フードマイレージを意識して事業を展開 - 鳴門屋製パンの長江伸治専務 - ブランスリー電子版

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インタビュー/2015年10月号

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フードマイレージを意識して事業を展開 - 鳴門屋製パンの長江伸治専務
 今年で会社設立67年目を迎えた鳴門屋製パン(本社・大阪市、電話06‐6758‐1551)は、本社工場の他に、パンと洋菓子の各製造小売部門とカフェ部門を持つ老舗企業。今後の食生活を意識し、総菜店の展開も始めた。同社の創業日である5月12日に専務に就任した長江伸治氏に、同社の現状を尋ねた。



鳴門屋製パン桃谷本店外観
子供たちの笑顔を写真で
今後も時代に即し、地域密着を進める

―――この桃谷本店は1958(昭和33)年の開店だそうですが、随分ゆったりした売り場ですね。
長江 土地は全体で100坪あります。売り場の他パン工場などを併設しています。この本店では毎日150種類の商品を揃えています。毎日夜中の12時から作業を始めます。朝7時のオープンに間に合わせるためです。最初の販売ピークが7時〜9時ですから。大阪環状線の桃谷駅前でもあり、また、高校も多いんです。
―――高校生たちが朝から立ち寄るわけですね。
長江 学生さんたちに気分よくパンを買ってもらいたいので、わが社の商品価格は全体的に安価だと思います。お客様は以前から鳴門屋のパンは「安くて大きい」といったイメージを持たれてます。これからもそのイメージに応えていくつもりです。安くて旨い品を提供するのが、パン屋としての使命だと考えています。
―――お客様本位というわけですね。
長江 はい。鳴門屋に来るお客様には楽しんでもらいたいのです。例えば、来店した子供たちに好みのパンをプレゼントします。その子供たちの笑顔を写真に撮って、店舗内に張り出します。また、今ですと、七夕のシーズンですから子供たちに、ねがいごとを短冊に書いてもらい、やはり、店舗に飾っています。
―――秋にはスポーツ大会も。
長江 ええ、例を一つ上げると、握力競技といいますか、握力を測って、1位から10位まで順位付けします。10位までに入ったお客様に。明太子などをプレゼントをするんです。

季節の旬を味わう商品作り

―――2012年の第3回ご当地パン祭り以降昨年まで、「ラグカレー」「みかパン」「アップルパイ」が3年続けて準優勝していますね。これらに関わるイベントもあるのですか。
長江 といいますか、フードマイレージに関係してきますね。これは、食料品は地産地消が望ましいという考え方です。私どもの八戸ノ里店が東大阪市にあります。元々東大阪市がフードマイレージに取り組んでいましてね。鳴門屋としても地産地消に関わっていきたいと考えていました。6年前から実施しています。同市の畑でほうれん草を収穫して、「ほうれん草パン」を作ってます。
 私自身は、パン自体ではなかなか季節の変化を感じられないと思っています。そこで、12月から3月まではほうれん草、4月からは玉ねぎ、9月から11月まではかぼちゃを使ったロールパンを販売しています。お客様に少しでも四季を届けたいし、旬を味わってほしいのです。



淡路島産玉ねぎを使用したたまねぎパン。応募者の中から抽選で10人に淡路島産玉ねぎをプレゼント。初代への思いが感じられる
2012年のご当地パン祭りのコンテストで準優勝したラグカレー。1日に2000個前後を販売
ジャムの概念に挑んだ「みかパン」
広々とした桃谷本店の売り場。毎日150種類の商品が客を引き付ける
「みかパン」食べて、農家で収穫体験

―――収穫体験を実施しているのですか。
長江 実施しています。7月1日から9月30日までは、みかパンに使用している有田みかんのみかん狩りを募集しています。抽選で10組の方を招待します。実施時期は11月初旬を予定しています。昨年、和歌山のみかん農家で行なったみかん狩りでは、お客様にみかんの作り方を知っていただくとともに、糖度当てゲームなどを楽しんでいただきました。
 みかパンの商品化は3年前です。切っ掛けは、どっしりとしたジャムの入ったパンに疑問があったこと。それに、ジャムの概念を変えたかった。そこで、トロリとしたみかんジャムを作ることにしたのです。ただ、そのまま使うと味が濃すぎるので、ヨーグルトクリームを入れました。
―――応募券を集めるものは他にも。
長江 「たまねぎパン」もそうですね。募集期間は4月1日から7月31日までです。旬の素材を食べていただきたいので。一袋5個入りのたまねぎパンの応募券を3枚1口にして応募していただくと抽選で10名に淡路島産の玉ねぎが10キロ当たります。
 兵庫県の淡路島は私どもの初代の出身地です。鳴門屋の社名は、うず潮で有名な鳴門海峡から取ったものです。パン業界の渦に負けないようにと名付けられました。淡路島産玉ねぎの使用は、単なる地産地消の一環ではなく、企業の出発地として意味あるものと思います。

毎月8日はカレーパンの日

―――ところで、フードマイレージの切っ掛けとなった東大阪市にカレーパン協会があるそうですね。
長江 ええ、ありますよ。東大阪市はカレーパンで町おこしを考えていたようです。5年前から市内32のベーカリーで毎月8日はカレーパンの日としています。
 私どもで人気のラグカレーは6年前からの販売です。東大阪市からの依頼で作りました。この町にはラグビーで有名な花園ラグビー場があります。町の特質を活かしたカレーパンを作れないかとの依頼でした。町の特徴といったら形はラグビーボールでしょ。具材は大阪らしくどて焼きに決めました。どて焼きは、牛のスジ肉を味噌やみりんと出汁で時間をかけて煮込んだものです。カレーはメーカーと協力して牛スジにあった少し辛めの味にしました。
 発売当初は、1日200個ほどの販売数でしたが、3年前のご当地パン祭りで準優勝したら、売り上げは10倍ですよ。驚きました。受賞の影響はすごい。最大で日に5000個販売した時もあります。現在、1500〜2000個の販売は確実の安定商品です。
―――作り方に特徴はありますか。
長江 そうですね。焼いた後に揚げることです。油分の吸油率が下がります。それだけではなく、1度焼き上げておけば、後は揚げるだけ。お客様に素早く提供できます。

コンテスト2位受賞で、売り上げナンバー1に

―――アップルパイの商品化はいつですか。
長江 私が知らないほど昔に商品化されたようです。ご当地パン祭りの趣旨に、昔から地元で愛されている商品という項目があります。それにのっとって出品したら、準優勝です。嬉しいです。ラグカレー同様に受賞後の販売量は大いに上がりました。今では、売り上げナンバー1商品です。
―――本社工場の役割は。
長江 リテール部門の不足分を補うと同時に、170店舗あるスーパーやデパートの卸し先用に、毎日70種類の商品を製造しています。
―――設立以来、業態開発もしていますね。
長江 1956(昭和31)年に、念願だった洋菓子店をオープン。1979年には飲食部門を発足させました。当時、喫茶コーナーの設置は珍しかった。その後、これからの食生活の必要性を考えて、総菜部門を設けました。喫茶コーナーは、地域の皆様のオアシスとしてご利用いただけていると確信しています。これからも、時代に即した、また、お客様本位の商品作りや企業運営に取り組みたいと思います。



原価計算女王
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