ベーカリーの外販効果 / 催事やイベントへの参加が繁盛の確かな力に - ベッカライカフェ・リンデ - ブランスリー電子版

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レポート/2015年4月号

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ベーカリーの外販効果

催事やイベントへの参加が繁盛の確かな力に - ベッカライカフェ・リンデ
昨年10月に開かれた「世田谷パン祭り」には大勢の来場者があった
 「世田谷パン祭り」や「青山パン祭り」といったパンのイベントや、デパートなどで行われる食品関連の様々な催事に積極的に参加し人気を博す東京・吉祥寺のドイツパン専門店「ベッカライカフェ・リンデ」。「固くて酸っぱい、おいしいドイツパン」などと、製品のコンセプトをはっきりと打ち出していることなどもあり、多くの人の心に印象づけることに成功しているようだ。パンのイベントやデパートの催事などで商品を販売することが、どのような効果をもたらしているかについて取材した。



中々来店できない人のために
「ベッカライカフェ・リンデ」の外観。2階はカレーなどの食事メニューもあるカフェ
売スタッフの岩城かおりさん
硬くて酸っぱいおいしいパン

 東京・武蔵野市、JR吉祥寺駅から徒歩5分程度の場所にあり、駅前商店街の「サンロード」に位置する「ベッカライカフェ・リンデ」。同店は1997年の開業以来、ドイツパン専門店として数多くのリピーターを獲得し、現在、東京とその近郊のデパートなどの催事への出店も盛んだ。この冬も、東京の池袋や調布、鎌田、埼玉の川口などの各地のデパートでの催事に参加してる。「世田谷パン祭り」「青山パン祭り」といったパンのイベントのレギュラー出店者でもある。
 次々と催事やイベントから声が掛かる状況について、同店の木村智子店長は「リンデのパンを食べたいけれど、吉祥寺までなかなか行けないというファンのお客様方に支えられています」と話す。
 同店の大きな特徴は、開業以来レシピを変えていないことと、日本人向けにアレンジせずに本場そのままの味のドイツパンを作り続けていること。開業当時、まだ一般に普及していなかったドイツパンの一般的なイメージは「固くて、酸っぱい」というものだったという。
 そんな中で、同店は「固くて酸っぱい、おいしいドイツパン」をテーマとしてスタートした。日本人向けのアレンジをしないことから、多くの消費者にとって「初めて食べる味」であったため、その味がきちんと受け入れられるかは未知数だった。
 品揃えは、ライ麦粉約10%〜100%の各種パンが中心。しかし、開店してみれば、数多くの消費者が同店のドイツパンの味を好むようになったという。一番人気のブレッツェル(税込152円)は、1日100個以上を販売することもある。「ライ麦50%を超えると、酸味の主張を感じるようになると、説明しています」(木村店長)



スタッフのパンへの愛情が基本
「カイザー」(税込152円)は、「ひまわり」「黒けし」「ゴマ」など各種
様々なライブロートが並ぶ店内。「本国の味が食べられる」と外国人にも好評
一番人気の「ブレッツェル」(税込152円)。催事やイベントでも人気が高い
顧客層がデパートと重なる

 同店はリピーターが多く、その5〜6割がドイツパンのファン。一度ドイツパンの魅力に惹かれると「白くなくて、ふわふわしていない、ドイツパンが食べたい」とリピートするケースが目立つという。ライ麦100%の「ロッゲンフォルコンブロート」(税込584円)は、顧客の要望に応えて登場したリンデの主力製品だ。
 同店の主要顧客層は40〜50代の女性。この世代がデパートの客層と重なっている。デパートのワインフェアに出店したときは、「ワインによく合う本格ドイツパン」といった嗜好性に興味を持ち、お試しで購入するゆとりを持った客が多かったという。
 同店販売スタッフの岩城かおりさんは、「催事に持って行く商品セレクトの基本は、ライ麦20%、50%、70%、100%の定番ライブロートと、人気の高いブレッツェル、カイザーなどの、ドイツパンの良さをわかってもらえるものです。この基本の味を催事で知って頂き、興味を持って頂いたら、店舗でもっと細かな各種の味わいのものも揃えていますので、様々なドイツパンの世界を楽しむためにご来店頂ければ嬉しいですね」と話す。
 吉祥寺という土地柄、行楽シーズンに観光で訪れて同店のパンに出合う客も多い。そうした人がファンになると、吉祥寺まで買いに行けなくても、各地の催事でリンデのパンを購入するというケースが目立つようだ。

