「おいしさ2番」の意味 - 花小金井丸十製パン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2002年11月号

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「おいしさ2番」の意味 - 花小金井丸十製パン

花小金井丸十製パンの外観
「健康一番、おいしさ2番」。40年来、東京・小平市花小金井でベーカリーを営んできた山口義元さんの口癖だった。「おいしさ2番?」といぶかる向きもあるかと思うが、実は深い意味があった。花小金井丸十製パンの
「ほかのどのベーカリーでも買えないパン」は、北は北海道、南は沖縄まで、日本全国の顧客に支えられている。創業者の山口義元さんは今年春に他界、現在は弟の光夫さん、長男の朋也さん、夫人の裕美子さんが中心になって切り盛りする。

住所 東京都小平市花小金井南町2−17−6
電話 0424-62-2214
営業時間 午前7時〜午後6時
定休日 火曜日



自然が作り出した素材そのもの味をこよなく愛した

花小金井丸十製パンの店内


内麦粉で作るカイザー


2代目の朋也さん(左)と光夫さん

実は「おいしさ2番」ではなかったのだ。山口義元さんが「おいしさ2番」といったとき、「おいしさ」は、「人為的に作られたおいしさ」を意味していたのだ。自然が作り出した素材本来の味をこよなく愛した義元さんは、当時それをおいしさとはいわなかった。また、多くの人がそれをおいしさとは思わなかった。
義元さんは1962年、現在の場所にベーカリーを開業した。最初は「普通のパン」を作っていたが、ヨーロッパで、パンに触れて目から鱗が落ちた。「どの国のベーカリーもみんな自分の国でとれた小麦粉でパンを作っている」と思った。主食としてのパンだった。
義元さんが感銘を受けたパンは、日本では急には浸透しなかった。長年にわたって義元さんと苦楽を共にしてきた光夫さんは、「ウチのパンは最初は、なかなか売れませんでした」と振りかえる。一所懸命普及に努めた。少しずつ理解者が現れ、「パンの作り方を教えてほしい」と頼んで来る人も現れ始めた。
「『こういうパンもあるんですよ』といって熱心教えていた姿を覚えています」にいってまわったものです」。義元さんの妻、裕美子さんは、しみじみと話した。
あるとき、義元さんのパンが、現在は有名になったある作家の目にとまった。同作家が好きなものについて書いたエッセイに花小金井丸十製パンが紹介された。このことが、同ベーカリーのパンの普及に一役買うことになった。
同ベーカリーは現在、卸販売が約6割、宅配による通信販売が約2割、店での小売が約2割。日本全国にファンがいる。「一口食べるとすぐにそれと分かるパン」は、万人向けではないが、好きな度合いがかなり高い人たちが全国に散らばっているのだ。宅配のシステムはそんな同ベーカリーにとって強い味方になった。



朋也さんの双肩にかかる。「どんな料理にも合うパン作りたい」

たんぽぽクッキーや高麗人参クッキーなど、クッキーの種類も多い。


一方で、「焼きそば」や「シューマイ」などの調理パンも作っている。


デュラム小麦粉100%配合の「ラムレーズン」。「ラム」はラム酒ではなく、デュラム小麦粉の「ラム」だ。
義元さん亡き後、長男の朋也さんに期待がかかる。朋也さんは現在、パンの成形を担当するほか、配達、事務処理などもこなしている。「なるべく早くパン作りのすべてを覚えてもらわなくてはなりません」と朋也さんは話す。
朋也さんは、保父として働いていた保育園7年前に退園すると同時に、義元さんと共にベーカリーで働くようになった。義元さんが他界したことで、花小金井丸十製パンの将来は、朋也さんの双肩にかかってきた。
「小さい頃から父がパンを作るのを見てきたので、割とすんなり入れたような気がします。父が築いてきたものをしっかりと引き継いでいきたいと思います」と気負いなく話す。
「父は自分が作ったパンを刺身といっしょに食べていました。毎日食べても飽きなくて、どんな料理とも合う主食としてのパンを作っていきたいですね」。



