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| 特集/2017年5月号 |
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| 外国人労働者を雇用する
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| 外国人技能実習生を雇うという選択 <ティードスの宇佐美寛代表に聞く> | |||||||||||||||||||
技能実習生を送り出す国での派遣機関を厳選する 「まず、よく考えて選ばないといけないのは、実習生らを母国から教育して送り出す現地の送り出し機関です」(宇佐美氏) そもそも外国人技能実習生制度は1991年に公益財団法人国際研修協力機構(JITCO=ジツコ)の支援のもと制度化。現在は2万社以上で19万人の実習生が、日本のものづくりの技術を学ぶために雇用され、日本に滞在中と言われている。間には現地の人材派遣事業者である送り出し機関とJITCOから許可を受けた日本国内の監理団体(受け入れ機関)が入り、実習先と直接雇用の契約を結ぶという仕組みがある。 実習では74職種133作業で最長3年間の勤務が可能。パン製造職種も3年間まで勤務可能だ。また今年秋より法的には、優良企業に限定などの諸条件つきで、最長で5年まで勤務期間を延長可能な法案の運用も開始される。受け入れ可能人数は常勤者50人以下の職場が3年間で最大9人。 宇佐美氏は現在12社に対し180人の外国人技能実習生を紹介しているが、そのうちパン職種のベーカリーは6社を占める。 「実習生達には日本で働く事で何らかのチャンスを掴んでほしいと思いますが、3年間安定した労働力を一定数確保できるのは企業にとっても確かにメリットです。日本人でも新卒で3年後に残るのは3割と言われる状況の中で、優良な送り出し機関が輩出した実習生たちの離職率はわずか1%ですから」(宇佐美氏) 宇佐美氏がパン職種で現在紹介中の実習生は40人で全員がベトナムのエスハイ社(ベトナム・ホーチミン市)が運営する送り出し機関「カイゼン吉田スクール」の出身者だ。宇佐美氏が「優良な送り出し機関」と後押しする同校はベトナムの送り出し機関の中では教育水準が高いという。 同校は日本企業向けの人材教育と派遣事業を行うエスハイ社の教育部門として2006年に設立。独自の教育カリキュラムでこれまで約1万人の技能実習生を輩出してきた。日本語などを教える講師にも日本人数人を揃え、日本語やマナーのほか、日本の企業内に存在する集団生活の規律や心構えなども含めて教える実践的な授業の定評は高い。 また、生徒達が入学時はまだどの求人票に応募するのか決まっていない状態で入るのが最大の特徴だという。入学は簡単な審査のみで可能だが、入学後は3カ月間みっちり学び、実習生達には一通りの基礎教育がなされた上で考えて求人に応募してもらうという流れが、実習生と企業側のミスマッチを防いでいるという。 採用試験は、埼玉県内で7店舗を展開するベーカリー企業、デイジイ(埼玉県川口市)の例では、履歴書の審査に加え、IQテストや、YG性格検査、スピードテスト、正確性テストなどを実施。加えて面接会では日本語での質疑応答を行い、リンゴの皮むきといった実技試験も行う。採用人数の3倍の応募者が詰め寄せる中、選抜された内定者は手続きを経て約5カ月後に来日の運びとなったという。 実習生たちの動機はどこにあるか 宇佐美氏によると、実習生達が日本で働く目的は大きくは3つ。第1は3年間で約150万〜200万円の貯金をすること。第2は日本で働いた実績を作る事。第3は日本語がある程度できるようになること。 実はベトナム本国で高収入を得るには、日本語ができる事と日本で働いた経験がある事が非常に大きな武器になるという。実家が裕福でなく高い学歴を得る事ができなくても、日本語ができれば、平均以上の給与を手にする事ができ、観光業なども含めた広い範囲で高収入を得るチャンスが開かれるようになるのだ。 「そのため技能実習生への道は、裕福でない環境に育っても勤勉で目標を持って生きる子たちにチャンスをあげられるという側面もあるのです。これまで熱心な実習生の子達と多く出会い、戦後の貧しい時代から徐々に経済復興していった昭和の日本の若者を彷彿とさせるようなものを見て、何とかしてあげたいと思わされる事も多かったんです」と宇佐美氏。 ただ実習生の動機もここ数年で徐々に変わってきているという。 「職種そのものに魅力を感じ日本のベーカリーで就業体験を積みたいという実習生も徐々に増えてきています。帰国後は自分の店を出したいと話してくれる実習生もいますね」(宇佐美氏) 実は、これはある企業で溶接作業をしていた実習生の青年の例だが、ある日、青年は勤務先の社長にある街の商店街へ連れて行かれた。そうしたら、そこに立ち並んでいた照明柱の中に青年が仕事で実際に作った照明柱があり、その商店街の通りを立派に明るく照らし出して立っていたという。それを見た青年は日頃社長が厳しく指導してくれた理由がわかり感動し、自分の仕事や技術に感謝したそうだ。 製パンの例でも、3年間では職人レベルまで技術を磨き上げることは難しいが、自分達の仕事がどのような形で店の運営に役立ち、周りに受け入れられているかどうか、積極的に伝えていくことが、実習生達の新たな動機づけにつながる可能性がある。 前述のデイジイのケースでも、雇用側は初め半信半疑だったが、実際に現場で働いてもらうと、想像以上に熱心でひたむきに働き、吸収力も良い実習生達の姿があったという。彼らを受け入れ、店の戦力になっていることを伝える事が、実習生達のやる気をさらに引き出す鍵となるようだ。 時には誘惑の魔の手が忍び寄ることも ただし実習生を雇用する際には、いくつか注意しなければならない点もある。まずは期間中4%ほど存在するという失踪者だが、これは多くの場合、背後には、巧みに勧誘するブローカー達の存在があるという。 「『もっと稼げる仕事がある』などと巧みに言って近づいてきますが、失踪する事で雇い主との大事な信頼関係を失ってしまいます」(宇佐美氏) 地道に働いて3年間でお金だけでは買えない技術力や経験を身につけて帰ることが大切だが、道を踏み外さないよう、普段から実習生達の様子に気を配ったり、寮として提供する住居の様子も把握したりするなどの必要があるという。 「例えばベトナムでは地域によって食習慣なども大きく違うので同じ部屋に同じ地域出身の子達を集めるなどの配慮も必要です。仮に難題が発生しても、ちょっとずつ歩み寄る努力が大切です。なぜなら彼らの多くは素直で真面目で純粋な気持ちで業務に励んでいるからです。生活は質素ですが、帰国するまで一度は東京ディズニーランドに行きたいといったささやかな夢を抱えている実習生もいます。彼らをただ単なる単純労働の穴埋め要員と考えてはいけません」(宇佐美氏) 実際、彼らは帰国後も日本で勤務していた会社がベトナム進出をする際にリーダー的存在となって働いてくれる事もある。社外行事に誘えば大喜びしてくれるといった一面もあり、気さくに交流する事でお互いの成長につながる絆が生まれる事もあるという。 | |||||||||||||||||||

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