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| 特集/2016年10月号 |
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「独特の酸味の強さや、外はかりかりで中はしっとりしているところなど、ドイツパンの魅力は多々ありますが、その前にドイツパンは理屈抜きで本当においしいんですよ」と藤本さんは話す。 その上で、藤本さんが強く伝えたいドイツパンの魅力としては、日常食の一部として肉や魚、野菜、そしてチーズなど、様々なものと合わせて食べやすいことがある。 同店では、ライ麦の含有率が異なる様々な食事パンを販売しているが、合わせてサンドイッチ売場ではこうしたパンを使用して様々な具材を挟んだものを販売することで食べ方の提案につなげている。 「ドイツでも北部の寒い地域はライ麦度の高い黒いパンで、南に行くにつれて白っぽいパンになっていきます。もっと南にいって国をまたぐとフランスパンになるわけで、同じドイツパンでも様々な種類があることを楽しんで欲しいですね」(藤本さん) ライ麦含有量が多い「黒いパン」で人気の商品としては、ライ麦100%のブロート「ロッゲンフォルコンブロート」(税込584円)やライ麦82%で同店のパンでは最も酸味が強い「コサッケンブロート」(税込584円)などがある。 「ロッゲンフォルコンブロート」は、クリームチーズをのせ蜂蜜をかける食べ方が人気だという。店内のサンドイッチ商品の中にも同商品を使用してクリームチーズと蜂蜜を挟んだサンドイッチが売られていた。「コサッケンブロート」は酸味が強くしっとりしているためシチューやスープと合わせる食べ方をすすめている。 ある特定の商品を目当てに来る客がいる一方で、「ライ麦の量がかなり多い黒いパンを探している」などと、パンの特徴から希望を出してくる客も多いが、こういう場合、ライ麦の量や酸味、食感はどういうものを求めているか、どういった場面で食べたいのか、といったことを聞き出すことで、ぴったりなパンを提案している。 「ただ、食べ方はこちらから提案する一方で、逆にお客様からこういった具材と食べたらおいしかったと教えて頂く事もあります。本当にドイツパンが好きで自分で色々と食べ方を研究している人も多いですね。チーズに詳しい方から参考になる話を聞く事もあります」(藤本さん) 催事との相乗効果でファンを拡大 実は同店は積極的な広告宣伝を今まで一度も行っていない。ただデパートの催事などで販売した商品の口コミ効果が知名度を広げたという。 現在同店では、デパートや高品質スーパーでの催事売場での販売やネット上での通信販売も行っている。催事はかなりの数をこなし、同店の売上の約6割を占める。本店と催事の相乗効果でこれまで多くの「リンデファン」を獲得してきた。 「今後もこうしたファンの方達を大切にしていきたいですね」と藤本さんは話す。 同店は開業当初からの味をずっと変えず守り続けてきているという。食事パンを買うリピーターが多いため、その客が好む具材などとの食べ合わせを思いやると、味を変えるわけにはいかないのだそうだ。 喜んで毎日食べ続けられるような、そんな味を今後もぶれずに提供していくのが、「リンデができること」なのだという。 ベッカライカフェ・リンデ吉祥寺本店 〒180-0004東京都武蔵野市吉祥寺本町1−11−27 電話: 0422−23−1412 営業時間:午前10時〜午後7時 | |||||||||||||||||||

