2004年のアメリカ食品業界を斬る - 高橋秀尚=�螢僖鵐錙璽襯病緝充萃�役、海外情報研究会主宰 - ブランスリー電子版

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海外情報(37)/2004年2月号

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2004年のアメリカ食品業界を斬る - 高橋秀尚=�螢僖鵐錙璽襯病緝充萃�役、海外情報研究会主宰

食品業界全体を見ながらベーカリー業界を分析

何事においても世界最大、最強を自他共に誇るアメリカ合衆国の総人口は、昨年末の公表資料では1・1%増えて2億8840万人とされる。
また消費者の財布に直結していると思われるレストラン産業の今年度売り上げ予測は対前年度伸び率が4・4%の4000億ドル(約48兆円)という巨額に達する。
この巨大市場で顧客に提供される食事数は700億回、従業者数は1200万人、レストラン数は88万店という。
さて一方の製パン産業は、どのような方向に向かって進むのであろうか?
今回は食品業界全体に広く視線を向けて、筆者が最近になって入手した各種資料により分析をしてみよう。

炭水化物を避ける傾向にどう対応するか
まずアメリカの消費者意識を調べた結果によると、「今年は景気の回復に向かい、消費も増える」と答えた人が72%、「昨年と変わらない、もしくは悪くなる」との回答が28%であり、大多数は景気の行方を楽観視しているようだ。
さらにリテールベーカリー経営者に対しての「あなたは今年の景気をどう予測するか?」との設問には71%が売り上げが伸びると予測している。
アメリカにはリテールベーカリー関係者で組織されるRBAという団体に加えて、一段とプロ意識が強い「ベーカーズ ギルド オブ アメリカ」という団体があり、筆者もメンバーに入れてもらっているが、昨年度末に行われた同団体会員を対象にしたアンケートでは、「ブレッド類の売り上げ増」(74%)、「ペストリー類の売り上げ増」(86%)、「全粒粉ブレッドの売り上げ増」(92%)と極めて希望の持てる回答をしている。
その一方で否定的な要素もある。
まず、昨年度は過去13年間で最悪の4・3%という高い数値を示した食品価格の高騰がある。
さらにここ2年間に小麦粉の1人あたりの消費量が7ポンド(約3・2キロ)減少したという。
その主な原因はダイエット目的でパンはもちろんパスタなどの小麦粉商品に含まれるカーボハイドレート(炭水化物)を避ける傾向によるものとされる。
実のところアメリカから筆者のもとに送付される膨大な量のニュースで、この動きに触れないものは少ない。
食品製造、販売業界はもとよりレストラン業界は「低カーブ」商品、メニュー開発に必死である。
昨年末にベーカリー業界の識者が集まり、この新しいトレンドを含めた懸案事項を中心に研究会を開いたが、ベーカリー業界は今しばらくは慌てないで消費者の動きを静観しようというのが結論であったと聞いている。
しかしながら、炭水化物の含有量が少ない低カーブ商品は、今やアメリカ全土を席巻し、ファストフード、CVS店舗においてすら低カーブ商品の開発に夢中になっているのであるから、ベーカリー業界においても手をこまねいているわけにはいかないと思われる。
ごく最近のニュースではアメリカの大手ホールセールベーカリー、Sara Lee(サラリー)社が「ディライトフル ブレッド」シリーズと命名した低カーブのブレッド2種類を商品化して話題となった。

