焼いた翌日のパンのおいしさ - ブーランジェリー ボンヌール・メゾン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2015年2月号

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焼いた翌日のパンのおいしさ - ブーランジェリー ボンヌール・メゾン
シェフの國松正憲さんとスタッフたち
昨年11月にオープンした「ブーランジェリー ボンヌール・メゾン」。手前が売り場で奥が厨房となっている
左から「プリン」(税込216円)、「エッグタルト」(税込216円)、「シュークリーム」(税込108円)
レジ横に設置されたショーケースに、「プリン」(税込216円)や「シュークリーム」(税込108円)などの菓子が並ぶ
パンも菓子もフレッシュな状態で提供

 東京・世田谷区の国道沿いに昨年11月末、ロールケーキ専門店「irina(イリナ)」の経営会社、イリナ・エンターテインメントが母体の「ブーランジェリー ボンヌール・メゾン」がオープンした。
 店舗は、同社の菓子製造工場だった建物を改装した。1階がパン工房と売り場、2階がカフェスペースとなっており、売り場もカフェも天井が高く開放感のある造りとなっている。面している通行量の多い道路と反するような、ほっとする空間だ。
 入ると右側にレジがあり、その横に大きな冷蔵ショーケースがある。菓子製造販売を行う同社ならではの、「シュークリーム」(税込108円)や「プリン」(税込216円)、「エッグタルト」(税込216円)などの菓子が並ぶ。
 「シュークリーム」は、厚めの皮が特長だ。中のクリームは生クリームが多めのふんわりとしたカスタードで主張しすぎず、皮の味わいを引き立てる。
 シェフを務めるのは國松正憲さん。全国展開のチェーンベーカリーなどでパン職人として働いてきた。「シュークリーム」などの本格的な菓子作りは、今回の同店オープンにあたって、初めて行うことになった。
 「『シュークリーム』の生地の絞り出しは、慣れるまで難しかったですね。菓子を作っていても、やはりパン職人の目線で捉えてしまうのですが、粉の風味までおいしく感じてもらえる『シュークリーム』にしたいと思っています。いつ購入しても、食感の軽さと風味の良さが味わえるように、ショーケースに入れた『シュークリーム』は、3時間を目安に入れ替えるようにしています」(國松さん)
 看板商品の「クロワッサン」(税込194円)や「バゲット」(税込432円)だけでなく、今のところ好調な売れ行きだという「アスパラチーズ」(税込238円)や、「サーモンときのこのタルティーヌ」(税込302円)などの焼き込み調理パンなども、一度に焼く量は少量にして、フレッシュな状態で提供できるよう努めている。
 「店側の都合で展開していかずに、お客様のニーズを第一にして、何をしていけばいいかを考えていかないといけないですね」(國松さん)

客の声を聞きながら商品を変化させていく

 オープンしてまだ間もないが、客の反応に合わせ、品揃えやパン1つひとつの大きさを変更した。
 「年配のお客様が多いこともあって、小さめにした方がよく売れるようになった商品もあります」(國松さん)
 ソフトでもちもちとした食感の「トマトとオリーブのフワス」(税込216円)は、オープン当初は現在の1・5倍ほどの大きさだった。小さくしてから、ソフトで食べやすいこともあり、年配客によく売れるようになったという。
 新たに作るようになったアイテムは、メロンパン。「メロンパン」(税込194円)や「チョコメロンパン」(税込216円)など、常時2〜3種類を揃える。また、ドーナツの品揃えに、客からの「リング型も欲しい」との声を受けて、「リングドーナツ」(税込173円)を加えた。



看板商品の「クロワッサン」(税込194円)
層1枚1枚の存在感を持たすため、折り込み回数は少なめ
売れ行き好調な焼き込み調理パンの数々
左は「チョリソー」(税込270円)、右は調理パンの中で1番人気の「アスパラチーズ」(税込238円)
女性スタッフが主体で働く厨房。背の低いオーブンで作業がしやすい
天井が高く開放感のある売り場。中央の平台には、主に焼き込み調理パンが並ぶ
女性スタッフ特有の力を活かしたパン作り

