製餡会社のショップが作るあんパンの味は? - あんですマトバ社長の的場敏江さん / - ブランスリー電子版

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インタビュー/2015年3月号

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製餡会社のショップが作るあんパンの味は? - あんですマトバ社長の的場敏江さん
本業は老舗の製餡所あんパン一筋で35年

―――このベーカリーは的場製餡所のアンテナショップという位置付けでオープンしたんですか。
的場 ええ、そうです。今もそれは変わりません。製餡所は1924年(大正13年)5月に日本橋の箱崎町に創業しました。取引先は和生菓子店が中心です。戦争中は一時休業状態になりましたが、戦後の1948年(昭和23年)に浅草で再開しました。1964年に千葉県松戸市に新工場の建設を始め、翌年稼働したんです。パン屋さんや洋菓子店への卸しを始めたのは1977年頃からですね。
―――ベーカリーをオープンしたのは。
的場 パン屋を開いたのは1980年です。私の実家がパン屋だったんです。仕事の様子は分かっていましたし、丁度子育ても終わったころでした。最初は、当時注目されていたデニッシュペストリーを中心に据えようと思ったんですが、職人さんに恵まれませんでね。あきらめました。そこで原点に返るとでもいいましょうか、あんを生かして、あんパン作りを始めたのです。その時はジャムパンやクリームパンも製造していました。ところが、付近にコンビニエンスストアが出来ましたらね、パンの売れ行きに変化が生まれたんです。あんを中心にする切っ掛けでした。そうなるまで5〜6年が経っていましたね。
―――それ以降はあんパン一筋ですか。
的場 食パンやフランスパンなどもありますが、中心はあんパンです。あんは60種類あります。店頭に毎日並ぶパンは20種類です。定番の「こしあんぱん」や「小倉あんぱん」などの他に季節商品もあります。今ですと、「ゆずあんぱん」です。ゆずの皮を乾燥させて、あんの中に入れています。試行錯誤の結果色々なあんが誕生したのです。



使用するあんによって、パンの形を変える

―――あんの原料は全て国産なのですか。
的場 ほとんどが北海道産です。北海道でとれないものはアメリカから輸入しています。例えば、小豆は北海道産ですが、青えんどう豆はアメリカ産です。「ずんだあんぱん」に使っている枝豆は台湾産です。一番美味しいとの結果を得ています。全て原料で調達して、自社工場で「あん」として製品化しています。それが製餡企業の役割だと思っています。
 私たちのパン屋を支えるのは的場製餡所です。その中心で働いてきた私の主人の研二は、あん一筋の人です。良いものは、それに相応しい価格で販売したいと考えています。良い製品を作る努力をひたすら続けているんです。あんの卸し先である有名和菓子店も、高い値段であんを購入して、質の良い和菓子作りに取り組んでいます。うれしいですね。
―――良い原料を使って作られた「あん」をパンに作り替えるわけですが、それぞれの商品に工夫はありますか。
的場 はい。使うあんによって、形を変えるようにしています。パンの形が先にお客様の目を捉えると思うのです。職人さんが、入れるあんによって、どんな形がいいかを考えるんです。生地作りもそうです。職人同士がお互いに競い合ってアイデアを出すのです。こうして出来上がった商品は、あんの営業にも利用します。「あん」だけ持っていっても、取引先には何だか分からないでしょ。具体的な形にして提示すると、新しいあんの様子が、和洋菓子店やパン屋さんに伝わりやすいんです。



「黒ごまあんぱん」を揚げて、きな粉をまぶした「黒ごまきな粉あんぱん」
「黒ごまあんぱん」を揚げて、きな粉をまぶした「黒ごまきな粉あんぱん」(断面)
台湾産の枝豆から作ったずんだあんを使用した「ずんだあんぱん」
台湾産の枝豆から作ったずんだあんを使用した「ずんだあんぱん」(断面)
色々な種類のあんパンが万遍なく売れる

―――どんな種類のあんパンがよく売れますか。
的場 万遍なく出ますね。もちろん、日によって、特定のあんパンの売り上げが伸びることもあります。季節商品ですと、先ほど言った「ゆずあんぱん」がいいです。桜の花が入った「こしあんぱん」をお土産用に大量に買うお客様もいます。「黒ごまきな粉あんぱん」も人気です。「黒ごまあんぱん」にきな粉をまぶしたものです。きな粉を使うアイデアには驚きました。私は最初不安でした。でも、食べてみたら、美味しいじゃありませんか。お客様にも評判はいいんですよ。
 「黒糖あんぱん」には、あんにも生地にも沖縄の黒糖を入れました。黒糖の特徴を生かせていると思います。「焼いもあんぱん」には金時いもが入ります。美味しさを出すための工夫もあります。「コーヒーあんぱん」のあんは得意先から依頼されて開発したものです。生地にもコーヒーを入れました。クリームを挟んだ姿もい良いでしょ。
―――季節というと、夏場のあんパンの売れ行きはどうですか。
的場 夏はやっぱり水ようかんや冷たいお汁粉が売れ筋ですね。一時「冷やしあんぱん」を売り出したことがありましたが、これがねえ。夏はあきらめ気味です。一年中で最も良い季節はやはり春ですね。



店内にはたくさんのあんパンが陳列されている
万遍なく食べてもらおうと毎週割引のサービスを実施

―――ところで、あんパンは全商品160円(税込)ですね。価格についてはどうお考えですか。
的場 高いかもしれないと思う時もありますけど、もっと高い価格で販売されている店もありますね。うちのあんパンのフアンの方で、「他店には、もっと高いのもありますよ」って言ってくれるお客様もいます。今はこの値段でいいと思っています。
 割引を毎週実施しています。まず、毎週火曜日は、あんパン全品160円が20円引きの140円になります。それと、1週間にわたって特定の商品を20円引きします。例えば、今週1週間は「ゆずあんぱん」を20円引きにするといったようにです。以前は、その都度セールを知らせるビラを撒いていましたが、余分な費用もかかるので中止しました。現在のスタイルにしたのは、1年ほど前からです。
 割引はこれからも続けます。あんパン以外では、水曜日には食パンを260円から240円に、バターロールを250円から220円にして販売します。また、土曜日は1キロ詰あんの価格を700円から620円にしています。

あんパンだけで1日700個以上を販売
―――割引で、売り上げに影響はありませんか。
的場 確かにある程度の売り上げを確保しなければなりませんね。あんパンに限って言えば、1日に700〜800個売りますよ。あんパンはアイテムごとに、複数回、焼き上げます。日によって、ある特定の商品がよく売れることもあります。その場合は、その商品を追加で焼くこともあります。
 中々大変ですけれど「あん」がある限り、あんパンは無くなりません。これからも、作り続けますよ。

原価計算女王
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