ラ・ブランジェ・ナイーフ:外麦100%から内麦100%へ

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お店拝見/2015年12月号

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外麦100%から内麦100%へ - ラ・ブランジェ・ナイーフ
「ラ・ブランジェ・ナイーフ」の外観。白壁に赤いドアが映える。椅子の上には飾られたパンはまるで活け花のような美しさ
製造は谷上正幸さんが1人で行う
店内は白と赤が基調。置かれた2脚の椅子は以前の店舗で使用していたもので、年季を感じる
小さな小窓から、谷上さんがパンを作る姿を見ることができる
9年の休業を経て再オープン

 東京・世田谷区の東急世田谷線若林駅近くに今年9月、「ラ・ブランジェ・ナイーフ」がオープンした。「ラ・ブランジェ・ナイーフ」はかつて、東京・中目黒で11年半営業した人気ベーカリーだ。9年間の休業を経て、今回場所を改めての再オープンとなった。
 交通量の多い通称「環七通り」沿いにある同店は、真っ白な壁にくっきりと映える赤いドアという鮮やかさが、周りの喧騒から一線を画す存在感を放っている。
 店内も、赤い床と白い壁、白い陳列棚と、赤と白で統一されている。3坪ほどのコンパクトな対面式の売り場には、約30種類のパンが並ぶ。白い壁面が背景となって、パンがより一層引き立って見える。パンを製造するのは、オーナーシェフの谷上正幸さん。谷上さんが同店のパンをすべて1人で作り、妻のフミエさんが販売を担当する。
 パンが並ぶ奥に目を向けると、小さなガラス窓越しに厨房の様子が見える。売り場と同様に白い壁で、清潔感を感じる厨房だ。そこで、真っ白なコックコートを身に着けた谷上さんが作業をしている。その眼差しは、真剣そのものだ。
 厨房は約6坪で、10人の製造スタッフがいた以前の店舗の、およそ半分の大きさだという。
 「1人で製造するのには、ちょうど良い大きさですね。ドウコンも1台しかないですし、機械もスペースも、限られたこの環境で、1人でできる限りやっていこうと思っています」(谷上さん)
 以前の店舗にはあった、クロワッサンやデニッシュ、サンドイッチ、タルトやシフォンなどは、今回の店舗ではシーターも冷蔵ショーケースも置いていないこともあり、作っていない。
 「バゲット」(税込270円)や「カンパーニュ」(税込400円)などのハード系と、「パン・ド・ミ」(税込1斤350円)などの食パンを主軸にした品揃えにした。
 物件探しでは、以前の店舗での経験をもとに、自宅に近い場所に絞って探したという。以前の店があった場所からは、5キロも離れていない。そのこともあり、再開を喜んで来店する客が大勢いる。
 「うちの子どもはナイーフのパンで育ったとか、前より近い場所に越してきてくれて嬉しいなどとおっしゃって来店してくださる方がいて、有難く思っています」(フミエさん)



食パンは、「パン・ド・ミ」(税込1斤350円)、「イギリスパン」(税込1斤350円)、「シリアルブレッド」(税込1斤480円)の3種類
ブリオッシュ生地をパウンド型で焼いた「エッグロール」(税込500円)
菓子パンは、「メロンパン」(税込120円)や「グローブ」(税込180円)、「あんぱん」(税込150円)など。「あんぱん」は、白あん、こしあん、粒あんの3種類を用意
仕上げにハチミツをかけた、つやつやとした見た目の「パン・ド・ナイーフ」(税込350円)。ルヴァン生地にクリームチーズ、キャラメリーゼしたアーモンドを練り込む
黄金色の「エッグロール」の断面
「エッグロール」にカスタードをサンドし、アーモンドスライスのキャラメル煮をトッピングをした「ニダベイユ」(税込300円)
休業中の経験を現在のパン作りに活かす

