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| 特集/2015年7月号 |
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| 国産小麦粉のパン
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| 味や香りについて、小麦粉を色で4つに分類 - 365日 | |||||||||||||
「日本の小麦でないと作れない、日本のパンがあるということを表現していきたいですね」 こう語るのは、福岡市や名古屋市などで3店のベーカリーをプロデュースした後、1年半前、自らオーナーシェフを務めるベーカリー「365日」を東京・渋谷区にオープンした杉窪章匡さん。プロデュースした3店舗と「365日」で使用する小麦粉は、すべて国産だ。ポストハーベストの心配がなく、味や香りが強いというのが、国産を起用する主な理由だ。 「365日」では、13〜15種類の国産小麦粉を使用して50種類のパンを作る。 「北海道から九州まで産地や品種が様々な小麦を使っていますが、粉の状態で味見をすると、それぞれの特徴が分かります。それらの特徴を、パンにしたときにも感じてもらえるように加工していくことが、パン職人の仕事だと思っています。食材の持ち味を活かすという点で、日本人的なパンの作り方なのではないかと思います」(杉窪さん) 杉窪さんは、粉の特徴は、大きく4つに分類できると唱えている。粉の特徴を生産者、製粉会社、加工者としてのパン職人が共有できるようにするためだ。 「例えばワインも、色が濃いと、味や香りも強かったりしますよね。小麦もそれと同じで、色と、味・香りには関係性があると思っています。そのような考え方で、まず見た目の色の違いから、白、黄、茶、灰と小麦粉を4色に分類します。白色系は、無味無臭で、黄色系は乳製品のような香りと甘味があり、茶色系は全粒粉特有の風味、コク、甘味があり、灰色系は穀物臭が強く甘味は少ない、ということになります。たんぱく値や灰分のように、味や香りについても数値などで具体的に表記できると、各小麦粉の特徴をもっと活かしていけると思います」(杉窪さん) 何色系か分類した後さらに、5段階評価をするという。例えば、黄色系の特徴がかなり強く表れていれば、その小麦粉は「黄色系の5」となる。 同店の「100%=ソンプルサン」(税込240円)は、「黄色系の3〜5」と評価できる北海道産「キタノカオリ」を主に使用している。水分量が多くもちもちとした食感で、バターのような香りと甘味がある。「キタノカオリ」の特徴をしっかりと感じられる商品となっている。 小麦農家とパン職人の交流を深める 昨年、北海道十勝の小麦農家と製粉会社、そして全国各地のベーカリーが協力して行った「とかち小麦ヌーヴォー」と題したイベントがあった。8月に収穫された十勝産小麦を使ったパンを、解禁日と定めた9月23日に発売することで、小麦が農産物であることを消費者に実感してもらう主旨で開催された。その原案作成と企画は、杉窪さんが行った。 「自分たちの小麦ってどんな味かわからない、という生産者の方は多いと思います。一方パン職人は、こんな小麦粉があったらいいのに、という思いを持ちつつも、なかなか伝える機会がありません。生産者とパン職人、そして両者を結ぶ製粉会社の交流が、このようなイベントを通して深まれば、それぞれの立場からもっと自覚を持って仕事をしていけるのではないかと思っています。また、消費者が生産者を知るだけでなく、生産者が消費者を知ることにも意味があると思っています。どんな人が食べているかを認識することによって、栽培方法も変わっていくのではないでしょうか」(杉窪さん) 今年は、十勝の生産者だけに留まらず、全国各地の生産者を巻き込み、「新麦コレクション」と題したイベントの開催を計画しているという。 「日本各地でおいしい小麦ができてきています。パン職人の立場から、小麦をもっと理解し、日本のおいしいパンを作っていきたいと思っています」(杉窪さん) 365日 〒151‐0063 東京都渋谷区富ヶ谷1‐6‐12 電話 03‐6804‐7357 | |||||||||||||

| 10周年を機に全商品を国産小麦粉のパンへ - 吟遊詩人 | |||||||||||||
東京・杉並区のベーカリー「吟遊詩人」では来年3月3日の10周年記念に向け、店内で販売する全商品を100%国産小麦粉使用へ切り替える準備を進めている。オーナーの清澤稔さんは「以前は、職人になりたての20年以上前の頃の国産小麦粉に対する悪いイメージがありました」と話す。グルテンが弱くなかなか膨らまないというイメージから、去年までは国産小麦粉はほとんど使っていなかった。 そんな清澤さんの気持ちを変えるきっかけとなったのは、昨年末にある雑誌の企画で「国産小麦粉を使用しているか」というアンケート調査を受けたことだ。その時に「使用していない」と回答したのは同店だけだったという。 「それでちょっと考え直して、メーカーから国産小麦粉の新しいサンプルを取り寄せることとなりました」(清澤さん) 2社からサンプルを取り寄せ、実際に使ってみて驚いた。 「生地が手に吸いつくように伸び、窯の中でも伸びました。品質が改良されたことがわかり一気にイメージが変わりました」(清澤さん) 結果、今年に入って、江別製粉の北海道産小麦粉を100%使用したバゲット「国産小麦の全粒粉バゲット」(税込280円)を発売。「キタノカオリ」に、「春よ恋」と「キタホナミ」をブレンドした強力全粒粉を合わせた粉で作った商品だ。 「国産は生地にした時の旨味が違うと感じました。