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| 連載/2017年5月号 |
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| 個人店をもっと元気にする様々な試み - 一粒の麦から37(文・本行恵子) | |
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西武池袋線の大泉学園から徒歩5分の住宅街にある「ブーランジェリーベー」は、若い人から年配者まで幅広い年齢層から人気のあるパン屋さんです。
オーナーシェフの國島武人さんは有名なパン職人のもとで修業を積み、2003年11月に店を開業しました。バゲット、クロワッサン、パン・ド・ミの定番商品の他、ハード系のパンからバラエティーブレッド、そして各種の焼き菓子、惣菜、キッシュも作っています。また地元の果樹園や農家から旬の果物や野菜を仕入れて作る地産地消の商品にも力を入れ、魅力的なパンが揃っています。 今年の秋には創業14年目を迎えます。その間には駅前再開発によって、個人商店の撤退や大型店舗の進出で人の流れが変わり、売り上げにも影響がありました。 しかし國島さんと妻のはるひさんは、個人店の魅力を知ってもらい、楽しい町にしたいと前向きに考えていました。 2009年には地元のクラフトギャラリー「KunulpAA(クヌルプエーエー)」のオーナー、町田顯彦さんと仲間たちが、自分たちが暮らす町の魅力を多くの人に広めたいと、フリーペーパー『井』を発行しました。練馬区の石神井公園を中心とした石神井、井草、井荻、大泉などの水に因んだ地名を「井」と名付け、そのエリアを様々な角度から紹介する小冊子です。そこには編集者たちが選んだ衣食住関連の人、モノ、場所が登場し、路地裏の道案内的な役割も果たしています。 その活動で繋がったメンバーは、2011年から石神井公園内の氷川神社で、クラフト市「井のいち」も開催しています。「井のいち」にはクラフト、音楽、フードなどのつくり手が参加します。そしてパンと焼き菓子の販売で「ブーランジェリーベー」も参加し、地元のお客様との新たな出会いが広がりました。今年は5月21日(日)に開催され、「井のいち」の応援募金も集めています。 イベントを通じて世界が広がる はるひさんは「ブーランジェリーベー」の開店当初から、販売マネージャーとして働いています。子供が生まれた時も「共同保育所ごたごた荘」に預け、仕事に復帰しました。保育所は少人数で運営しているため、親も関わることが多く、大家族のように、お互いに助け合いながら、子育てをしてきました。 その繋がりのおかげでごく自然に、楽しく暮らしやすい町つくりを目指すグループ「回」が生まれました。そこにはパン屋さん、料理人、出版社の経営者、古民家「東京おかっぱちゃんハウス」を運営する人、イラストレーター、『井』の編集者、果物園「荘埜園」の四代目など多彩なメンバーが揃っています。國島さん夫妻はそこで出会った仲間と一緒に、地元の魅力を知ってもらうプランを考えていました。 そして今年の2月17日〜21日に、「回」の主催で「第1回 筑後と井 繋がる暮らしのものと人」を開催することができました。 九州の「筑後」と練馬区の「井」の両地域を、モノと人で紹介する初めてのイベントでした。19日には筑後地方の作り手の顔が見える商品を販売するアンテナショップ「うなぎの寝床」の代表者、白水高広さんをゲストに迎え、地域の伝統的なモノづくりをアンテナショップで情報発信し、町の活性化に導いた話を聞きました。 「ブーランジェリーベー」は会期中、八女市にある明治初期に創業した梅野製粉のミナミノカオリ石臼挽き小麦粉を使ったパンを販売しました。また19日のトークイベントでは、料理人の上野麻子さんの作る素材の味を生かした「自家製白菜塩漬けと塩豚のシュークルート、在来種レンコン入りポテトサラダ、有機聖護院大根と金柑のマリネ」のランチメニューに合わせ、石臼挽き小麦ミナミノカオリで作るカンパーニュとオリーブのライ麦パンを提供しました。 今回のイベントに向けてはるひさんは、現地の八女市まで出向き、生産者の方々にも会い現場を見てきました。自分たちが自信を持って紹介するためには、まず生産者や現場を知ることが大事だと考えています。イベントを通じて日本全国のモノづくりの人たちと繋がり、大きな交流の輪が広がりはじめています。 本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。 |



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