設備の充実が仕事の幅を広げる - ブーランジェリー ソルカノルカ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2014年12月号

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設備の充実が仕事の幅を広げる - ブーランジェリー ソルカノルカ
「ブーランジェリー ソルカノルカ」の外観。シンプルなデザインで、通りがかりではベーカリーだと気付かれなかったという。窓ガラスから見える位置にパンを陳列したことで、それが改善された
良い動線を確保し、十分な機械を配備した厨房
北欧のインテリアを取り入れたすっきりとした印象の店内。黒壁は黒板になっていて、店からの情報を伝える場となっている
オーナーシェフの杉本雄一さん(右)と販売担当の服部澄子さん
開業2年目から始めたサンドイッチ。「パストラミBLサンド」(税込330円)など。使用しているライ麦パンは、レシピを40回改良
1人で製造するために厨房機能を充実

 東京・練馬区の「ブーランジェリー ノルカソルカ」は、オーナーシェフの杉本雄一さんが1人で製造をこなしている。
 杉本さんは、「土曜日などは、製造が追いつかないですが」と話すが、多いときは、1人で12〜13万円分のパンを焼く。
 開業して3年が経つ。75品目を、1人で、開業当初から維持している。
 「最初から、製造は1人でやっていくつもりでしたので、厨房の機能を充実させることを重視しました。具体的には、良い動線を確保し、十分な機械を配備することなどです。機械に充てる資金は、人を雇った場合の年間コストを頭に入れて考えたりもしました。特に、生地などを保管するための冷蔵スペースは多めに用意しています」(杉本さん)
 冷蔵スペース用としては、冷凍庫と冷蔵庫、そして急速冷蔵庫、ドウコンを合わせて7台を配備している。その中には、家庭用冷蔵庫もある。サンドイッチなどの具材に使う野菜を保管する野菜室があるのが便利なのだそうだ。
 機械については、配備の充実を図るだけでなく、維持管理にも気を使っている。
 「パン作りに使う水は、浄水器でカルキを除去しているのですが、これは機械のためでもあるんです。ドウコンや窯などは、水に含まれるカルキで傷んでしまい、故障の原因になることが多いんです。また、業務用の冷蔵庫は、温度を0度C以下に設定して使用しています。それより高い温度だと、保存している生地からアルコールや炭酸ガスが出てしまいます。それらは、冷蔵庫にカビを発生させる原因になってしまうんです」(杉本さん)
 機械に対して手をかけるのは、スタッフを教育したりするのと変わらない。適切な維持管理を行って、最適な状態で使い続けることができるように努めている。
 近々、分割機も導入する予定だ。分割機で短縮できた分の作業時間を使って、焼き菓子を品揃えに加える予定だという。
 「開業して2年目からサンドイッチを始め、3年目から食パン、そして4年目からは、焼き菓子を始めようとしています。作業の効率化と厨房設備の充実が進むごとに、自分の仕事の範囲が広がっているのを実感しています。作れる量も増えていき、それに沿って売り上げも順調に伸びています」(杉本さん)



同店の一押し商品の「完熟バゲット」(税込180円)。細く長いタイプと太く短いタイプの2種類を用意
「完熟バゲット」の断面。クラムは大小様々な穴が、縁の方まであいていて、つやもある
かぼちゃを70%練り込んだ「トゥネリーナかぼちゃブレッド」(税込210円)
「トゥネリーナかぼちゃブレッド」の断面
「フランボワーズショコラ」(税込200円)
フォカッチャは「バジルとトマトとコーンのフォカッチャ」(税込190円)など。使用している生地は、カイザーゼンメルの生地を少しずつ変えていったらできたものだという
熟成と吸水率にこだわったパンづくり

 同店の一押し商品は、「完熟バゲット」(税込180円)だ。細長いタイプと、それより太く短いタイプの2種類を用意している。細い方は、クラストのガリガリとした食感を、太い方はクラムのしっとり、もっちりした部分を、それぞれ楽しめる。
 「当店のパンは、当日仕込みのものはありません。すべて最低12時間は熟成させた生地で作っていて、『完熟バゲット』は18時間生地を寝かせています。さらに4時間多く寝かせた『完熟バゲット午後焼き』(税込180円)もあります。キツネ色でうまみの強い『完熟バゲット』と比べると、『完熟バゲット午後焼き』は、赤味があって甘味が強いのが特徴です」(杉本さん)
 バゲットは、それだけを買いに、電車に乗ってわざわざ来店する常連客もいるほどの人気だ。広告は一度も打っていないので、口コミで評判が広がっている。
 日替わりの人気アイテムは、生地に具材を70%も練り込んだ商品。練り込む具材は、栗やかぼちゃ、こしあんなどだ。取材時の日替わりは、かぼちゃを練り込んだ「トゥネリーナかぼちゃブレッド」(税込210円)。口に入れると、かぼちゃの風味と甘味がふわっと広がり、まるでケーキを食べているかのような、しっとりとした上品な食感が楽しめる。
 「生地にかぼちゃなど、ペースト状の具材を大量に練り込む場合は、塩の配合に気を付けることが重要ですね。具材は、栗やかぼちゃなので、秋から春までの季節商品の予定だったのですが、お客様からリクエストがあり、年間通してやることになりました。非常にしっとりしていて食べやすいからか、夏の間も順調に売れました」(杉本さん)
 そのほかの菓子パン類も、しっとりとした食感が特徴だ。なかでも特に、「フランボワーズショコラ」(税込200円)は、ブリオッシュ生地を使用しているかのような、ソフトでしっとりとした食感だ。
 「菓子パンや食パンには、デュラム小麦の粉を配合しているんです。デュラム小麦はよく水を吸うので、吸水の良い生地になります。また、熟成させると甘味も出ます。吸水率は、菓子パンは70%、食パンは75%です。『フランボワーズショコラ』は、ブリオッシュのようなしっとり感がありますが、油脂は通常の半分、30%しか入れていないんですよ」(杉本さん)

開業当初からほとんどのアイテムが変化

 現在作っている75種類のパンのほとんどは、開業当初と異なっている。新商品と入れ代わった商品だけでなく、見た目は同じようでも、配合や製法が少しずつ変わり、食感や味が変わったアイテムもある。
 「パストラミBLサンド」(税込330円)などのサンドイッチに使用している、国産小麦、ドイツ産ライ麦、自家製サワー種を使用したライ麦パンは、配合や製法を40回以上改めている。
 「改善していく意味もありますが、自分が食べ飽きたら、それと同じで、お客様もきっと食べ飽きている頃だなと思うんです。毎日来店される方もいますから。常に、いろいろと試しながら作っています。開業当初から最も変わったのは、フォカッチャ生地です。実は、最初はカイザーゼンメルとして作っていたものなんですが、『こうしたらもっと良くなる』と、少しずつ少しずつ改良していって、気付いたらフォカッチャになっていたんです」(杉本さん)

SHOP DATA
店名:ブーランジェリー ソルカノルカ
住所:〒179‐0081 東京都練馬区北町2‐13‐11
電話:03‐5922‐3833
営業時間:午前8時〜午後8時(午後2時〜3時休業)
定休日:火曜、第2月曜
品揃え:75品目
スタッフ:製造1人、販売1人
店舗面積:厨房16坪、売り場5坪、バックヤード2坪
日商:平日7万円、土日12〜13万円







原価計算女王
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