 休業していた9年間、谷上さんは、ベーカリーの新店の立ち上げやシェフを務めるなど、全国各地で様々な経験を積んだ。昨年は、ドミニク・サブロン氏の指導を直接受けた後、日本のドミニク・サブロンのシェフを務めた。
 「昨年は特に、色々な方とお会いでき、様々な経験をさせてもらえて、自分の頭の中が劇的に変わったと思える1年間でした。そして、良い物件が見つかり、こうして店を再開することができたのも、すべてはタイミングかなと思っています」(谷上さん)
 休業中の経験と9年という月日が、谷上さんのパン作りを変化させた。
 「以前の店のときと比べると、イースト量は5分の1から6分の1と大分減りました。また、国産小麦の品質も近年大変よくなりましたので、前は外麦しか使っていなかったのですが、すべて内麦を使うようになりました」(谷上さん)
 イーストは、「パン・ド・ミ」などの食パンやバゲット、ブリオッシュ生地や菓子パンなどに使っており、「カンパーニュ」や「シリアルブレッド」(税込1斤480円)は、自家製酵母を使用している。
 「ホップ種とレーズン種を使っていますが、ホップ種は、休業中にシェフを務めた、神戸のベーカリーで起こしたものを、続けて使っています。自家製酵母は、以前の店のときより多く使うようになりました。また、使う材料や配合も、かなり変わりましたし、食パンは低温長時間発酵をとるようにするなど、製法も変わりました」(谷上さん)
 イーストを使用せず、ホップ種とレーズン種を使った「シリアルブレッド」は、その名の通り、押し麦、アマニ、ひまわりの種、キヌアといったシリアルが入った食パン。硬そうな見た目だが、国産小麦100%、加水率100%なので、とてもしっとりとしていてふわふわの食感だ。
 「見た目から想像が付きにくい味なので、試食をこまめに出しています。一度食べると、かなり気に入ってくれる方が多いですね。最初は『パン・ド・ミ』を買っていた方が、次第に『シリアルブレッド』にシフトしていくことも少なくありません。ふわふわしている中に、シリアルの粒々感があって、クセになる味だと思います」(フミエさん)
 「シリアルブレッド」を使った「クロックムッシュ」(税込270円)も人気だ。パンがしっとりふわふわなので、温めずそのままでも食べやすい食感だ。
 同商品は食べ応えがあるので、ランチとして利用する人も多いという。
 「平日は近隣の会社員の方、休みの日はご家族連れの方が、ランチ用として購入されることが多いですね。価格や見た目以上に食べ応えがあって、リピートされる方が多いようです」(フミエさん)

客がブログやSNSで情報発信をしてくれる

 再オープンして1カ月が経ったが、以前の店舗のときの常連客だけでなく、新規客も増えてきた。オープンの際に開設したブログは効果的だったという。
 「ブログの更新は、毎日行うようにしていて、ツイッターやフェイスブックとも連動するようにしています。昔よりインターネットでの情報発信が気軽にできるようになりましたし、お客様の方からも、ブログやSNSなどで、当店のことを話題にしてくれます。『ブログを見て』と言って来店してくださる方も多く、まだ開店して間もないですが、お陰様でいいペースで周知されてきています」(フミエさん)
 今後、同店の厨房でパン教室を開催したり、店頭販売だけでなく通販もしていく予定だ。再オープンを喜ぶ客らの期待にますます応えていくことだろう。

SHOP DATA
店名:ラ・ブランジェ・ナイーフ
住所:〒154‐0023 東京都世田谷区若林3‐33‐16 第一愛和ビル1F
電話:03‐6320‐9870
営業時間:午前10時〜午後6時頃
定休日:火曜、水曜
品揃え:約30品目
スタッフ:製造1人、販売1〜2人
店舗面積:厨房約6坪、売り場約3坪
日商:10〜15万円



「シリアルブレッド」を使用した「クロックムッシュ」(税込270円)



この記事の読みどころ

●真っ白な壁にくっきりと映える赤いドアの鮮やかさが、周りの喧騒から一線を画す存在感を放っている
●休業中に色々な人と会って、様々な経験ができ、頭の中が劇的に変わった。
●ツイッターやフェイスブックと連動させたブログ運営は、店の周知に大きく役立っている

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。



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