イーティングクオリティーの概念
さて、ごく一般的なアメリカ人の健康意識を調べた調査で「あなたはマクドナルド及びバーガーキング商品に対して何を望むか?」という設問に対する次のような回答結果を見てほしい。
(1)ヘルシーなメニューを加える…………………………30%
(2)メニューのバラエティーを増やす……………………20%
(3)ベジタリアンフードを加える…………………………15%
(4)低価格………………11%
(5)よりよい店内の感じ…8%
(6)ポーションを大きくする……………………………5%
(7)ウェイターのサービスを加える………………………2%
(8)メニューが多すぎてわかりにくいから整理して少なくする…………………………2%
つまりファストフードに対しても顧客はヘルシー志向の商品を求めているということがこの調査でわかる。
また「アメリカの消費者が食品を選ぶときに最も気にする(摂取したくない)ものは何か?」の調査結果は次の通り(複数回答)。
(1)油脂類………………89%
(2)カロリー……………88%
(3)塩分…………………86%
(4)糖分…………………84%
(5)炭水化物……………81%
(6)飽和油脂……………78%
(7)蛋白質………………77%
(8)その他………………74%
なお参考までにリテールベーカー協会が同様の調査をした結果は次の通りである(設問は異なる)。
顧客獲得に最も重要なことは何か?
(1)イーティング クオリティー………………………85・2%
(注)聞きなれない用語だが「食感がよくて食べやすい」ということで単に品質がよい、フレッシュであるという意味ではないことに注目しよう。
(2)アピアランス………7・4%
(注)これも耳新しい言葉だが、商品が美味しそうに見えて食欲をそそる、という意味であろう。
(3)低価格……………7・4%
この調査は対象がリテールベーカリーであったので、さすがに「低価格」を最重要事項としていないのには安心した。

栄養表示の要望にどう応えていくか
ところでアメリカは消費者保護に厳しい国であるが、リテールベーカリー商品にも栄養表示レベル(正しくはレーベル)の添付が望ましいという声が出ている。
その実情を調査した結果によると、「すでに実施している」がわずかに20%、「予定している」が34%、「まったく予定していない」がなんと46%であったのには驚いた。
強力なライバルであるスーパーマーケットでは仕入れ商品はもちろんインストアベーカリーのベークオフ商品のほとんどは消費者が理解できるように工夫をした内容のラベルが貼られているのであるから、リテールベーカーも見習うべきであろう。
このような新しいことを始めればコストがかかるという意見もあるが、一般的な原価計算の平均値は次のように発表されている。
(1)原材料費……10〜25%
(2)店舗レンタル……6〜8%
(3)人件費……………30%
(4)その他の諸経費10〜15%
(5)粗利益……………22%
しかしながら、砂糖、蜂蜜を筆頭とする原材料価格と人件費の高騰が特にリテールベーカリーが抱える最も頭の痛い問題といわれる。
製造コスト高騰への最も当たり前の対応は売価を上げることであろうが、リテールベーカリーを対象にした次の調査結果に彼らの苦悩が読み取れる。
(1)すでに値上げした13・2%
(2)近日中に値上げ…6・6%
(3)将来は値上げ……14・1%
(4)値上げ予定はない66・1%
 ちなみに昨年度末に発表されたアメリカ食品市場における主要商品群の価格変動調査(FPIフード プライス インデックス)は次の通りである(数字は対前年度上昇率)。
(1)ミート類…………4・5%
(2)鶏肉類…………0・5%
(3)魚・シーフード類…0・5%
(4)卵………………8・5%
(5)乳製品…………2・0%
(6)油脂類…………1・5%
(7)青果類…………3・0%
(8)砂糖……………1・5%
(9)シリアル・パン類…2・5%
(10)調理済み惣菜類…2・0%
なお平均的なアメリカ人の1週間あたりの食品類購入額は95ドル(約1万円)であるが、これが35〜54歳という中高年層になると105ドル(約1万1000円)になるのは調理済み食品などの割合が増えるからであろう。

台頭するインターネット通販
ところで食品販売市場における最近の大きな変化はインターネット経由、いわゆるeコンマースの台頭である。アメリカにおける食品類を含むインターネット販売総額は2002年度で480億ドル(5兆200億円)、その後は毎年30%を超える勢いで伸びている。
特に日持ちのするハード系ブレッド類を開発し、インターネット経由で通信販売する会社が続々と現れている。
その代表格は独自の理論でダイエット商品を販売するアトキンスであり、ベーカリー商品も含まれる。
この種の商品は何らかの特徴を持っているので定価格販売が原則であり、利益率も高いと思われる。
日本においても独自商品は有望であろうから、今後は同様の商品開発が可能ではないだろうか。

