手作りと家庭的な雰囲気 - パン工房マ・フィーユ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2004年2月号

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手作りと家庭的な雰囲気 - パン工房マ・フィーユ

パン工房マ・フィーユの外観
「手作りの温かさと家庭的な雰囲気を大切にしています」。神奈川県横浜市青葉区のベーカリー、パン工房マ・フィーユの山岸隆弘オーナー(32)は穏やかにそう語った。言葉だけではない。同ベーカリーのパン作りと接客にその姿勢が貫かれている。

住所神奈川県横浜市青葉区市が尾町545−10
電話045-974-4070
営業時間午前7時〜午後6時
定休日日曜日



「それぞれのお客様に合った接客があると思う」

パン工房マ・フィーユのスタッフたち(右から2番目が山岸さん、3番目が史穂夫人)


食パンの耳が好きな人のために両側の切り端をサービスする心遣い


店の前には来店客のためのちょっとした休憩スペースがある。
「いろいろなお客様がいるので、それぞれのお客様に合った接客というものがあるのではないかと考えています」
山岸さんはこう話す。「お客様を見ていて、何か質問したそうだったら、こちらから積極的に声をかけます。逆に若い男性のお客様などで自由に選びたい感じだったらそっとしておく、そんな感じの対応をしています」
販売は史穂夫人が取り仕切る。販売スタッフは史穂夫人中心に女性パートが常時2〜3人の体勢だ。
史穂夫人は「レジにずっととどまっているのではなく、なるべくパンが並んでいる場所に出て行って、お客様がパンを選んでいるときに声を掛けやすいようにと心掛けています」と話す。さらに「店としてメインにすすめたい商品、主人がこだわって作っている商品がお客様の目にとまるように、商品の並べ方に気を使っています。当店は自動ドアではないので、ベビーカーを引いたお客様が来たときは、必ずスタッフの誰かがドアを開けるようにしています」。
また、日々顧客と接している中で発見した事柄や、顧客からの要望や感想、お礼を言われた事柄などを、販売スタッフ全員に伝えるように心掛けている。
その時店に入っている販売スタッフにはその場で伝え、そのほかの販売スタッフには、紙に書いて休憩室に貼っておくようにしている。
志穂夫人はベーカリーで働いた経験がなかったので、開店前の2週間、あるベーカリーで販売の実地研修を行ったそうだ。



輸入家具を中心にインテリアを組み立てた。

輸入の本棚が売り場奥右手に配され、ラウンド食パン、ジャム、ラスクなどが陳列されている。中古ではないが、程よく使い込んだ雰囲気が演出された家具だ。


中央の平台も輸入家具だ。
昨年9月末に東急田園都市線・市が尾駅から徒歩約15分の住宅街にオープンした。「家庭的な雰囲気」を表現するため、店舗は内装外装ともウッディーに仕上げた。
「ある家具屋さんに、温かい感じがするすごくいい感じの輸入物の本棚があったんですよ」と山岸さん。その本棚を売り場の右奥に配した。
中央の平台は同じ店で購入した輸入の木製テーブル。そのほかの陳列棚は、本棚とテーブルにマッチするように業者に作ってもらった。
床もウッディーな感じに仕上がっている。白木を敷き詰めたような雰囲気。「実は床は本物の木ではなくイミテーションです。衛生上の問題からそうしました」(山岸さん)
入り口のドアも、木製のものを作らせた。「自動ドアの方が便利なのかも知れませんが、木の感じを出したかったのであえてそうしました」
山岸さんは、同じく東急田園都市線沿線の有名ベーカリーで5年間修業を積んだ。その後、ベーカリー専門の店舗設計・施工会社、ダイユーの派遣スタッフとして2年間働いた。
派遣スタッフとして働いていたときに、数多くのベーカリー立ち上げを経験した。「多くのベーカリーの開業に立ち合うことができたことが本当に役立ちました。そして同じ派遣スタッフとして働いていた同僚の、パン作りやベーカリー運営に対する真剣さ、真面目さに触れて、とても勉強になりました」と山岸さんは振り返る。



