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| 連載/2016年7月号 |
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| パンの材料としても馴染み深いイチジクを極める - 一粒の麦から32(文・本行恵子) | |
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子供の頃、家の庭先にあったイチジクの木に、夏から秋にかけたくさん実がなっていた風景を思い出します。先端が割れた完熟状態の実をもぎ取り皮ごと食べると、野趣に富んだ味がして自然の甘みが口の中いっぱいに広がり、子供なりに旬の味を食べる幸せを感じていました。最近は庭が狭くなったこともあり、見かけることは少なくなりました。
イチジクは栄養価も高く食物繊維が豊富で、消化酵素が胃腸の働きを整え、ビタミンCやポリフェノールを多く含んでいる優れた果物です。一般のスーパーで販売されているイチジクは、完熟したものは傷みやすいためほとんどの場合、未熟の段階で収穫され出荷されます。日常生活の中で遠い存在になっていたイチジクに、思いがけない形で出合うことができました。 イチジクのセミナーに参加 以前「益子の食と器」というイベントに参加して繋がりを持った食と農の出会いをサポートする団体、特定非営利活動法人農商工連携サポートセンター(大塚洋一郎代表)からご案内をいただき、「イチジクを育てよう!食べようセミナー」に参加しました。 このセミナーは夢華果園、農商工連携サポートセンター、スカイファームクラブの共催で千代田区神田錦町にある「ちよだプラットフォームスクウェア」で行われました。すぐ近くには日清製粉の本社もあり、オフィスビルが立ち並ぶ場所です。いつもはビルの屋上で作業をするのですが、当日は悪天候のため室内で15人の参加者と一緒にセミナーを受講しました。 はじめにイチジクの歴史や栄養価についてレクチャーがあり、次は苗の鉢植え作業に入りました。部屋いっぱいにブルーシートを広げた場所で、参加者は長靴やスニーカーを履き、園芸用の軍手や作業用のエプロンを身に付けてスタート。用意された生育3年目のイチジクの苗を、芽が出そうな枝を残し思い切って剪定します。鉢から苗を抜き出し表面を1センチ削り、底部分を土ごと3分の一切り取ります。土をほぐして根を整理したら、新しい土と肥料を入れた植木鉢に移し替えます。作業時間はおよそ20分程度、あっけないほど簡単に終わりました。 作業の後はイチジクを使ったお楽しみの食事会。定番メニューのイチジクのカレーやジャム、イチジク茶のほか、同セミナーの料理を担当する西垣かおりさんが新鮮野菜やイチジクを使ったサラダ、フライ、煮ものなどを用意してくださり、楽しい懇談会になりました。植え替えた苗は各自持ち帰り、我が家のイチジクは現在ベランダで立派に育っています。 イチジク100万本プロジェクト セミナーの講師を務めたイチジクの生産農家「夢華果園」代表の服部素子さんは、以前は就職情報会社の企画・編集に携わり、会社員として働いてきました。その後自身の体調不良をきっかけに、自然の恵み豊かな中で暮らすことや規則正しい食生活の大切さを痛感しました。2010年夏、農事組合法人成田ガイヤに転職した服部さんは、イチジクに出合いました。成田ガイヤではイチジクを担当し、栽培や加工の仕事に携わるようになりました。その体験が服部さんの体調を回復させ、心も体もリフレッシュ。イチジクの魅力にすっかりはまりました。この経験からイチジクの優れた効果を多くの人に伝えるためイチジク農家「夢華果園」を設立して、独立しました。 服部さんは住宅街や公園、都会の遊休地がイチジク畑になり、大人も子供も気軽に畑仕事ができ収穫祭を楽しめることを目標に2013年に「イチジク100万本プロジェクト」を立ち上げました。地道に「日本人100人に1本」を目指しています。また1月19日を「イチジクの日」に決め、毎年イベントを開催し、他にも年間を通じて栽培セミナー、イチジク狩りツアーなどを実施しています。 服部さんの活動をサポートする特定非営利活動法人農商工連携サポートセンターのおかげで、苗を育てて収穫まで体験できるワークショップセミナーは大人気です。皆さんのお店や庭でもイチジクを育ててみてはいかがでしょうか。 ◇ イチジク100万本プロジェクト事務局 〒289‐3185 千葉県匝瑳市堀川4063、Eメールfig100m@gmail.com、電話090‐2910‐9591(担当・服部素子) パンやお菓子にも使われるイチジクは、アラビア半島で誕生し6000年前には栽培が始まっていたといわれています。また古代エジプトの壁画にも描かれ、旧約聖書にも数多く登場しています。日本では江戸時代初期、ペルシャから中国を経て長崎に伝来し、当初は薬として使われていたそうです。国内の生産量は2001年の17万647トンをピークに、徐々に減少し2013年には13万842トンになっています。(出典 農林水産省統計) 本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。 |



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