記事の閲覧
| <<戻る | 写真をクリックすると拡大写真が見られます。 |
| 連載/2015年1月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| ただ居るだけで満ち足りる空間 - 一粒の麦から23(文・本行恵子) | |
|
仲間たちの自立を目指す職場
神奈川県、横浜市営地下鉄ブルーラインの下飯田駅の真ん前に、障がいのある仲間たちの働く場所として「小麦畑の石窯食堂ファール ニエンテ」がオープンしました。2014年11月15日、同所で行われたオープニングパーティーには、関係者が大勢集まり石窯から出た焼きたてのパンやピッツアで完成を祝いました。「ファール ニエンテ」とは、イタリア語で「なにもしない」ということを意味します。ただそこに居るだけで満ち足りる、そんな空間を目指す想いが込められています。 農家の土地を借り受けて造られた「小麦畑の石窯食堂ファール ニエンテ」は、「ベーカリー&レストラン」を中心に、緑豊かなガーデン、小麦と野菜畑、温室、収穫棟で構成されています。店内は車椅子でも自由に動けるバリアフリーで、駐車場もゆとりあるスペースが用意されています。 この施設は社会福祉法人「開く会」(神奈川県横浜市)が運営しています。1975年に理事長の鈴木正明さんが地域福祉に取り組むために設立した「んとすの家」が原点になっています。「んとすの家」は、「われら一同、多くの人に巡り合い、ともに生き、ともに育たんとする意志を持って、この家を築く」というモットーから生まれた名称です。当時は無認可の保育所や学童保育所の運営、また様々な理由で親と暮らせない障がいのある子供たちのお泊り会などを実施する養護施設の運営が主な活動でした。そして社会の中で生きることが困難な仲間たちのために、鈴木さんは自らの土地と家を提供し就労施設「共働舎」を設立しました。以来様々な活動を通じ神奈川県泉区と戸塚区に根差した福祉施設として、なくてはならない存在になっています。 地域の人々の憩い場所としても 「小麦畑の石窯食堂ファール ニエンテ」は、障がいのある仲間たちの職場としてだけでなく、その働きを地域の人たちに理解してもらう場所にもなります。仕事は、パン、菓子の製造販売、イタリア料理の調理、小麦や野菜の栽培と生産などで、「共働舎」で培った実績を生かし地域の人たちと一緒に育てていきたいと考えています。 正面に、丹沢大山国定公園にそびえる大山を望み、その先には遠く富士山も見ることもできるガラス張りのレストランは、天井が高くすべてがゆったりとした造りになっていて開放的です。ここに来ればおいしいパンと料理を楽しみながらくつろぐことができます。ピッツア、パスタもメニューにあり、近辺に食事ができる場所がなかった地域の人たちからも喜ばれています。ベーカリー部門は神奈川県のパン屋さんのグループ、NGBCメンバーの足立総次郎さんが責任者となり、ここで働く仲間と共にパンと菓子を作っています。ピッツアとパスタを提供するレストラン部門は、当面は「共働舎」の萩原達也施設長とクシザワ電機の澤畠雄哉さんが担当します。 仲間で祝う結婚式場としても 11月29日、「小麦畑の石窯食堂ファール ニエンテ」で人前結婚式を挙げたカップルが誕生しました。NGBCのメンバーである神奈川県のベーカリー「パン・ド・ナノッシュ」のオーナーシェフ、関谷勝美さ夫妻です。 鈴木正明理事長と会衆一同が立ち会う中で永久の愛を誓った後、仲間たちからお祝いのメッセージを受け幸せいっぱいの笑顔。 新しいスタートを切った2人の幸福を、参加者全員にお福分けしていただきました。 店内で行われたパーティーには、仲間たちが心を込めて作った料理とパン、ワイン、そして焼きたてのピッツアが次々と登場。 NGBC会長の高崎健人さんの乾杯の音頭で祝宴が始まり、素敵な結婚式に道行く人たちも一緒にお祝いする微笑ましい場面もありました。これからも様々なイベントを企画し、地元の人々に開放していきたいと考えているそうです。 本行 恵子(ほんぎょう けいこ) パンと食のライター。家庭製パン教室を10年間主宰した後、パン業界専門誌『B&C』の編集記者、編集長として勤務。16年間の在職中、日本各地のリテールベーカリーや欧米、アジア諸国を訪問し、パンと食文化を取材。現在はフリーの立場で、業界専門誌や企業ホームページでの執筆活動、業界関連団体への企画提案などを行っている。ライフワークは、パンのある食卓の提案。 |



2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。