地域の顧客には調理パンも学生やOLが通学、通勤途中に

「焼きそば」や「シューマイ」などの調理パンも作っている。調理パンに使用するパンはイーストで発酵させる。近くに学校が複数あることから、学生が登校途中や下校途中に買っていくほか、通勤途中のOLやサラリーマンの客も多い。全粒紛や内麦粉から作るパンと一線を画した製品だが、ニーズは着実にある。光夫さんは「昔はもっとたくさん作っていたんですよ。具材もほとんどが自家製でした」と話す。
   ◇
花小金井丸十製パンは、西武線・花小金井駅から徒歩約10分。売り場が約8坪、製造スペースは、20数坪と広い。
現在、光夫さんが朋也さんに製パン技術を伝授中だ。



花小金井丸十製パンの看板商品


角食
 全粒粉と内麦粉で作るシンプルな配合の食パン。中種法を採用。1斤240円。
【中種配合%】
全粒紛 15
内麦粉 35
ホシノ酵母(生種) 4
水 35

【工程】
ミキシング L10分、
捏ね上げ温度 27〜28度C、
発酵 14〜15時間、

【本捏ね配合%】
全粒紛 15
内麦粉 35
天然塩 0・5
水 35
中種 全量

【工程】
ミキシング L15分、
捏ね上げ温度 30度C、
発酵 30〜40分、
分割 390グラム×3、
成形 モルダーに通し、たわら形にして、3斤型に3つ入れる。
ホイロ 25〜30度C40分〜1時間、
焼成 180〜200度C40分〜1時間

※塩は本捏ねで配合する。配合量は少ない。

たんぽぽコーヒーが入ったクッキー


たんぽぽクッキー
 たんぽぽの根の粉末が入ったクッキー。黒糖の配合量が多い。1袋350円で販売。
【配合グラム】
全粒紛 1000
セモリナ粉 1000
内麦粉(薄力粉) 3000
砂糖(黒糖) 2000
たんぽぽの根の粉末(たんぽぽコーヒー) 250
塩 20
卵 1・2リットル(容積)

【工程】
(1)ミキシングL5分M3分
(2)捏ね上がった生地をのばして、直径4センチ程度の円形の抜き方で抜く
(3)150〜160度Cのオーブンで約10分間焼成する

原価計算女王
原価計算女王
デュラム小麦の素朴な味が、レーズンを引き立てる


ラムレーズン
 「ラムレーズン」の「ラム」は、デュラム小麦粉の「ラム」で、ラム酒が入っているわけではない。クラムの素朴な味によって、レーズンの甘酸っぱさがかなり強調されている。320円。
【中種配合%】
デュラム小麦粉 50
ホシノ酵母(生種) 4
天然塩 0・5
水 35

【工程】
ミキシング L10分、
捏ね上げ温度 27〜28度C、
発酵 14〜15時間

【本捏ね配合%】
デュラム小麦粉 50
水 35
中種 全量

【工程】
ミキシング L15分、
捏ね上げ温度 30度C、
発酵 30〜40分、
分割 330グラム、
成形 (1)330グラムに分割した生地を麺棒でのばして、その上に手のひらいっぱい分程度のレーズンを散らす
(2)[1]をロールする
(3)[2]を軽くのばして、再びレーズンをのせ、縦方向にロールする
(4)[3]をなまこ形に整える。
ホイロ 25〜30度C20〜30分、
焼成 165〜170度C30〜35分

※塩は中種に配合する。

内麦粉で作るライ麦ブレッド


ライ麦パン
 内麦粉で作るライ麦パン。ライ麦粉は40%配合。250円。
【配合%】
内麦粉 60
ライ麦粉 40
ホシノ酵母(生種) 4
塩 0・5
水 60〜65

【工程】
ミキシング L15〜18分、
捏ね上げ温度 27〜28度C、
発酵 30分、
分割 330グラム、
成形 なまこ形、
ホイロ 25〜30度C30分、
焼成 200度C20分


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