ついで買いを強要したくない - 一本堂杉並西荻窪店 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2016年2月号

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ついで買いを強要したくない - 一本堂杉並西荻窪店
JR西荻窪駅から徒歩4分の場所にある一本堂杉並西荻窪店
ふんわりもっちりとした食感で、耳はパリッと香ばしくほんのり小麦が香るように焼き上げた食パン「一本堂食パン」(税込250円)
国産小麦100%を使用した食パン「ゆたか」(税込360円)。トーストすることを勧めている
ラム酒で約1週間漬け込んだレーズンを手巻きした食パン「れーずん」(税込350円)
一本堂杉並西荻窪店の店長は二人おり、左から、櫻井博文店長、小川志緒理店長、販売スタッフ、一本堂杉並西荻窪店の運営会社、七海の専務取締役、小川江里加さん、一本堂社長の谷舗治也さん
食パンだけを製造販売するベーカリー

 JR西荻窪駅から徒歩4分、駅から続く商店街に2015年4月、食パンだけを製造販売するベーカリー「一本堂杉並西荻窪店」がオープンした。
 ガラス戸2枚分と、店舗の間口は狭いが、天然木を使用した「一本堂」と書かれた重厚感のある看板が、存在感を放っている。店内は、木のぬくもりが感じられる温かみのあるつくりとなっている。
 「内装は、とにかく、食パンがおいしく見えるようなデザインでお願いしました」と話すのは、同店をあわせ、都内に「一本堂」を3店舗経営する会社、七海の専務取締役、小川江里加さん。
 レジ奥の棚とショーケースに食パンが並び、ショーケースの下段には、食パンのお供、「アップルジャム」(税込550円)や「ブルーベリージャム」(税込550円)など5種類のジャムも揃う。ショーケースの横には、食パンの様々な食べ方の提案が掲載された書籍や雑誌があり、客が自由に閲覧できる。また、ギフト用に購入する客のために、食パンが2〜3斤入るギフトボックスの用意もあり、その見本として壁にギフトボックスがディスプレイされている。食パンに特化した、食パンを愛する人が嬉しくなるようなアイテムが充実した店内となっている。

食パン6アイテムに特化し売り切れた時点で閉店

 食パンは、6種類揃う。ふんわり、もっちりとした食感で、耳はパリッと香ばしく、ほんのり小麦が香るように焼き上げたという「一本堂食パン」(税込250円)、同製品よりさらにもちもち感を出し、深い味わいに仕上げたという「たから」(税込330円)、国産小麦を100%使用した食パン「ゆたか」(税込360円)などで、すべて1斤用の型で1斤ずつ焼き上げている。3斤棒は注文販売となっている。
 1斤の形のまま、スライスしていない状態で陳列し、客から注文を受けた後、客の好みにスライスする。ラム酒で約1週間漬け込んだレーズンを巻き込んだ食パン「れーずん」(税込350円)と、十勝産のチェダーチーズとパルメザンチーズを巻き込んだ「ちーずゆたか」(税込480円)は、具材がこぼれてしまうためスライスの要望は受けていない。
 客は、食パンがスライスされて袋詰めされるまでの少しの待ち時間、会計担当のスタッフと世間話や商品についての話を交わす。スタッフも、客の多くも主婦で、主婦同士心地の良さが感じられるやりとりだ。
 「接客は、どの店に行っても同じではなく、店ごとの個性を出していくためにも、その人の言葉で話して欲しいと思っています。ですので特に決まり事は作っていません」(小川さん)
 予約は、3斤棒の特別注文以外は、基本的には受けていない。そのときにある商品を、実際に来店した客に販売していくという、確実な販売方法をとっている。
 「れーずん」など、焼き上がり時間を決めて販売している商品もあり、「れーずん」は1日3回の焼成となっている。店頭の黒板で、販売開始時刻を掲示している。それ以外の商品は、いつでも大体揃うようにしている。
 「1日にお出しできる量は決まっているので、なくなり次第閉店させていただいています。最近は、6時半頃閉店することが多いですね」(小川さん)



約2・5坪の売り場。食パンはレジの奥の棚とショーケースに並ぶ
ギフト用のボックスの用意がある。2斤用と3斤用があり、水引のイラストと、「お年賀」「お中元」など用途が書かれたシールを貼ることも可能
ショーケースには、オリジナルのジャムが揃う。「アップルジャム」(税込550円)など5種類
店内には、食パンの様々な食べ方が載った本が置かれており、客が閲覧できるようになっている
売り場の壁には、食パンの種類とそれぞれの特徴が掲示されている
食パンだけを買いたいという客のニーズに応える

 2013年3月に開業した一号店を大阪市都島区に構える「一本堂」は、2015年12月の時点で都内を中心に全国に約30店舗展開している。 
 学習塾や飲食店などの経営コンサルティングを行ってきたという、「一本堂」の社長、谷舗治也さんは、食パン専門のベーカリーを立ち上げた理由についてこう話す。
 「飲食業界をみてきて、食品のロス率が目立つのがパンでした。それを改善できないかと考えたんです」(谷舗さん)
 一号店となった大阪市の店では、開業当初「一本堂食パン」のみ、1種類の食パンを販売していた。
 「種類の多さも、ロスに繋がると思いました。ベーカリーに入って、トレイとトングを持って、たくさんの種類のパンを目の前にしたら、最初は家に食パンがないから来店しただけという人も、食パン以外にも買わないといけないような気になってしまいますよね。反対に、店側の立場としては、お客様が食パン以外にも買ってくださるから、種類をたくさん増やしていかなければならない、というような心境に追い込まれてしまいます。それでたくさん作って、ロスを出してしまうんです。それならば、主食としての食パンだけを作り、毎日気軽に買いに来てもらえる店にしようと思いました」(谷舗さん)
 フランチャイズ化し、全国に展開するに当たって最も困難だった点は、誰が作ってもおいしいパンになるようにするシステムづくりだったという。
 「『一本堂』オーナーに応募される方は、サラリーマンを経験された40〜50代の夫婦が多く、飲食業に就いたことのない方がほとんどです。それでも、最低2週間の研修を受けていただければ独立できるように、オリジナルの厨房設備と材料を開発しました。店舗の広さは10坪前後、開業資金は1000万円程度が、必要になります。軌道に乗った店舗は、1日400斤ほど売上げています」(谷舗さん)
 販売に関しても、食パンに絞ることで、有利な点があるという。
 「食パンは、たい焼きやたこ焼きのように、誰もが知っている食べ物ですから、細かい説明が要りません。まず食べていただいて、お好みに合えば、また買っていただけます。もちもち感のある、お米のような、飽きのこない味わいに仕上げていますから」(谷舗さん)
 「一本堂」の店舗は今後、さらに全国に増えていく予定だ。

SHOP DATA
店名:一本堂杉並西荻窪店
住所:〒167‐0042 東京都杉並区西荻北2‐11‐9
電話:03‐3399‐8773
営業時間:午前9時半〜午後8時半(売り切れの場合はその時点で閉店)
定休日:不定休
品揃え:食パン6品目
スタッフ:製造常時2〜3人、販売常時2人
店舗面積:売り場約2・5坪、厨房約6・5坪



この記事の読みどころ

●内装は食パンがおいしく見えるデザインに。
●焼き上がり時間を決めた商品と、順次焼き上げる商品のメリハリをつける。
●ついで買い地獄から買い手と売り手を開放する。
●食パンは誰でも知っているので、おいしければリピートする。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





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