地域の憩いの場になりたい - ムッシュイワン日野店 - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
お店拝見/2016年9月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


地域の憩いの場になりたい - ムッシュイワン日野店
店舗の外観。京王線・高幡不動駅とその隣の南平駅の中間地点にあり、どちらの駅からも徒歩約15分ほど。クリニックなどが入居する2階建て建物の1階にある
店舗正面のスペースはウッドデッキになっていて、丸テーブルと椅子が並んでいる
ムッシュイワンとポラリスを運営するウィルベンの小倉孝樹社長(右)と、ムッシュイワン日野店の店長代理を務める藤原勇さん
窓側の菓子パンやデニッシュなどが並ぶ棚の下には、使用している小麦粉の袋が飾られている
地域のコミュニティーのような場所を目指す

 東京・立川市に本店を構える「ムッシュイワン」など、都内と神奈川県で5店のベーカリーを運営するウィルベンの小倉孝樹社長は4月下旬、東京・日野市に6店舗目となるベーカリー「ムッシュイワン日野店」を開業した。
 立地は、京王線・高幡不動駅と南平駅のほぼ中間地点で、どちらの駅からも徒歩約15分ほどの街道沿い。新しく建設された2階建てビルの1階に入った。間口が広く、全面ガラス張りで、1階部分のおよそ3分の2を占める広さだ。そのような店構えの同店は、街道から見ると、同ビルの顔と言えるような存在感を放っている。
 歩道から、ローズマリーなどの草木が美しい植え込みを両脇に見ながら、階段を数段上がり入り口に向かうと、その一面はウッドデッキになっている。ウッドデッキには、植え込みに向かって座れるようにセットされた丸テーブルと椅子が並んでいる。
 小倉社長は、「このウッドデッキが、この場所に出店することを決めた最大のきっかけなんです」と話す。
 開業する2年前から、出店要請を受けていたものの、実際に現地を目にするまでは、出店には消極的だったという。
 「本店もそうなんですが、駅から遠く、立地はよくないと思っていました。ですが、見学に来たのが冬の寒い日で、そこで、頭に、あるイメージが浮かんだんです。このウッドデッキで、温かいパンを食べながら、ゆっくり過ごしてもらえたらいいなあ、と。また、出店要請していただいた大家さんからは、『皆が集まれる、コミュニティーのような場所が欲しいと思っていて、それにはベーカリーがふさわしいと思う』と言われました。この辺には、そういった場所がないそうなんです」(小倉社長)
 こうして、立地の問題を抱えながらも、出店する運びとなった。
 「実際に営業を始めてみると、特徴的な売れ方をすることが分かりました。本店と似た売れ方を予想していましたが、こちらの日野店の方が、客単価が約300円も高く、そして4000〜5000円もまとめ買いしていく方が少なくないんです。本店は、徒歩や自転車の方が多いですが、こちらは、車利用の方が多いというのも、その理由の一つかもしれないですね」(小倉社長)

本格的なオープンはタイミングをみて

 オープンして4カ月が経つが、街道から最も目立つはずの立て看板は、未完成のまま。「パン屋」としか書かれておらず、店名がない。
 「宣伝は一切せず、オープンは秘密裏といった感じでした。本格的なオープンは、9〜10月頃を予定してします。6月から夏の年間で一番売れないシーズンに宣伝して集客すると、お客様と店がミスマッチしてしまう確率が高いんです。というのは、セールやイベントを告知して頑張って集客した場合、それだけを目的に来店する人の割合が増えて、顧客づくりに意味をなさないことがあるからです。あくまでも、ここが本格的なパンを売る店だとわかった上で、来ていただけるようなお客様を、集客していきたいと思っています」(小倉社長)
 また、同ビルのほかのテナントは、入居予定のクリニックなどの稼働が遅れている。すべてのテナントが稼働する今後、ビル自体の集客は増え、同店に流れる客も増えていく。確かな伸びしろを持った同店は、焦ることなく波に乗るように、本格的なオープンを果たすのだろう。



