阪神・淡路大震災から20年 - 一粒の麦から25(文・本行恵子) - ブランスリー電子版

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連載/2015年5月号

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阪神・淡路大震災から20年 - 一粒の麦から25(文・本行恵子)
ブレッドタクシーで訪問した「ケルン」の店内
ブレッドタクシーのドライバー
山添隆一さん
弓削牧場の乳製品とスコーンと蜂蜜
被災した関西のベーカリー

  1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災の時、私はパンの業界新聞の会社、パンニュース社に勤めていました。大阪市内にあった関西支社との連絡がなかなか取れず、現地の被害を把握することは難しい状況でした。しかし「何としても1月25日号の紙面に関西のパン業界の被害状況を報告し、業界全体で支援をしなければ」という使命を、故西川多紀子会長は強く感じていました。私たち社員はパン業界名鑑(全国のパン製造業者名簿)を見ながら、被災地域のベーカリーに電話をかけ続けました。半分以上は電話が通じませんでしたが、安否や被害状況を確認して会長に伝えました。また兵庫県パン商工組合の西川隆雄さん(ニシカワ食品社長)は、自転車で走り周って組合員たちの安否を問い、報告してくださいました。当時の組合員104軒のうち、全壊6軒、焼失1軒、半壊11軒などが判明しました。そのほか、「連絡付かず不明」が15軒、「建物は無事だが営業再開の見通したたず」が21軒などの情報が寄せられました。操業が可能な店はわずか8軒でした。中山手にあったフロインドリーブも、大きな被害を受けました。当時店のシャッターには、「早くパンを焼いてください」というファンからの寄せ書きが貼られていたそうです。他にも「ドンク」や、芦屋市の「ビゴの店」など、多くのベーカリーが被害を受けました。

「神戸ブレッドタクシー」でパン屋巡り

 神戸市中央区山手通りにある「サ・マーシュ」のオーナーシェフ、西川功晃さんは、復興した神戸の街をもっと元気にしたいと仲間たちと一緒に考えてきました。それを具体化したのが、神戸・阪神の若手パン職人たちのグループ「KOBEパンプロジェクト実行委員会」です。このグループは地域社会やパン業界の発展に貢献したいという想いから、消費者にパンの魅力を伝え一緒にパン食文化を楽しむイベントを積極的に開催しています。
 今年の2月、私は、神戸・阪神地区にある人気のベーカリーをタクシーで巡る企画付きのホテル宿泊プランに参加しました。
 この企画は神戸市長田区にある近畿タクシーの森崎清登社長が発案したもので、8年前に始めた洋菓子店をまわる「神戸スイーツタクシー」が年間400組も利用されていることに着目し、「KOBEパンプロジェクト実行委員会」の協力を得て「神戸ブレッドタクシー」を企画。昨年7月から今年の12月までの予定で、「ANAクラウンプラザホテル神戸」と提携し運行しています。
 訪問ベーカリーは「KOBEパンプロジェクト実行委員会」メンバーの店で、サ・マーシュ、イスズベーカリー、ケルン、ハラダのパン、ブーランジェリーフリアンド、ブーランジェリービアンヴニュ、ブレッドマーケットやさしい風、ブーランジェリーレコルトなどが、コースになっています。またこれ以外でも、オリジナルのコースプランも、タクシードライバーに相談すれば可能です。神戸の滞在時間が短い人や地理に不案内な人には、所要時間2時間半でベーカリーを効率よくまわる便利な企画です。4人1部屋の利用で、1人8680円(宿泊、タクシー代金含む)と割安です。
  私の選んだコースはベーカリーだけでなくカフェと洋菓子店を組み合わせ、「ケルン→弓削牧場カフェ→ブーランジェリービアンヴニュ→ブーランジェリーフリアンド→元町ケーキ」というプランでした。震災後生まれ変わった街にあるそれぞれの店は、活気に溢れ賑わっていました。そしてカフェのある「弓削牧場」は、以前食べたことのある同牧場のナチュラルチーズのおいしさに感動し訪れたいと長年思っていた場所。素晴らしい自然環境に恵まれた牧場内の「チーズハウスヤルゴイ」では、創作チーズ料理メニューが提供されています。また併設ショップではチーズ、牛乳、スコーン、シフォンケーキ、ハチミツの他、ホエーから作られた肌に優しい石鹸や化粧水を買うこともできます。

ボランティア活動はさらに続く

 震災から20年経った神戸は復興しつつあります。しかし東日本大震災や各地の被災者を支援するベーカーたちのボランティア活動は、講習会による募金集めなど様々な形で継続されています。阪神・淡路大震災の日は私の誕生日で、生かされていることに感謝する日でもあります。私にもできる小さなことから行っていくことで、応援していきたいと思います。

本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。









原価計算女王
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