店の建物が大きな看板に - トーチドットベーカリー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2016年3月号

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店の建物が大きな看板に - トーチドットベーカリー
JR蒲田駅から線路沿いに歩いて約10分の場所にある「トーチドットベーカリー」。間口が広く、電車の車窓からもよく見える
左から順に、「トーチドットベーカリー」の経営者で同店のコンシェルジュを務める川端慎之介さん、シェフの松本喜樹さん、製造スタッフ
打ちっ放しコンクリートの店内は、壁の一部や、柱、装飾に木材を使い、陳列棚やカウンターなどは丸みのあるデザインとなっている
入って右側にカフェスペースがある。ベビーカー連れでも利用しやすいよう、広めにとっている。客が使用するためのオーブントースターを設置している
コンシェルジュデスクのあるベーカリー

 JR蒲田駅から線路沿いに歩くこと約10分、マンション1階部分に、「トーチドットベーカリー」がある。昨年1月15日にオープンして以来、地元の客だけでなく、電車を途中下車して来店する客も増えてきている。
 同店の経営者である川端慎之介さんは、「『通勤途中に電車の中から見えたので寄ってみました』と、来店してくださるお客様の数が多いのは、期待以上でした」と話す。
 同店の店舗は間口が広く、その広い間口を活かし、店名に続き「店内パン工房」「食事パン」「おやつパン」と、店舗の外壁の端から端までいっぱいに書いている。そのため、電車の車窓からも見付けやすい。夜は、閉店後の深夜も、店の存在をアピールするために、看板だけは照明を落とさないようにしているという。
 店内は、打ちっ放しコンクリートの広々とした空間だ。また、木材でできた壁の一部や柱、装飾、そして、木目で丸みのあるデザインの陳列台やカウンターなどが、温かみを出している。
 そしてベーカリーには珍しい、「コンシェルジュデスク」がある。コンシェルジュと言えば、ホテルに常駐する世話係が頭に浮かぶ。川端さんは開業前、ホテル業界に勤務していた。
 「私が当店のコンシェルジュ、いわゆる何でも屋を務めています。パンのリクエストや、プレゼントのご相談、パンの感想など、様々なお客様の声を聴くことができたらと思い、コンシェルジュデスクを設置しました。また、経理など事務的な作業をこのデスクで行うこともあります。事務室ではなく、表に出て行うことによって、お客様とふれる機会を増やすことができますからね。お客様にとって、このデスクは受付窓口のようなものなので、話しやすさを感じていただいていると思います。お店の方からより、お客様から話掛けていただく方が、コミュニケーションは取りやすいと実感しています」(川端さん)
 常連客からパンについて細かな感想をもらったり、ほかの飲食店から、バーガー用のバンズの卸の注文を受けることもあり、コンシェルジュデスクは同店で確実に機能している。



「コンシェルジュデスク」の上に並べられた食パン「松明」は、冷めてスライスできるようになるまで、1時間ほど置く。川端さんは経理などの事務作業も、同デスクで行う
左の「薄焼き明太ピザ」(税抜180円)は、トルティーヤ生地に、ピリ辛の明太ソースとチーズをトッピングして焼き上げた商品。女性スタッフが考案し、人気となった
店名と同じ商品名の「トーチ」(税抜180円)は、外はカリッと、中はもっちりとした食事パン。ライ麦と石臼挽き粉を使用して味に深みを出している
木製の陳列台に、ソーセージを使用した惣菜パンや、「コロネチョコ」(税抜160円)などの菓子パン、「クロワッサン」(税抜210円)などが並ぶ
アレルギーの人にも食べてもらえるよう、卵と乳を使用しないで作る食パン「松明」(税抜260円)。酵母は「白神こだま酵母」を使用。湯種製法で、もっちりとした食感
イートインとカフェをうまく使い分ける