パンの並ぶ棚は、装飾品が置かれるような飾り棚のよう。多くの照明が、様々な角度からパンを照らす
売り場中央にある丸テーブル状の陳列台には、焼きこみ調理パンが8種類ほど並ぶ
「イギリスパン」の断面
「イギリスパン」(税込290円)は入り口すぐの場所にも陳列。取材時はキャンペーンで260円で販売
平窯1台(ツジ・キカイの「フォルノ」)とスチームコンベクションオーブン(ツジ・キカイ)2台で焼き上げる
人気商品は、自ら演出して作っていきたい

 ガラス張りの壁には、飾り棚が配置され、飾りパンや食器、観葉植物などが、外からも見えるように飾られている。
 店内は、「パンをじっくりゆっくり選び、のんびり過ごしてもらいたい」という、小倉社長の思いを込めたデザインで、天井が高く、広さと開放感を兼ね備えた心地の良い空間だ。
 入り口の正面には、ショーケースとレジカウンターがあり、左手に売り場がある。売り場の反対側、右手には、大皿を何枚も並べられそうな、大きめのテーブルと椅子があり、テラス席と合わせてイートインとしての利用ができるようになっている。
 売り場に並ぶパンは現在、約80種類で、ラインナップはまだ安定しておらず、客の好みを模索しながら、様子見の段階だという。
 「試験焼きを頻繁に行っているので、それを試食に出して反応を見たり、地元の飲食店を回ることなども、お客様の嗜好を知る上で役立っています。今のところ、少しでもいいからおいしいものを食べたいという年配の方が多いと推測しています」(小倉社長)
 現在試験焼きに特に力を入れているのが、「イギリスパン」(税込290円)。ホテルベーカリーで腕を磨いたパン職人歴40年以上の小倉社長の、軸となっているアイテムだ。
 「軽い食感を重視するホテルの伝統の作り方から、現在は自分のオリジナルとして、噛み応えも楽しめるという角食の要素を取り入れた作り方をしています。使用する粉は3種類で、そのうちの2種類は、互いを引き立て合う『ゴールデンパートナー』として、ホテル時代から欠かせない、味の決め手となる粉です。中心となる部分は変えず、細かい配合を変えながら、試験焼きをしているのですが、中にはその違いに気付いたお客様がいて驚きました。迷えば迷うほど、見透かされてしまうのかもしれませんが、お客様と、そういうキャッチボールができるのを、今は楽しんでいるところもあります」(小倉社長)
 焼成は、平窯で25分以内に終えるのがベストで、そうすることによって、香りを逃がさず、理想の色艶になるという。窯は、ツジ・キカイの平窯1台と、スチームコンベクションオーブンを2台備えた。
 「イギリスパンの色艶は、平窯でないと出せませんが、他の食パン類はすべてコンベクションで焼いています。コンベクションは機動性に優れ、使い勝手が良く、ケーピングもしません。今後の品揃えの変化に対応できる、将来性のある窯だと思います」(小倉社長)
 取材日はちょうど、「イギリスパンキャンペーン」と題し、イギリスパンを30円引きで販売していた。毎日の主食に選んでもらうため、まずは手にとってもらうためのきっかけ作りだ。
 「売れなかった商品も、キャンペーンなどのきっかけを作ってあげると一気に売れるようになったことがあります。目的買いより、衝動買いを楽しんでいただきながら、自ら、人気商品をつくっていきたいと思っています」(小倉社長)

SHOP DATA
店名:ムッシュイワン日野店
住所:〒190‐0041 東京都日野市南平4‐10‐4
電話:042‐591‐7000
営業時間:午前8時〜午後7時
定休日:なし
品揃え:約80品目
スタッフ:製造常時3〜4人、販売常時2人
店舗面積:売り場15坪、厨房25坪、カフェ8坪
日商:平均20万円



この記事の読みどころ

●正面のウッドデッキが、出店を決めた最大の理由だった。
●客も店を選ぶが、店も客を選ぶ。
●パンをじっくりゆっくり選び、のんびり過ごしてもらいたい。
●地元の飲食店を回ることなども、お客様の嗜好を知る上で役立っている。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。



原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら