをたっぷりとトッピングしたデニッシュ。加糖ヨーグルトを絞るのがポイント。ひとつ150円。
【配合%】
中力粉(フランス) 100
砂糖 8
塩 2
インスタントイースト(赤) 1・1
牛乳 40
バター 5
卵 5
水 23

【工程】
ミキシング(縦型ミキサー) L5分、
捏ね上げ温度 24度C、
発酵 2時間、
大分割 1800グラム、
折り込み 3つ折り×3回、
成形 (1)2・5ミリ厚に伸ばし、ひとつが45〜50グラムになるように四角形にカットする
(2)対角線が折り目になるようにして三角形に折りたたむ
(3)合わせ目の2辺に沿って1センチ程度のところにカットを入れる
(4)[3]をはがし、再び8センチ四方の状態にして、カットを入れた部分を左右に交差させる。
ホイロ 28度C80%1時間10分、
焼成 上火230度C下火230度C15分

※ホイロ後、カスタードクリームを絞り、焼成後に加糖ヨーグルトを絞って、レッドチェリーをたっぷりとトッピングする。レッドチェリーは缶詰のものに砂糖を加えて煮たものを使用。
※最後に、細かく砕いたピスタチオをトッピングする。

個性あふれる製品がたくさん並ぶ

ツインコロネ。生地は液種法で仕込む。小さなコロネを2つ並べて焼成するアイデア商品。自家製チョコレートクリームと自家製カスタードクリームを絞る。特に子供に人気が高いという。 天然酵母パン。レースン、三温糖、モルトシロップ、水から作る自家製の酵母を使用。「ライ麦バゲット」(170円)と「チーズとベーコンのライ麦パン」(120円)の2品目を作っている。


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