パンのイベントはパンマニアが多い

 「世田谷パン祭り」などのパンのイベントは、来場者のほとんどはパンマニアという点で、デパートの催事とは大きく異なるという。1日〜3日程度という短期間のイベントということもあり、参加すると、品物が飛ぶように売れ、終了時刻には何も残らないことも珍しくない。
 「パンのイベントは、例えば、スライサーの持ち込みができないなどの制限があって、店舗と同じサービスが出来ない場合もあるのですが、パン好きのお客様に製品について様々な説明をすることで、興味を持って頂き、ご購入してもらっています」(岩城さん)
 リンデのスタッフは、全員が大のパン好き。ベテランの岩城さんも、それまで異業種で勤めていたが、吉祥寺で消費者として同店のパンに出合い、そのおいしさに感動して、すぐに同店の求人を探して入社した、同店の大ファンだ。
 同店のスタッフは、同店の製品の愛好者でもあるのだ。定番商品や新商品の食べ方の研究、塗り物の研究、サンドイッチとして挟む具材の探求などに余念がない。そうした成果は、スタッフの間で共有し、接客の際の客への食べ方提案などに生かしている。
 「各ドイツパンの酸味や食感、使用している種、挟むのに適した具材などの説明をする機会が多いですね。スタッフそれぞれパンの好みも違いますから、お客様の嗜好に合わせた提案もできます。この接客方法は、店舗でもイベントでも同じように生きています。味わい、酸味、形状をお聞きして、一緒に製品をお探しすることもあります。前に食べておいしかったパンの名前がわからないお客様にも、すぐにそのパンを取って差し上げることもできます」(岩城さん)

アレルギー成分の表示なども

 リンデのパンは、プライスカードにアレルギーの表示やカロリーの記載がある。これは、アレルギーのために一般的なパンを食べられないお客からの声がきっかけ。
 「ドイツパンのこの種類なら私も食べられる」という喜びの声に、消費者がドイツパンに見出している意外な魅力のひとつ発見したという。
 こうした発見をサービスに取り入れながら販売技術を身に付けたスタッフが、店外のイベントに応援に出れば、イベント特有の制約が多い状況の中でも、質の高い接客サービスを提供できる。例えば、デパートの催事では試食サービスが出来ないことも多いが、販売スタッフの豊富な知識、提案力、接客技術でカバーできる。それらは、パンのイベントに来場するパンマニアの興味も満たす。
 身一つで、その場を店舗と同等の販売の場にすることができるのだ。現在、主要客層以外にも、男性や若者の人気も集めつつある。

店舗での販売と催事での販売を両立

 「当店はスタッフの定着率が高いようです。スタッフ同士も仲良く働いています。決まったマニュアルがないのもポイントかも知れません。会社が、皆が意見を言いやすい、風通しの良い環境をつくってくれています。現場の我々は、自分達が自信を持って薦められるリンデの美味しいパンを、お客様にも美味しく食べてもらいたいという思いで働くことができています。そこが我々にとってのこの店の魅力ですね」(木村店長)。
 同店では、催事やイベントが定番化して以降、催事の準備の大筋は分業制でシステマチックに行われている。
 催事担当者が出品製品を決め、それに合わせて店舗の近隣にある製造工房が朝の出庫に向けてパンを焼き上げる。この流れが出来るまでに試行錯誤もあったが、現在は日常業務にあまり負荷を掛けずに、催事やイベントに参加している。
 良い製品と、良い製品への深い愛情が、店舗での販売と催事やイベントでの販売の好循環を作っているようだ。



原価計算女王
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