 同店のスタッフは、國松さん以外は全員女性だ。商品価値の創出について、女性スタッフたちがいるからこそ、得られる意見がたくさんあるという。
 「スタッフは皆パンが好きで、食べるのも好きです。そして商品を食べて意見をよく言ってくれます。例えば、『朝焼いたタルティーヌを夕方食べたらガチガチだった』とか。スタッフのほとんどが、パン製造未経験者だったのですが、常にフレッシュなパンを並べたいという思いの強さは自分と同じでしたね」(國松さん)
 スタッフらの、おいしい状態のパンを陳列することへの熱意は、元々備わっていたもののようで、國松さんの指示がなくても発揮されるという。
 製造は、國松さんを筆頭に常時3人ほどの女性スタッフが行う。生地の仕込みは國松さんが担当しているが、成形や焼成は女性スタッフらが主体だ。そのため、オーブンは背が低めで扉がガラス製ものを設置した。ガラス扉だと、外からでもパンの焼き具合を見ることができ、扉を開け閉めする作業の手間を減らせるという。
 実はオープン前から、スタッフは女性を主体にすると決めていたという。これまで色々な厨房で勤務してきた國松さんが、女性が働きやすい環境を考え、機材などを選定した。
 女性スタッフは、消費者目線で商品を分析することに長けているというだけでなく、製造面でも特有の力があるという。
 「女性はきめ細かな配慮ができますから、パン生地を触るときも、その扱いが細やかで丁寧ですね」(國松さん)

20年ぶりの渡仏で、焼いた翌日のパンの魅力に気づく

 國松さんは、生地を丁寧に扱うことの重要さを、長年の経験の中で、痛いほど実感してきたという。
 「昔、同じ材料を使っても、厨房の環境や生地の扱い方の違いで、パンの仕上がりにこんなにも差が出るということを体験し、目から鱗が落ちたことがあります。この思いを持ち続けて、パン作りをしてきました」(國松さん)
 また、最近20年ぶりにフランスに行って、パンの奥深い魅力を実感したという。
 「焼いた翌日の味わい方やおいしさが、身に染みました。20年前は気付けなかったことです。理屈ではなく、感性や、興味の度合いの強さが、パン作りには大事だと思っています。そういう意味で、女性スタッフたちは、今はまだ慣れないと思いますが、素直においしいと思えるパンを作っていけるのではないかと期待しています」(國松さん)
 看板商品の「クロワッサン」は、フランスで毎日のように食べておいしいと実感した製法で作っている。生地は1晩寝かせ、翌日バターを折り込み、3日目に焼成する。折り込み回数は少なめにし、繊細すぎず、層1枚1枚の存在感を感じることができるようにしている。
 「バゲット」と「バタール」は、材料も製法もまったく異なる。
 「『バゲット』はフランス式、『バタール』は日本式で作っています。日本にも、長い間愛されてきた味の『バタール』がありますからね。築き上げてきた日本のパンの味も、大事に受け継いでいけたらと思っています」(國松さん)

SHOP DATA
店名:ブーランジェリー ボンヌール・メゾン
住所:〒154‐0011 東京都世田谷区上馬1‐4‐9
電話:03‐3414‐8555
営業時間:午前9時〜午後8時
定休日:月曜
品揃え:パン65品目、菓子9品目
スタッフ:製造4人、販売3人
店舗面積:厨房15坪、売り場11坪、カフェ11坪
日商:平日13〜14万円、土日20万円



2階のカフェは、ゆったりくつろいでもらいたいという思いで、落ち着いた雰囲気にした



この記事の読みどころ

●客の声のポイントを捉え、商品に反映させていく。
●女性スタッフの意見を重要視する。
●焼いた翌日のパンのおいしさと味わい方を十分に考慮したパン作りを行う。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。

原価計算女王
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