| 専門店だからわかる専門商品の売れる理由 - パンのペリカン | |||||||||||||||||||
浅草寺や雷門にほど近い、国際通り沿いの「パンのペリカン」。1942年にこの地で創業し、今や浅草観光の人気スポットとしても名高い老舗のベーカリーだ。 同店は、食パンとロールパンを専門に製造販売している。ラインナップは、「3斤」(税込1140円)や、同製品を半分にカットした「1・5斤」(税込570円)などの食パンと、「小ロール10個入り」(税込610円)、「中ロール5個入り」(税込460円)のロールパンなど、全部で10種類。 食パンとロールパンのほか、コッペパン「ドッグ5個入り」(税込480円)などもあるが、こちらはロールパンと同じ生地で作っている。同店の生地作りは、食パンとロールパンの2種類に限っている。材料は、食パンが、小麦粉、砂糖、バター、イースト、食塩、ビタミンCで、一方ロールパンは、この食パンの材料に、さらに卵が加わる。材料については、パンの包装袋にも明記されている。 「材料も製法も、基本的には昔から変わっていません。ありがたいことに、子どもの頃から召し上がってくださっている方など、何十年と通ってくださっているお客様も多いので、少しの狂いも出してはいけないと思っています。材料も、昔からいいものを使うと決めていて、そのための値上げはやむを得ないと思っています。大量生産には、安さではかないませんが、おいしさでは絶対に負けない自信があります。毎日のちょっとした贅沢として、普段使いしていただければと思っています」 こう話すのは、7年前、大学卒業後同店に入社した4代目店長の渡辺陸さん。 「当店は、創業時から専門店であった訳ではありません。初代は、レストランのベーカリーで勤務した経験を元に、他のベーカリーと同じように色々なパンを作っていたそうです。専門店となったのは、2代目の私の祖父のときです。戦後、ベーカリーが急増する中、仲間同士でぎくしゃくしたくはないと、差別化を図ろうとしたようです」(渡辺さん) 食パンとロールパンだけに絞って続けていくことに、迷いがなかった訳ではなかったという。 「新商品を出すか出さないか、何度か考えたことはあったそうですが、慎重に検討した結果、専門店というこれまで続けてきたやり方を守り続けていくことにしたそうです。今後も、『手を広げすぎてはいけない。できることをしっかりやれ』という2代目の言葉を胸に刻んで、このままの形を続けていきたいと思っています」(渡辺さん) 食パンとロールパンの販売は、2代目の頃は、浅草界隈の喫茶店やホテルへの卸がほとんどだったという。 「2代目が営業に関しても努力したそうで、新宿まで自転車で配達に行っていたこともあったそうです。3代目の時代になって、喫茶店の減少とともに小売りへシフトしていき、現在は、卸より小売りの方が、若干多くなってきています」(渡辺さん) 1日およそ400人が来店するという小売りについても、予約して来店する人がほとんどで、予約は電話か店頭で受付する。常連客は、「来週も2本お願いします」と、挨拶代わりに予約していくという。 直売所のような雰囲気が気軽さを生む 店舗は、ガラスの引き戸4枚分の狭い間口で、入り口となっている一番右側の引き戸を開けて中に入り見渡すと、まるでうなぎの寝床のように、細長い造りとなっているのが分かる。 工場は、まっすぐ突き当たった奥のスペースにあり、入ってすぐに目に入る。手前のスペースが売り場で、壁の右側全面には、約10段ある木製の棚が据え付けてある。食パンやロールパンを並べるための専用の棚だ。 棚は簡素な造りで、購買意欲を高めるような、客に見せるための陳列棚ではない。あくまでも、予約した客が取りに来るまでの一時保管するためだけの、実用的な棚といった造りだ。レジカウンターとして使われている台も、一般の事務所で使われるような見た目の机だったりして、売り場全体が飾りっ気のない雰囲気だ。 「卸専門だった昔のままの姿で、今までやってきました。小売りを想定していなかったので、無骨な造りで、お客様には直売所のように感じられると思います。でも、『気取らずに買いに来れる』と、こんな店内を気に入って下さっている常連のお客様が意外に多く、なかでも、男性のお客様は、『奥さんに喜んでもらえる』と言って自宅の土産用に、ラフな格好で気軽に買いに来てくださいます。種類が少ないので、おつかいを頼まれた場合も、買いやすいと思います。また、商品棚を老朽化のために新しく造り替えたときは、『黒くて年季が入っていたのがよかったのに』と残念がってくださるお客様もいました。古さや無骨さも、当店にしかない魅力になっているのかと思うと、嬉しいですね」(渡辺さん) 売り場に商品として並ぶのは、食パンなど同店の製造したパンのみで、ジャムなど、パンのお供となる食材も置かれていない。客それぞれの味わい方を追及してもらいたいという思いがあるようだ。 「楽しみ方の幅を減らしてしまうことになっても困りますし、提案は特にしていません。お客様のお好きなように召し上がっていただきたいと思っています。ただ、当店のパンは、おかずと一緒に食べることを想定しているので、おかずの味を引き立てるために、主張しない味に仕上げています。そのため、時代ごとに変わる、食事の味の濃さに合わせて、砂糖や塩の配合を微妙に調整してきています」(渡辺さん) | |||||||||||||||||||

渡辺さんは、経営者として店長になる前の入社後すぐの頃、製造を経験した。専門店としての苦労について、製造者の観点から、渡辺さんはこう語る。 「製造に携わって最初の頃は、作るパンの種類も少ないですし、こんなものか、1週間あればできそうだという風に、軽く見てしまったこともありました。ロールパンにしても食パンにしても、手順は少なく、すぐ覚えられたからです。ですが、毎日同じものを作るとなると、途端に難しくなるんです。季節が変わって温度や湿度が変わると、同じように作れなくなって。この道40年以上の大先輩から、生地を触ったときに、『これではまだかたい』と言われても、わからなかったですし、寝かした生地の状態を目視しても、どの状態がベストなのか見極めることができませんでした。毎日同じものを作るということは、経験を増やして感覚を身に着けていくしかないんですね。40年以上研ぎ澄ましてきた人の感覚には、かなわないです」(渡辺さん) 現在製造を担うスタッフは、創業以来最多となる10人で、全員が男性だ。早朝3時半から午後2〜3時まで、早番、遅番の交代制をとって、製造に務める。一度に小麦粉3袋が入るミキサーなど、大型の機械を使い、食パンは1日400〜500本、ロールパンは1日4000個製造する重労働だ。 最年少は、渡辺さんの弟が27歳で、中心となるのは30〜40代。大半が、10年以上勤続しているものの、目標とするこの道40年の先輩のレベルがあまりに高く、同先輩の引退を目前に、技術継承に必死で努める日々だという。 パンのペリカン 〒111‐0042 東京都台東区寿4‐7‐4 電話: 03‐3841‐4686 営業時間: 午前8時〜午後5時 | |||||||||||||||||||

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