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| シェフの割田健一さん |
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| 昨年12月にオープンした「ブーランジェリー レカン」。玄関は共通で、建物の右側がレストラン、左側がベーカリーとなっている。厨房は地下にある |
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| 右は「コーンブレッド」(税抜900円)、左は「コーンブレッドスティック」(税抜180円)。「コーンブレッドスティック」は、焼き型に入れた状態で陳列 |
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| 「ハルユタカのカンパーニュ」(税抜600円)。ハルユタカを100%使用している。ハルユタカの粒と全粒粉も配合 |
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| 「ハルユタカのカンパーニュ」の断面。ハルユタカの粒が見える |
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| 「ズッキーニのクロックムッシュ」(税抜650円)。表面にパン粉がまぶされていて、ザクザクした食感が楽しめる |
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高級フランス料理店のベーカリー部門 東京・中央区銀座の歌舞伎座にほど近い場所に店を構える「ブーランジェリー レカン」。フランス料理の名店「銀座レカン」などを展開するレカングループが、昨年12月にオープンした。隣り合う位置に、同ベーカリーと同時にリニューアルオープンした、同グループの経営するレストラン「ロテスリーレカン」があり、2店の玄関は共通となっている。
入店しようとその玄関に近付くと、スタッフが扉を開け、パンを購入し終えた客を送り出していた。その対応は、ホテルサービスを思わせる丁寧さが感じられるものだった。
店に入ると、左手すぐのところにベーカリーがある。右手奥に見える扉は、レストランへの入り口となっている。天井には、きらびやかなシャンデリアが下げられ、上品で、高級感のある空間を演出している。
「クロワッサン」(税抜240円)や「ズッキーニのクロックムッシュ」(税抜650円)など小型のパンは、カウンターに陳列されている。ガラス板のつい立て越しに見えるようになっていて、対面式販売となっている。カウンターの奥に見える壁の一面は、飾り棚のようなつくりになっている。そこには、アンティークの時計や花瓶などとともに、「ハルユタカのカンパーニュ」(税抜600円)や「フランス産小麦のカンパーニュ」(税抜600円)など、6種類の大型のハード系のパンが並ぶ。棚は一区画ごとに照明が施されているので、パンが、より立体感を持った姿で目に映し出される。
これらのハード系のパンとほぼ同じものを、隣のレストランでも提供している。創業40年を迎える同グループのレストランでは、これまでずっとパンのおいしさにも定評があった。そのため、レストランの顧客にとっても、同ベーカリーの開業は待ち望んでいたことだったのだ。
パンづくりは相手あっての創作活動 同ベーカリーのシェフを務めるのは、2011年に入社した割田健一さん。
「『ロテスリ―レカン』で提供しているパンは、オープン前からレストランのシェフと話を重ねた結果出来上がった6種類です。その中の一つ、プチリュスティックについては、レストランのシェフから、『一つは酸味が少しきいたものをお願いします』とオーダーを受けたので、酸味を強めに出しています。このように、レストランのシェフからは、このパンが欲しいというよりも、香りや食感など味わいのイメージでオーダーを受けます。料理と共に提供するという観点から、パンの大きさ、食感、香り、酸味、かたさなどを検討します。提供するパンが決定すると、そのパンを進化させていくのではなく、毎日ぶれないように品質を維持していくことに努めます。それが一番大事なので、毎日必ず食べてチェックします」(割田さん)
割田さんは、入社する以前からも、数々のレストランでパン作りの経験を積み重ねてきた。
「オーダーを受ける際、料理に関することに限らず、色々な話を重ねていくうちに、『こんなパンを作ってみたい』と想像が膨らんでいきます。人との会話、人との出会いが、開発のきっかけや原動力になることが多いと実感しています」(割田さん)
「コーンブレッド」(税抜900円)は、アメリカでよくコーンブレッドを食べていたという友人の「日本ではなかなか手に入らないのよね、おいしいのに」との声がきっかけで開発した。さらに、アメリカの古本で、トウモロコシを模した焼き型があることを知って、その型を手に入れた。それで作ったのが、トウモロコシの形がユニークな「コーンブレッドスティック」(税抜180円)だ。
「自分のパンづくりは、相手あってのことです。いい意味で相手を裏切って、驚かせたり楽しませたりすることにに、面白さとやりがいを感じます。相手の期待通りではなく、期待以上のものを作りたいんです。そのためには、相手とのコミュニケーションを大事にすることがとても重要だと感じています。現在店頭に並べているパンのほとんどは、『コーンブレッド』のように、物語性の強いものですね」(割田さん)
割田さんは、本やテレビなどで感銘を受けるたびにメモをする習慣がある。そのメモの情報が、忘れた頃に役立つことがあるという。人との関わりだけでなく、このような習慣も、パン作りに活かしている。
ハルユタカの味を実感してもらうためのパン レストランでも提供している「ハルユタカのカンパーニュ」は、北海道産小麦「ハルユタカ」を100%使用することにこだわった。
「国内産小麦だけで、しかも単一品種で作り上げたかったんです。フランス人だってきっと、日本でパン作りをしたら、日本の粉で作りたくなると思いますし、これからの時代、国内産の材料を使うことがさらに重要になってくると思います。国内産食材のおいしさを伝えるのは、作り手の役目でもあります」(割田さん)
しかし、単一品種のみでは、味の深み、複雑さが出ず、おいしいと思えるパンに仕上がらなかった。
「製粉した通常の粉に、全粒粉、そして、粒のそのままを使うことにしました。粒は練り込む前に茹でておきます。小麦の粒は、スープに入れるなどして、レストランの料理にもよく使うので、身近な食材の一つです」(割田さん)
「ハルユタカ」を、粒、全粒粉、製粉した粉の3つの状態で使うことで作り出された「ハルユタカのカンパーニュ」は、単一品種のパンとは思えないほど、味に深みが出た。
「お客様に『ハルユタカのパンね』って覚えてもらいたいんです。『ハルユタカのカンパーニュ』を食べていただければ、『ハルユタカ』の味がわかっていただけると思うんです。小麦の品種ごとの味って、単一品種のみでパンを作らない限りは、なかなか実感できないですからね」(割田さん)
割田さんは、「ハルユタカのカンパーニュ」に、具材を練り込むなどし、いろいろなバリエーションを持たせていきたいという。
「カンパーニュは、一般的には人気がありませんが、玄人(くろうと)受けはいいので、伸びしろはまだまだあると思います。色々なカンパーニュを提案していくことが、普及に繋がると思っています」(割田さん)
店頭にはすでに、「赤ワインのカンパーニュと栗」(税抜350円)や「ズッキーニのクロックムッシュ」(税抜650円)などが並んでいる。
「今は第一弾でシンプルなものを並べています。第二弾から変化させていきます」(割田さん)