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| 特集/2002年12月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| クリスマスの活かし方 | |
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間近に迫ったクリスマスに、ベーカリーがどんな企画を考えているかについて取材した。日々の業務に追われながらも、それぞれ、自店の特徴を出そうと、思い思いの企画を検討中だ。「ベーカリーらしいクリスマス」「自分らしいクリスマス」がキーワードになっている。
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| できることを着実に実践する。通常の仕事を犠牲にはしない - パン焼き人 | |
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1年の感謝をこめて作るシュトーレン
東京・目黒区の「パン焼き人」は、毎年クリスマスを「自分らしく」迎える。 クリスマス用の商品は、シュトーレンとローストチキンなどだ。 「シュトーレンは、お客様に対して『1年間ありがとうございました』という気持ちをこめて作ります」とパン焼き人オーナーの安井定義さんはいう。 半自家製のミックスフルーツを100%配合した生地400グラムでローマジパン80グラムを包んで、1300円(昨年)。原価率はほぼ5割という。 安井さんが仕事の合間や仕事が終わってから作る。手間賃は出ないそうだ。販売期間は12月15日から25日ぐらいまでで、毎年150個程度を販売する。 安井さんは「シュトーレンはだいぶ普及してきましたが、粗悪品が多すぎると思います。それと値段が高すぎるとも思います。手を抜かずにきちんと作っていかないと、『シュトーレンてこんな味』と思われてお客様にそっぽを向かれてしまうと思うんです」と話す。 石窯で焼くローストチキン ローストチキンの野菜詰もクリスマス時期の「パン焼き人」の定番だ。地鶏1羽に、キャベツ、にんじん、たまねぎ、ピーマン、しめじ、えのきだけなどの野菜をたっぷり詰め込んで、石窯で焼く。野菜はカットして、少し炒めてから詰める。味付けは塩、胡椒だけ。地鶏に詰めて焼くと、肉汁をたくさん吸って、なんともいえない味になるのだという。 「この味は石窯じゃないと絶対に出ないと思います。それと通常の電気やガスのオーブンで焼くと、油が飛び散って、匂いが窯に移ってしまいますので、注意が必要です。石窯で焼くと、油も飛び散らないし、鶏に旨みが封じ込められるんです。石窯ならではのローストチキンです」 このローストチキンとシュトーレンのセットをクリスマス用商品として5300円で販売。毎年11月25日ごろから予約を取り始める。告知は、店頭に貼り出した小さなポスターのみ。「1日10セット限定なので、それほど多くの注文はこなせないし、本当に価値を見出してくれるお客様に確実に提供したいと思っているんです」と安井さんはいう。12月20日から25日ぐらいにかけて、約50セットを販売する。 ラップといちごのタルト いちごのタルトもクリスマス用の商品だ。直径約21センチのタルト台にいちごをたっぷりとトッピングする。こちらの方はまさしく「知る人ぞ知る」商品で、告知は一切しない。「パン焼き人」の上得意客だけが注文する。 今年のクリスマスに発売する商品もある。「ラップ」だ。細かく切った長ねぎを練り込んだ生地を薄い円盤状に焼き上げた製品で、客はそれで様々な具を包んで食べる。和洋中いずれの料理にもよく合うそうだ。 「あるときテレビをみていたら、中国の餅(葱油餅=ツォン・ユー・ピン=ネギ入りパンケーキ)という食べものが紹介されていたんです。これに触発されて開発しました」と安井さん。 クリスマスパーティー用としてデビューさせる予定だ。 クリスマスの苦い思い出 東京・新橋の第一ホテルで、パンと洋菓子作りを担当していた安井さんには、クリスマスの苦い思い出がある。 「毎年、街がクリスマスの雰囲気になってくると憂鬱な気持ちになりました。『また今年も修羅場の季節がやってきた』ということなんです。クリスマス前10日間は、クリスマスケーキや、パーティーのデザート作りなどで大忙しで、もう寝る暇もありませんでした」と振り返る。安井さんは今でも、早い時期から店内をクリスマスの雰囲気にするのをいやがる。条件反射。 安井さんは、クリスマス用の商品を製造販売することで、通常の製品が少しでもおろそかになってはならない、と考えている。 「洋菓子屋さんは、クリスマスの時期はクリスマスケーキ一色で、他の商品は二の次というケースも多いと思いますが、ベーカリーの場合は幸か不幸か、クリスマスケーキに匹敵するような商品がありません。例えあったとしても、通常業務を犠牲にしてまで、クリスマス用商品を作ろうとは思いませんね」 基本に忠実に、手を抜かずにできることをしっかりと見極めて、派手になることなく、着実に実践していくのが「パン焼き人」流なのだ。 |

