ドーナツ専門店に見るドーナツ最新事情 - ブランスリー電子版

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レポート/2015年7月号

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ドーナツ専門店に見るドーナツ最新事情

 人気スイーツの定番として歴史の長いドーナツだが、ここ数年、色鮮やかなトッピングなどが施された存在感のあるドーナツを目にする機会が多くなっている。生地には、油脂や卵などを配合せず、ドーナツ自体はシンプルに仕上げ、濃厚なチョコレートやクリームなどをかけることで、ナチュラルテイストのドーナツと、リッチテイストのグレーズとが互いに引き立て合っているケースが多い。人気のドーナツ専門店2軒を取材した。



夕方まで揚げ続け、揚げたてを提供 - ドーナツ&コーヒーショップ アーノルド 吉祥寺店
「アーノルド 吉祥寺店」の外観。1階はカフェスペース併設の売り場、2階が厨房。商品は全て2階で作られている
様々な形状のドーナツが並ぶショーケース
看板商品の「プレミアムミルクチョコ」(右)と、「プレミアムホワイトチョコ」(左)
イチゴのグレーズをかけ、カスタードタイプのクリームを入れた「ハートストロベリー」(税抜220円)
「アーノルド 吉祥寺店」のプレーンドーナツ「シュガー」(税抜150円)。お手頃価格で、ドーナツ本来の魅力がシンプルに楽しめる人気商品
シンプルな生地と濃厚なグレーズ

 東京・吉祥寺で人気を集めている「ドーナツ&コーヒーショップ アーノルド 吉祥寺店」。開業2年にして次々と都内の有名百貨店の催事に招かれ、人気に拍車がかかっている。ドーナツ専門店である同店は、フィンランドで24年の歴史を持つメジャーなカフェ「アーノルド」の日本1号店として、2013年5月にオープンした。
 同店の製品は、フィンランドの伝統的な揚げ菓子である「ムンキ」とアメリカンドーナツを組み合わせ、もちもちとした独特の食感に仕上げたイーストドーナツだ。ベルギー産チョコレートやヘーゼルナッツなどの素材をあしらったリッチな外見だが、ドーナツ生地は甘さ控えめで、牛乳と卵不使用のナチュラルテイストだ。背の高い製品に仕上げることで、柔らかくもっちりした食感が出ており、ボリューム感満点。シンプルなドーナツがリッチなグレーズの甘みを引き立て、同時にグレーズの甘みがドーナツの旨みを引き出すという抜群の組み合わせだ。
 「グレーズとの相性で一層おいしくなる生地です。油っぽさもないので、胃のもたれも感じず、朝食に食べても良いくらいですよ」と、店長の川口純平さんはいう。川口さんは試食などで毎日のように同店のドーナツを食べているが、1年以上食べ続けても飽きを感じないという。
 看板商品は「プレミアムミルクチョコ」(税抜240円)。ベルギーのカレボー社のチョコを使い、フィンランドの店の味をそのまま日本で再現した人気商品だ。平日には1日約35個、土日では約70個売れており、デパート催事では毎日100個近くが一週間売れ続けたという好評ぶり。
 リングドーナツ以外に、ハート型、丸型、スクエア型、三角型など、本場フィンランドと同様の様々な形状のドーナツがある。基本的に定番の約14種類が長らく愛されている。このほかには、ビターチョコのグレーズをかけ、シナモン風味のアップルフィリングを入れた「アップル&シナモン」(税抜200円)、イチゴのグレーズをかけ、カスタードタイプのクリームを入れた「ハートストロベリー」(税抜220円)が好調だ。
 プレーンタイプの「シュガー」(税抜150円)もよく売れるという。同製品はシュガーをまぶしたプレーンドーナツで、ドーナツ本来の食感や味わいを楽しみたいファンにとっては、安価で王道の一品なのかも知れない。

会社帰りの客の需要に応える

 同店のドーナツは店舗2階の厨房でパン職人が製造しており、営業時間の午前10時から午後9時まで、製品が並び続けるよう調整して作っているという。午後6時頃まで揚げ続けているため、夜の来店でも揚げたてのドーナツが食べられる。リピーターは2週間に1度のペースで来店するケースが最多。ほぼ毎日、ココナッツやヘーゼルナッツなどのフレーバーのドーナツを購入するコアなファンも獲得している。
 午後9時まで営業することで、会社帰りの客をつかんだ。同店では午後8時近くまで客足が続き、男性客も少なくない。
 「30〜40代の女性客や、卵、牛乳不使用のドーナツを求める母子連れが多いですが、男性客も目立ちます。甘いもの好きの男性にとって買いやすいのがドーナツなのかも知れません。男性にとって、ケーキのように贈り物にも見えるスイーツ以外は、まだまだ買いづらいのかも知れないですね」(川口さん)
 1回に4個程度購入していく客が多いという。「クリスマスやお正月によく売れます。パーティーで喜ばれるのかも知れません。見た目も可愛くて、幼稚園くらいの子はドーナツというだけで楽しそうにしますね」と川口さん。子供の笑顔見たさに、手土産とする客も多いのかも知れない。