価格も輸入のものと大きくは変わらなくなってきているし、国産小麦粉の中でも色々な粉をブレンドして最適な形を選んで商品化したいと今は思っています」(清澤さん) 産地を明確にする戦略を強化 同店はこれまで9年間、イーストフードやマーガリンを使わないなど、原料素材に関しては一定のこだわりを持ってきた。10周年を機に国産小麦粉に変えることで、全般的に素材の「産地」を明確にする戦略を強化していくという。 「国産小麦粉のパン独特のもっちり感や旨味など味わいに関する違いはまだ一般には浸透していない感があります。国産は『安全・安心』を売っているという感じがありますね」(清澤さん) 9割が常連客という同店。客の中には以前、「はじめにパンを検体に出してから購入したい」と希望した人もいたそうだ。「パンの余りをお渡ししたんです。検査で問題がないことを確認し、以降は当店の常連客になって頂いています。これは極端な例ですが、それでもやはり素材や成分に関する質問を受けることは多く、そこに時代の要求を感じます」と清澤さん。 農家の気持ちを買いたい 実は以前、業者が連れてきた北海道の農家の人が北海道産小麦の素晴らしさについて店で長く話をしてくれたことがあった。 「その時、単なるセールスではなく、純粋に自分たちが作っているものの良さについて伝えたくて来られたのだなと情熱を感じました」(清澤さん) 清澤さんは「この数十年間、国産小麦の品質改良のため必至の努力を重ねてきた農家の人達の気持ちを買いたい」とも思うという。 今は10周年に向けて国産小麦粉の様々なサンプルを取り寄せている最中だ。価格と容量を見直し、国産小麦粉の新製品へ切り替えるため、試作品は近隣のレストランのシェフに食べてもらって反響を聞きながら、徐々に準備を進めていく。 また、今、一番興味があるのは出身である九州の製粉メーカーが販売している熊本産の小麦で、これから取り寄せる予定だ。 「北海道とは麦の育つ環境が違うので、特性が異なるものになっていると思うのですが、実際に使った感じはどうだとか、そういったことを考えるだけでワクワクしますね」(清澤さん) 吟遊詩人 〒167−0032 東京都杉並区天沼3−2−2荻窪勧業ビル1階 電話 03−5335−6362 | |||||||||||||

| 国産小麦粉を30%配合し味の深みを出す - ぱん工房 桜道 | ||||||||||||||||
「当店では国産小麦粉は、しっとり感と味の深みを出すため30%ブレンドする形で使い始めました」と話すのは、千葉県松戸市にある和風ベーカリー「ぱん工房 桜道(おうどう)」店主の鴻巣邦治さんだ。 同店は店舗の外観や内観までを「お茶屋さんのような和のイメージ」で統一。商品も日本に昔からあるソフトなパンにこだわって作っている。和風にこだわる理由を尋ねると「やはり日本が好きだからですね」とシンプルに答える鴻巣さん。 店内の商品もあんパンやクリームパン、メロンパンといった日本独自の文化の中で育ってきたシンプルな商品が定番商品となっている。また同店では一口食べて口溶けの良い柔らかさを食感として追求しており、そのためにも小麦粉の配合を慎重に定めているという。 「国産小麦粉は、しっとりした食感を出すには適していますが、口溶けの良さを出すには必ずしも適していません。その代わり、一定量をブレンドすることで味の深みが出るんです」(鴻巣さん) 商品の個性を引き出すために使用 同店が国産小麦粉を使い始めたのは、オープンして間もない2007年だ。使い方は、鴻巣さんがそれまで修行した色々な店の技術を踏襲しつつオリジナリティーを出した。 同店では販売する全てのパンにライ麦からおこした自家製酵母を入れている。菓子パンは「酒種生地のこしあんぱん」(税込140円)や「自家製カスタードのクリームパン」(税込162円)などが定番商品。その菓子パン生地は、国産小麦粉と酒種を混ぜた特製の種に、自家製酵母を加えて捏ねあげ、計3日間低温で熟成することで旨味と香りを引き出している。また伝統的なフランスパンも出しており、「2つの種の熟成フランスパン」(税込140円)は、自家製酵母と、国産小麦粉と水で一晩熟成させた種の2種類をブレンド。クラストのパリパリ感を残しつつ、クラムのしっとり感を出した。地域柄なのかハーフカットの要望が多く、一般的なフランスパンのサイズの半分のサイズのものを作っている。このように鴻巣さんは、現在までずっと、こうした菓子パンとフランスパンのみで国産小麦粉を使ってきた。製法の工夫の中で国産小麦粉を部分的にうまく使うことで、商品の個性をうまく引き出してきたのだ。 日本独自の文化から生まれたパン 同店では今年に入って使用する国産小麦粉の種類を変えた。国産小麦粉も最近はだいぶ品質が改良されてきたということが、昨年業者からすすめられたサンプルを使ってみてわかったからだという。 「それまでのものはだいぶダマになる感じで使いにくさも感じていましたが、サンプルを試した結果、費用も変わらない上、だいぶ伸びやすく生地もしっかりして使いやすいと感じたのです。今後は政府の国産小麦普及に対する姿勢を考慮しつつ、場合によっては配合率を30%より多くするかも知れません」(鴻巣さん) ただ無理に国産小麦粉を使用することにはこだわっていないという。 「あんパンとかクリームパンとかのように、生地に何かを包むのが、日本独自のパンだと思うんです。原材料の『地産地消』はもちろん理想ですが、まず日本の文化から生まれてきたパンを、より味わい深くすることを極めたいという気持ちがあります」(鴻巣さん) ぱん工房 桜道 〒270−0021 千葉県松戸市小金原8−28−20 電話 047−702−3480 | ||||||||||||||||
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