地元の商店をマルシェ・ド・ノエルで元気に - 一粒の麦から35(文・本行恵子) - ブランスリー電子版

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連載/2017年1月号

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地元の商店をマルシェ・ド・ノエルで元気に - 一粒の麦から35(文・本行恵子)
メゾン・ベニコのブース
パンヤ・クルートのブース
大勢の人で賑わう会場の様子
 水戸市にある茨城県近代美術館では、2012年から毎年11月中旬に「マルシェ・ド・ノエル(フランスのクリスマス・マーケット)」が開催されます。今年は11月18日から20日までの3日間、「Art de vivre(暮らしのアート)」をテーマに61店舗が出店し延べ8700人が訪れ一足早いクリスマスを楽しみました。

アルザスで学んだ食文化の魅力

 フランス東部・アルザス地方の中心都市、ストラスブールは、古くから交通の要衝として栄えてきました。現在も美しい旧市街やクリスマス・マーケットには、世界中から観光客が訪れる人気の街です。
 水戸市内のフランス菓子店「メゾン・ベニコ」の店主、ベニコさんは学生時代にフランスを訪れた時、パティシエールの先駆者的存在のクリスティーヌ・フェルベールさんが作るコンフィチュールに出合い、洋菓子職人を目指すようになります。大学卒業後は都内のスフレ専門店「ル・スフレ」や島田進シェフの店「パティシエ・シマ」で、フランスの伝統菓子を学んできました。その後フランス・アルザスに渡り念願のクリスティーヌ・フェルベールさんから1年間指導を受け、フランスの伝統菓子の奥深さに惹かれていきました。帰国後は東京ミッドタウンにある「cuisine francaise JJ」でシェフパティシエールとして活躍し、技術を磨き独立を目指します。フランスの伝統的な製法で作るコンフィチュールと焼き菓子を主体とした店「メゾン・ベニコ」を、水戸にオープンしたのが2010年12月。はじめは都内で開業することを考えていましたが、茨城県中小企業中央会の独立開業支援や茨城県産の干し芋など食材の豊かさと美味しさに惹かれ水戸市を選びました。

地域性を生かした質の高いイベント

 2012年5月から7月に行われた茨城県近代美術館の「ストラスブール美術館展」関連のイベント「焼き菓子フェア」には、「メゾン・ベニコ」も参加し多くの来場者が集まりました。
 会場となった緑豊かな茨城県近代美術館の眺めに感動したベニコさんは、アルザスで体験したマルシェ・ド・ノエルの魅力を語り、同館でのマルシェ・ド・ノエルの開催の希望を伝えました。今までにない企画に当初は戸惑っていた同館側も、主旨を理解し開催の許可を出してくれました。ベニコさんは開催に賛同してくれたご近所のパン屋さん「パンヤ・クルート」のりえさんや「Dress Bird」のしげみさんたちと一緒に仲間を集め、2012年の9月に「マルシェ・ド・ノエル実行委員会」を立ち上げました。開催までの短期間に会合を重ね、自分たちの身の丈に合った水戸の地域性を生かした質の高いイベントにしたいと、プランを練りました。
 林に囲まれた同美術館には千波湖を見渡せる広いテラスがあり、その景色はベニコさんの思い描く「マルシェ・ド・ノエル」のイメージと重なったそうです。実行委員会メンバーや協力者たちは、仕事の合間に会場やブースの設営、フライヤー(イベント用のチラシ)作りなどの準備をしてきました。会場はマルシェ・ド・ノエルを一つの村に造り上げ、自然素材でテントを装飾し、大きな1枚板のテーブルにはクリスマスの飾りつけをしたキャンドルも置かれていました。手作り感のある大人も子供も楽しめるイベントは、回を重ねるごとに内容も充実しコンサートやワークショップも増えています。

地域の仲間意識が高まる

 今年のマルシェ・ド・ノエルの最終日、好天気に恵まれた水戸まで小さな旅をしてきました。会場で手にした出店リストを見ると、飲食、焼き菓子、アンティーク、植栽、フラワー、農園、雑貨、革小物、金属工芸、木工雑貨など様々な分野の店が集まり、クリスマスをテーマにした商品が並んでいました。芝生のある庭園では、ミニコンサートも行われていました。パン屋さんはハード系の食事パンと料理が人気の「パンヤ・クルート」、大正15年創業の老舗「木村屋 パン店」、国産小麦と自家製酵母のパン屋さん「Sunny side Kitchen」など地元でも人気の店が参加しています。朝9時半からの開場と同時にお目当ての商品を買い求める長い行列が続き、昼前には完売する店もありました。「パンヤ・クルート」は、追加のパンを店から運ぶため通常の営業を休み、この日のために終日焼き続けた店もありました。
 マルシェを成功させるために地域の同業者同士や異業種の人たちが力を合わせ、交流も深まりました。実行委員会のメンバーたちは、マルシェ・ド・ノエルを通じてお客様がこの街に関心を持ち、水戸の魅力を再発見してくれることを願っています。

本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。







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