 コンシェルジュデスクの横に、トレイとトングがあり、パンが並ぶ陳列台が厨房の見える奥へと続くように設置されている。店内左側にレジ、右側にカフェスペースがある。レジの横にはカウンター席があり、カウンター席では、ドリンクの持ち込みが可能となっている。同店でドリンクを購入したり、セットメニューなどを頼んだ場合は、カフェスペースも利用できる。
 「私もよく、コーヒーショップを利用していましたが、飲み物はおいしくても、食べ物が好みじゃないと思うことがあって。ですので、ドリンクは、他店からの持ち込みを可能にして、どちらも好みのものを楽しんでもらえる場を提供したいと思ったんです」(川端さん)
 カフェスペースで楽しめるランチセットは、3種類あり、すべて税抜800円。6種類のスライスしたパンの盛り合わせに、バターやオリーブオイルが付くセットや、好みのパンを2つ選べるセットなどがあり、いずれもサラダとドリンクが付く。バターとオリーブオイルを、税抜60円で追加できたり、ドリンクのおかわりは50円引きになったりと、メニューに細かな気配りが施されている。
 カフェスペースは、ベビーカーを入れられる広さにこだわった。窓からは、JR線が走る姿を楽しむことができる。また、客が自由に使えるオーブントースターを設置した。
 「焼きたてをその場で食べてもらいたくて、カフェスペースを充実させました。温めて、よりおいしくお召し上がりいただければと思っています」(川端さん)
 朝は、モーニングサービスとして、パンの食べ放題とドリンクのセットを税抜500円で提供しているのだが、オーブントースターはここでも活躍する。
 「モーニングサービスのパンは、前日に売れ残った商品なんです。ですので、オーブントースターで温めていただくことを勧めていて、サービスの意味で、食べ放題にしています。いろいろと召し上がっていただいて、口に合えば、帰りにご購入いただけますし、朝の雰囲気も、ぜひ味わっていただきたいと思っています」(川端さん)
 かなり人気があるサービスだが、食べ放題も前日の売れ残り次第。最近は売れ残りが少なくなってきているという。

2人の経験を活かしてベーカリーを開業

 同店でシェフを務めるのは、松本喜樹さん。川端さんとは、学生時代にアルバイト先で知り合い、以後も付き合いが続いた。社会人となってから、松本さんはパン業界、川端さんはホテル業界と、それぞれ別の道を歩んできた。今回の開業は、2人の社会に出てからの経験を活かすことで実現した。
 「ベーカリーに勤務して8年目の頃、私が将来独立する話をしたのが、はじまりですね」(松本さん)
 川端さんが販売や経営面を担当し、松本さんがパン作りに専念するという、役割分担がはっきりとしている。
 「お客様からの声は、どんな細かいことでも、伝えるようにしています。松本さんはパン職人として、受け継がれたものを継承するだけでなく、柔軟性もあります。これからどこまで作っていけるのか、楽しみでもあります」(川端さん)
 同店の「国産小麦のバゲット」(税抜260円)などのハード系のパンは、薄いクラストで食感を軽くしている。
 「年配の方にも食べてもらいたいですし、この辺りには、ハード系を食べ慣れていないお客様が多いので、食感を軽くして食べやすくしています。いずれは、ガシッとしたものも食べていただきたいですね。当面の目標は、辛子明太子を自家製にして、子どもも食べられる辛さの製品を作ることです」(松本さん)
 コンシェルジュとパン職人の連係プレーで、同店ならではの地域に密着した味わいのパンがこれからも生まれていくことだろう。

SHOP DATA
店名:トーチドットベーカリー
住所:〒144‐0056 東京都大田区西六郷一丁目2‐14
電話:03‐6424‐5929
営業時間:午前8時〜午後8時
定休日:水曜
品揃え:75品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時2人
店舗面積:売り場18坪、厨房6坪
日商:12万円




この記事の読みどころ

●電車から良く見えるため、店の建物全体が看板になっている。
●最寄り駅で途中下車しての目的買いも多い
●「コンシェルジュデスク」を設け、顧客の質問や相談に応えている。
●カウンターでは、ドリンクなどの持ち込み可、カフェではドリンクなどの持込は不可。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





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