記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| インタビュー/2015年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| カッコいいバゲットが焼きたくてパン職人になった 2014パングランプリ東京で東京都知事賞受賞 ル・スティルの山崎数正さん | |
|
2014年秋に開かれた「2014パングランプリ東京」(主催・東京都パン商工協同組合など)に「バゲット ファンダメンタル(基本のバゲット)」を出品し、1位の東京都知事賞を受賞したル・スティルの山崎数正さん(32歳)に、受賞製品の開発の経緯や思い入れなどについて聞いた。
|

|
今日は昨日よりカッコいいパンを焼きたい
──製パンの経験は何年になりますか。 山崎 4年目になります。ル・スティルに入社してからは1年が経過しようとしております。パン職人になる前はレコード店で働いていました。 ──どんなパンに心惹かれますか。 山崎 作り手として心惹かれたのはバゲットと食パンです。パン職人として働き出してからは、色々なパン店へ足を運ぶようになりましたが、ヴィロンのバゲットには衝撃を受けました。こんなにカッコいいバゲットを平然と店頭に並べているお店があるのかと感動しました。そのとき店頭に貼られていた求人を目にし、すぐに連絡をして面接の約束を取り、本当に幸いですがヴィロンに入社する事が出来ました。 作り手のこだわりよりも、お客様が美味しいと喜んで頂けることが大切だと考えております。その上で、昨日よりカッコいいパンを焼きたいと常に思いながら作業をしております。その中でもシンプルな原材料で作られるバゲットは技術力の差が焼き上がりに大きく表れ、本当に難しく、奥が深いものです。バゲットの迷宮へ迷い込んでしまいました。 「バゲット・レトロドールを超えたい」と臨んだ ──コンテストに出場したきっかけは。 山崎 自己研鑽のための挑戦の意味もこめて「ヴィロンの『バゲット・レトロドール』を超えたい」という気持ちで挑みました。結果的には全く及ばなかったと自認していますが、バゲット・レトロドールを意識して試行錯誤することが出来たのは、本当に良い経験になりました。コンテストに出場すると、当然パンのことを考える時間が増えますが、それだけでも充分に意味のあることだと思います。「バゲット・レトロドールを超えたい」という目標を持って臨んだことは、いい修業になりました。 ──受賞作品の「バゲッド ファンダメンタル」について教えてください。 山崎 「バゲット ファンダメンタル」は「基本のバゲット」という意味です。オートリーズ法とオーバーナイト法を用い、「基本の技術を使って基本的な美味しいバゲットをつくること」を目標としました。冷蔵で18時間の発酵をとって小麦粉の味を引き出しました。クラムはしっとりしていて、厚めのクラストは硬い中にも歯切れの良い食 感になりました。もっと薄いクラストにして、軽い食感にしたかったのですが、私の技術不足によりそこまで持っていくことは出来ませんでした。 味に関しては「何にでも合うバゲッド」を目指しました。しかし、バゲットとしても主張があり、単体でも味わいを楽しめるものを目指しました。「バゲッド ファンダメンタル」は味が強いので、味の強い料理とは特に好相性になると思います。都知事賞を頂きましたが、製品を安定させるためには、しばらく試行錯誤が必要です。2014年9月に受賞してから、今(2014年12月)も工夫を重ねて、製法も仕上がりも、少しずつ変わってきています。「バゲッド・レトロドール」にはまだまだ及んでいないんです。 先輩から様々なアドバイスをもらった ──製品が完成するまでには、困難なこともあったと思います。 山崎 クラストが薄くて、クラムはモッチリしているけど歯切れが良く、口溶けも良い、そんなバゲットを目指しました。程よい塩味で、小麦の風味も強く感じられ、クープは綺麗に開いて、そこそこのボリュームもあることも目指しました。一度試作をし、そこから何が足りなくて、何が不要かなどを考えながら、ひたすら試作を繰り返しました。思い通りにいかない時も多々あり、知識と技術不足のせいもあり、失敗の連続でしたが、何とか形にすることができました。また、試作をする度に先輩スタッフに味をみてもらい、様々なアドバイスを頂きました。今の自分がイメージ通りのパンを焼けるかどうかと言えば、理想に対する達成度はまだまだ低いので、先は長いですね。 色々な製法のバゲットがあれば、パン文化も豊かに ──バゲットに対する消費者意識について、どう考えていますか。 山崎 厨房で作業をしているため、直接お客様よりご意見を伺う機会は、ほとんどありませんが、退勤時などに、お店の前で「このお店美味しいんだよ」などという会話を耳にすると嬉しくなります。その言葉に見合うようなパンを焼かなくてはと思います。 最近では、バゲットに関してはオーバーナイト法で味の濃いものが主流になりつつあると感じています。ヴィロンのバゲットもオーバーナイト法を用いて製造しています。しかし、ディレクト法にはディレクト法の良さもありますので、今後はシーンに合わせて選べる様になれば、パン食の文化もより豊かになるのではないかと考えています。 余談ですが塩味の強いヴィロンのバゲットは、私はビールのつまみとして楽しむのが好きです。サンドイッチにした場合のフィリングは、レタス、ハム、チーズといったシンプルな素材がよく合います。何かを塗って食べる場合も、塗り物は問わないので、バター不足でも、色んな味と組み合わせて楽しめます。また、塗り物なしで、そのままでもおいしく食べられます。 デニッシュや角食にも力を入れていきたい ──パン職人としての今後の展開は。 山崎 デニッシュの勉強も進めていこうかと考えております。2014年はバゲットをメインにしていましたが、それ以外のパンにも力を入れていきたいです。角食も好きで、こちらも見た目もカッコいいし興味深いパンです。バゲット研究も進めつつ、デニッシュや角食についても修業していきたいですね。 |



2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。