アメリカのベーカリーの情報入手方法
さてアメリカのベーカリー(特にリテールベーカリーのオーナー)は、どのような手段で必要な情報を入手しているのであろうか?
「情報武装」という言葉もあるくらいに重要であると思うが、改めて最近の調査結果を紹介しておく。
情報入手も含めてインターネットの使用は週当たり、「1〜5回」(10%)、「6〜10回」(33%)、「11〜20回」(20%)、「21回以上」(37%)となっている。前年度に比べて使用回数が飛躍的に増えている。
アメリカで発行されている業界紙(誌)などの購読数は「1種類」(40%)、「2種類」(33%)、「3種類」(17%)、「4種類以上」(10%)。ちなみに筆者は18種類。
ベーカリー業界の展示会、セミナーなどに参加する年間の回数は、「ほとんどない」(24%)、「1回あるかないかの程度」(28%)、「年に1回」(24%)、「年に2回」(16%)、「年に3回以上」(8%)。

2004年の最新トレンドは?
最後に食品業界全般の2004年度最新トレンドは何か? 「フード テクノロジー」という資料から紹介しよう。
Hot & Eat(ホット&イート) 文字通り温かい商品をお客に食べてもらおう、という最も基本的な提案
レトロ ニュトリション 昔からある身体に良いものを食べようという提案
Casual Indulgense(カジュアル インダルジェンス) 気軽な食事を楽な気分で楽しく食べようという提案
カントリー カリスマ 田舎料理の持つよさを再認識しようという提案
テーブル トーク 家族、友人など親しい仲の人々と食卓を囲む楽しさの提案
シンプル ソルーション お客が手間ヒマ、時間をかけないで簡単手軽に食事の支度ができるようにする提案。
コレクティング コンディション 身体の不調を訴える現代人が多いので、適切な食事メニューを考えてあげようという提案
カスタム ケータリング 年齢、性別、顧客嗜好をより考慮した食事内容の提案
モア ピュアー さらに身体に無害で健康的な食品と食事プランの提案
スナック&ミニ・ミール より多様化する現代人のライフスタイルに合わせたスナック性の高い食事パターンの提案



ヨーロッパにおける情報入手のヒント
海外視察で重要なのは「ベーカリーを見る」ことにとどまらないこと


今月号はヨーロッパにおける情報入手のヒントをご紹介しよう(パンワールド 2002年4月撮影)。



ドイツ中部の地方都市、バインハイムにある公立製パン学校を前から見たところ。レストランと宿泊設備もある伝統的な教育機関だ。



原則的にはドイツ語によるコースとセミナーが主体だが、リクエストに応じた日本人を含む特別コースのアレンジも可能だ。



あまり知られていないが、前述の公立製パン学校は実技講習のほかに、販売員教育も行っている。この写真は校内にある「ベーカリーのモデル店舗」で、この場所で実務さながらのレッスンが行われる。

海外視察で重要なのは「ベーカリーを見る」ことにとどまらない配慮だ。この写真はドイツにおけるベーカリー・レストランを示しているが、業態、商品構成などを新しい感覚で見ることができる。

原価計算女王
原価計算女王
上の写真の店の商品構成の一部をみたところ。フォーク、ナイフが置いてあるのを見れば、店内飲食が可能なベーカリー・レストランであることがわかる。

オーストリアの首都、ウイーン市内には、伝統的な生鮮食品マーケットがあり、一般庶民の食生活を知ることができる。このような場所を見ると、ベーカリー商品も珍しいものがあって参考になる。


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