手間ヒマを充分にかけないと心の中にもやもやがたまる。

入り口のドアは白木で作らせた特注品だ。
パン作りの基本は手間ヒマを惜しまないことだと思います。出来合いのフィリングやクリームを使って手間を省いてパンを作ると、もやもやがたまるんですよ」。山岸さんはこう話した。
「自家製つぶあんぱん」(120円)の粒あんは、北海道富良野産の小豆を仕入れて作る完全自家製。
「クリームパン」(120円)のカスタードクリームも、卵と牛乳を厳選して作る自家製だ。
「でも、コロッケパンのコロッケは自家製ではありません」と山岸さん。
品揃えは、「自分が食べておいしいと思うものだけを揃えた結果」(山岸さん)、およそ50品目。「すべてに完全に納得しているわけではありませんが・・・」という山岸さんにとって、「100%納得できる商品」と、「100%納得できないが、出してもよい商品」があるのだという。
現在の課題は、100%納得できる商品の割合を、可能な限り高めていくことだそうだ。
東急田園都市線・市が尾駅から徒歩約15分の場所も、「家庭的な雰囲気の店」にするために決めた立地だ。「歩いて来られるお客様がほとんどです。何かのついでではなく、ウチのパンを買うために来ていただかなくてはならない立地なんです。やはり雨の日は、来店客数がかなり減りますね」と山岸さん。
◇
 パン工房マ・フィーユは、売り場面積約9坪、厨房が約11坪。
 製造スタッフは、山岸さんと、社員が男女各1人の合計3人。

折り込み回数を少なくしてさくさく感を出した。
クロワッサン
「外側のさくさく感と中のしっとり感を出すように心掛けて作っています」。「クロワッサン」(120円)について山岸さんはそう話した。「製法の秘密は?」との質問に山岸さんは、しばらくの沈黙の後「折り込み回数を少なくしています」とだけ答えた。記者が食べた感想は、外側はクロワッサン独特のかるくさくさくと崩れていくような食感で、中はしっとりというより、もっちりという表現が適しているように思われた。

ハード系のパンに様々な工夫を凝らす。

カレーフランス


うぐいす豆のリュスティック
カレーフランス
フランスパン生地でカレーを包んでクッペ形に成形し、ホイロ後上面にカットを入れて焼き上げた商品。パンはもっちりとしている。カレーフィリングは自家製で、かなり大きな牛肉が入っている。一般的なカレーパンのカレーフィリングとは食感がまるで違う。価格は、1つ150円。

うぐいす豆のリュスティック
「小豆を入れたリュスティックを見て、思いつきました。うぐいす豆なら彩りもいいし面白いのではないかと思いました」と山岸さん。パン工房マ・フィーユのリュスティックは1次発酵を低温で12時間以上とって作る。もっちりとした食感が特徴だ。しっかりと焼き込んだ香ばしいリュスティックとうぐいす豆がよく合っている。価格は、1つ120円。

原価計算女王
原価計算女王
粒あんは、北海道富良野産の小豆から作る完全オリジナル

自家製粒あんが自慢の「自家製つぶあんぱん」(120円)


北海道富良野産の小豆を使用。


大きな鍋で小豆を茹でる。「あんの作り方は、いろいろな人から聞いたり、本を調べたりして、試行錯誤を繰り返し、今の作り方にたどり着きました」と山岸さん。
自家製つぶあんぱん
生地は、砂糖の配合をやや控えた菓子パン生地を使用。
粒あんは、北海道富良野産の小豆から作る完全オリジナル。甘さは控えめ。パン生地も粒あんも軽い感じの食感。
2日に1回の頻度であんを作っているそうだ。

日本とイタリアの食文化が融合してイタリアンコッペになった!
イタリアンコッペ
ズッキーニ、パプリカ、なすをカットして、オリーブオイルで炒め、塩・胡椒で味をつけたものと「レモン味のソーセージ」を、背割りしたコッペパンにはさんだ商品。最初にピザソースを絞ってから炒めた野菜をはさむ。「彩りを豊かにしたかったので、ピザソースは野菜に絡めずに最初に絞るようにしました」と山岸さん。さらに「業者さんが持ってきたソーセージがとてもおいしかったので、それを使って何かパンを作りたいと考えました」。
日本のパンの代表であるコッペパンと、イタリアンな惣菜との組み合わせがとても面白い。価格は1つ250円。


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