客層は50代以上が中心 - ドーナツ工房 レポロ
「ドーナツ工房 レポロ」。1階の売り場の奥に約10席のカフェが併設されている。2階の厨房で全製品を製造。壁面には「本日のメニュー」が掲示されている
自信作の「プレーン」(税込140円)。工夫の凝らされた「レポロ」のドーナツ生地をたっぷり味わえる。割安感もポイント
「三種のナッツとヘーゼルナッツクリーム」(税込220円)
季節商品「シトロン」(税込210円)
油分と甘さを抑えた上品な味わい

 東京・調布市仙川の商業エリアの一角に佇む「ドーナツ工房 レポロ」は、2011年4月の開業以来、カフェ併設のドーナツ専門店として愛されている。平日で1日約350〜400個売れるという同店のドーナツは、油分を極力吸わない生地と、特別な蜂蜜やヨーグルトを使い、甘さが控え目なことが特徴。生地を2回発酵させてつくるイーストドーナツで、揚げているにもかかわらず、ふんわりとした感触で、しかも歯切れがいい。
 宮田さんはドーナツの魅力を「片手で食べられる誰もが知っているデザートであること」と語るが、その開発にあたっては、食のプロも納得するクオリティーを実現すべく万全を期したという。
 同店の商品構成は、毎日並ぶ12種類の定番商品に、季節ごとに旬のものを使ったメニューをいくつか加えている。1日平均100個は売れるという「プレーン」(税込140円)は、生地のおいしさと特徴を存分に味わえる一番人気の看板商品。開業以降、その評判は不動のものだ。2番人気は「三種類のナッツとヘーゼルナッツクリーム」(税込220円)。マカダミアナッツ、くるみ、アーモンドの3種類のナッツをヘーゼルナッツチョコレートでクランチにしたものをドーナツの上にふんだんにのせたリッチな製品だ。同店のチョコレートは全て製菓用のイタリアのものを使用している。3番人気は季節商品の「シトロン」(税込210円)。静岡県産の無農薬レモンを皮ごと使した夏向けの製品だ。
 「お客さまの反応を見て毎年、季節の商品を入れ替えています。やはり定番が好評です」と、店長の宮田さん。同店のリピート率は高く、週1回通うリピーターを多数確保している。中には、週2〜3回通うコアなファンもいるという。毎日のように食べたい魅力がドーナツというアイテムにはあるのだろう。

ドーナツのファンを的確につかむ

 同店の営業時間は午前11時〜午後8時。客足の伸びる時間帯は朝と夕方だという。この時間帯に多く来店するのは、50代以上のシニア層。特に夕方になると男性が多い。同店はこの層の需要に応えるための対応をしている。
 同店は店内製造のため生産量に限りのある中で、コアタイムに品物を途切れさせないよう、日が昇る早朝から準備に努めている。取材中も、各アイテムの売り切れるタイミングで製品が追加されていた。夜8時まで、多くの製品を揃え、来店客を待つ。
 「この世代の方々は、お土産として多数お買い上げ下さったり、週2〜3回通って下さる方も少なくないんです。お勤め帰りの方の場合、夜のお買い上げになりますが、翌朝胃にもたれないドーナツなのでご愛顧頂けるのかも知れません」と宮田さん。
 一般にベーカリーの売れ行きが伸び悩む夏場も、熱心なファンの来店は減らないという。特に夕方から夜など、気温が落ちる時間帯には一定数の来店を確保しているそうだ。
 今後の展開として、自家製のセミドライフルーツをふんだんに使ったドーナツの開発を予定している。



記者の雑感

 人気ドーナツは生地のシンプルな感じが共通する一方、フレーバーは濃厚なものが好評という傾向を感じた。ドーナツの人気店ランキングを見ると、やはりプレーンな生地を扱うお店が上位にいる。取材した2店は、プレーン系の売れ行きもよく、生地の味自体が愛されているとみられる。一方で、チョコレートやジャムといった濃厚なトッピングも人気で、ボリューム感の豊かなカジュアルスイーツとしても好まれているようだ。安価なプレーンドーナツのシンプルで軽い味わいと、高めの価格設定で、リッチなフレーバーを施したドーナツの濃厚な味わいの両方が好まれているようだ。(Y)

原価計算女王
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