開発と販促の両輪がうまく回る - パン工房ル・ブール - ブランスリー電子版

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お店拝見/2015年6月号

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開発と販促の両輪がうまく回る - パン工房ル・ブール
埼玉県所沢市のベーカリー「パン工房ル・ブール」は、西武池袋線・狭山ヶ丘駅東口から7分ほどの場所にある
オーナーシェフの石井歳成さん
入り口の両脇を花が彩る
入店してすぐの場所に売れ筋ベスト3の商品が並ぶ。アイテムごとに、高さに変化を付けた陳列をしている
テレビで紹介されたことで人気に火が付いた「あんドーナツ」(税抜130円)
「あんドーナツ」の断面
人気ベスト3の商品について、表彰台陳列を行う

 埼玉県所沢市のベーカリー「パン工房ル・ブール」は、西武池袋線・狭山ヶ丘駅東口から7分ほど直進した左手にある。車窓からも分かる大きな看板が目印だ。赤地に、バゲッドを入れたカゴを持つパン職人のイラストが描かれており、一目でベーカリーだと分かる看板だ。
 建物の向かって左側は入り口で、右側には、屋根付きのウッドデッキがあり、テラス席となっている。屋根付きなので、雨や強い日差しをよけることができ、居心地よく利用できそうだ。
 入り口の両側には、ピンク色の花が咲き誇る植木鉢が設置されている。「このお花きれいね。うちにも同じのを植えたのよ」と一緒に来た相手に話しながら入店する女性客もいた。
 店内に入ると、すぐ目に付く場所に、1番人気から3番人気までの3アイテムが並んでいる。
 人気ナンバー1の商品は、「塩パンロール」(税抜85円)で、「店長のおすすめ」と書かれた札と、A4サイズの大きなPOPも付いている。POPはピンク色の地に、イラストと「シチュー、カレーのおともに、朝食にいかがですか?」との文字が載っている。また、同商品の入ったカゴは、そのカゴと平台の間に木箱を挟むことで、ほかの商品と比べ、最も高い位置にくるように設置されている。
 続いて人気ナンバー2の商品は、「あんドーナツ」(税抜130円)。昨年10月末、全国放送のテレビで紹介されて人気に火が付いた商品だ。放送当日は、600個売れたという。商品の横には、その時の放送画面をプリントした紙が掲示してある。こちらも、「塩パンロール」と同様に、商品の入ったカゴの下に台を置き、ほかの商品より高い位置にくるように陳列している。
 このように、商品の入ったカゴの高さは、人気ナンバー1の「塩パンロール」が一番高く、次に高いのが人気ナンバー2の「あんドーナツ」、その次が人気ナンバー3の「デニッシュトースト」(税抜180円)と、人気のある順に調整している。

広い売り場を確保して、並べる楽しみを実感

 同店のオーナーシェフは、開業して30年という石井歳成さん。石井さんが同店を、横浜市港北区からこの地に移転したのは20年前。当時周辺には建物がほとんどなかったが、今は住宅が立ち並び、環境が一変したという。
 「移転した主な理由は、広いスペースがとれる場所でやりたいと思ったからなんです。移転当時は不動産バブルもはじけた後で、都合良く保証金などもかなり安くなっていて、助かりました。周りは、今は住宅が結構ありますが、当時は畑ばかりだったんですよ」(石井さん)
 店舗の大きさは、移転前の15坪から33坪と、倍以上の大きさになった。
 「特に、売り場を広く取りたかったんです。移転前は狭くて、壁沿いの棚に一方向にしか陳列できなかったので、並べるだけで精一杯という感じでした。移転後は、広いスペースを利用して、色々な並べ方ができます。陳列台を、角度や高さに変化を持たせて設置できたりして、パンを並べる楽しみがあります。また、お客様には、楽しんでパンを選んでいただけます」(石井さん)
 取材した4月、壁には、卵のイラストの塗り絵など、イースターの飾りつけが施されていた。塗り絵は、子どもを対象に行ったイベントでの作品だ。塗り絵をするとそれと引き換えにラスクをプレゼントするという内容だ。このほか、イースターの象徴である卵を主役にした商品として、「エッグベネディクト」(税抜210円)という新商品の販売もあった。ソフトな生地に、ベーコン、アンチョビポテト、半熟卵、卵ソースをのせて焼き上げた商品だ。



イースターの飾り付けが施された店内
イースターのイベントとして行われた子どもによる塗り絵の作品が飾られていた
イースターに因んで発売された「エッグベネディクト」(税抜210円)。ソフトな生地にベーコン、アンチョビポテト、半熟卵、卵ソースがトッピングされている
講習会や勉強会を有効活用する

 移転後は、おいしい生地作りに益々力を入れるようになったという。
 「移転前は目の前に幼稚園がある立地だったので、キャラクターパンに力を入れるなど、見た目を重視していました。ですが、移転がいいきっかけとなって、生地自体のおいしさを追求するようになり、3年前には発酵種の製造機を導入しました。『パン自体がおいしい』と、お客様からも好評です」(石井さん)
 人気ナンバー2の「あんドーナツ」の生地には、液状豆腐を練り込んでいる。液状豆腐とは、豆乳に入れるにがりの量を少なくすることで、豆腐のように固まらせず、ドロドロの状態に加工したもののことだ。
 「発酵機を入れたのと同時期だと思います。それまで使っていたドーナツのミックス粉から、液状豆腐を配合した当店オリジナルの生地に変えました。液状豆腐を入れると、口どけが良くなります」(石井さん)
 液状豆腐を入れるアイデアは、油脂メーカーの講習会で得たという。
 「メーカー主催の講習会などは、よく行くようにしています。会場には、パン職人が20〜30人集まります。紹介されたパンは、その場でみんなで試食するのですから、おいしいかどうか、売れるかどうかということを知ることができます。店では、数人のスタッフの反応しか見られないですが、一気に大勢のパン職人の反応が見られますので、いい機会ですよね」(石井さん)
 定番人気の「くるみパン」(税抜145円)も、講習会で得た製法を取り入れて改良。クルミの渋皮を取る下処理を行うようにした。下処理を行うようにしてからは、今までの倍の量が売れるようになった。また、クルミが値上がりしたことで、価格調整のため、クルミの配合量を少なくしたが、そのことによる悪影響はないという。
 石井さんは、同業者同士の勉強会にも積極的に参加している。
 「年に約6回活動しています。移転前も、横浜地区のベーカリーで集まって勉強会をしていました。勉強会ではこれまで、北海道から九州、沖縄までたくさんのベーカリーを見学してきました。イベントのアイデアや、陳列方法、商品開発など、参考になることをたくさん得てこられたと思います」(石井さん)
 同店には、開業30年の石井さんの経験が活かされ、全国のベーカリーやメーカーのアイデアが詰まっている。

SHOP DATA
店名:パン工房ル・ブール
住所:〒356‐1106 埼玉県所沢市東狭山ヶ丘1‐59‐17
電話:04‐2939‐5786
営業時間:午前7時〜午後7時半
定休日:なし
品揃え:約80品目
スタッフ:販売常時2人、製造常時4〜5人
店舗面積:売り場12坪、厨房17坪、バックヤード4坪坪)
年商:約8000万円



この記事の読みどころ

●人気のトップ3の商品について、オリンピックの表彰台に並べるように、1番人気の商品から高い位置に順番に陳列する。
●パンの講習会に積極的に参加し、会場での受講者の反応を確認しながら、自店の商品にアイデアを取り入れるかどうかを判断する。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





原価計算女王
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