| クリスマスは非日常を演出する絶好の機会 - ラ・フーガス | |
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パーティー用のサンドイッチ
東京・世田谷区のラ・フーガスには、毎年クリスマスの時期になると、パーティー用の特製サンドイッチの注文が多く入る。大きな平たい円柱状のパンを焼き、中をくり抜いて、器にする。 くり抜いた中身は、サンドイッチ用のパンに使う。フランス語で「パンシュープリーズ」と呼ぶ製品。パン生地で「クリスマス用のメッセージ」を作り、大きな円柱上のパン生地の上面に貼り付けて焼き上げる。横にカットして、その部分がそのまま器の蓋になる。その大きなパンをくり抜いた器に、サンドイッチを4段に詰める。 はさむ具材は、カマンベールチーズ、シャンピニオン(炒めたマッシュルームにサワークリームをあえたもの)、生ハム、スモークサーモンの4種類。 大きな平たい円柱状のパンは、白生地とブルーベリー生地がマーブル模様のなったものと、ライ麦粉入りの生地を焼き上げたものの2種類がある。大きさも2〜3人用の5号(2800円)から10人以上用の10号(1万2000円)まで、5種類ある。 クリスマス用に毎年、100固程度を販売している。 12月に入ると、店頭にポスターを貼りだし、告知する。また、毎月出しているリーフレットでも告知する。 昨年のクリスマスの時期に最も多く注文が入ったのは、6号(3〜4人用、3800円)と7号(5〜6人用、5000円)の大きさのものだった。 基本的に、注文主が店までとりに来るシステムだが、クール便の宅配でも対応する。 クリスマス時期以外も販売していて、1カ月で2〜3件の注文が入るという。 ラ・フーガスオーナーの仁礼正男さんは「こういう商品は1人で食べることはないので、口コミになりやすいと思うんです。例えば、友達のパーティーで食べたりして、頭の片隅に残っていて、何かの機会に思い出す、といったことが多いのではないかと思っています」と話す。 フランスパンがよく売れる ラ・フーガスで、クリスマスに通常の3倍売れるパンがある。フランスパンだ。 「パーティーで食べるのだと思いますが、よく売れますね。これ以上作れないぐらい作っても売り切れます。不思議とリュスティックなどほかの食事パンは売れないんですよね。とにかくバゲットやバタールなんです」と仁礼さんはいう。 シュトーレンの販売にも力を入れている。毎年11月末に作り始め、積極的に試食を提供して、普及に努めてきた。 仁礼さんは、普段から季節感を大切にしている。春夏秋冬それぞれの旬の素材をあしらった様々なパンを作り、売り場に華を添えてきた。そんな仁礼さんにとって、クリスマスは季節を演出する絶好の機会だ。 「ベーカリーにとって、お客様の日常に入り込むことが最も大切なのですが、そんななかで、クリスマスはお客様にいつもと違う雰囲気を味わってもらえるという意味でちょっとした非日常を演出するいい機会なんです」 |

| 職人の名にかけてシュトーレン。地域を盛り上げるためにも - パンドミ
飾りパンのリースを今年初めて販売
大阪府泉北郡のベーカリー、パンドミは、今年初めて、クリスマスに飾りパンのリースを販売する。顧客の家庭でクリスマスパーティーを盛り上げてもらう狙いだ。 飾りパンの生地を細長くのばして、3つ編みまたは5本編みにして、リースの土台を作り、同じく飾りパンの生地で作った様々な飾りを取り付けて焼き上げる。 サンプルを作って、12月上旬から店内に陳列し、予約をとる。 価格はまだ決めていないが、パンドミオーナーの中野清次さんは「高くても1000円まででしょうね」と話す。 シュトーレンも作る。生地重量300グラムで500円とリーズナブル。12月上旬から作り始めて、翌年の2月初旬まで店頭に並べる。製造は週2回行ない、製造日から3日間店頭に並べる。ただ、12月20日ぐらいまでは比較的コンスタントに売れるが、クリスマスになると、クリスマスケーキなどにおされて、販売量は少なくなるという。 「シュトーレンは、それで売上をとるというより、『ベーカリーの名にかけて』というか、クリスマスの時期にベーカリーにシュトーレンがないというのも寂しい、ということで作っています。パン職人としてのプライドもありますしね」と中野さんはいう。 いちごをあしらった菓子パンが売上の柱 12月から年明けにかけて、中野さんが毎年期待をこめるのは、いちごをあしらった様々なパンだ。シュー生地とデニッシュ生地を組み合わせて焼き上げ、いちご、生クリーム、カスタードクリームをたっぷりとサンドする「シュケット」や、いちごをあしらってケーキ風に仕上げる様々な菓子パン類は、毎年この時期の売上の柱になっているという。 中野さんは「ケーキ屋さんのように、クリスマスの時期に売上が一気に跳ね上がるということはありません。せいぜい通常の2割増しといったところです。クリスマススにいろいろとやろうと思うのは、地域を盛り上げるためですね。商店がクリスマスに何もしなかったら、寂しいと思いますから」と話す。 |

| クリスマスケーキに大忙し。バゲットやバタールが人気 - サンメリー | |
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およそ2万台のクリスマスケーキ
リテールチェーンのサンメリーは、クリスマスはデコレーションケーキの製造販売に大忙しだ。首都圏を中心に合計で35ある各店舗で、12月1日から店頭にポスターを貼り出したり、実物の見本を置いたりして、予約をとる。各店舗の近隣地区でチラシのポスティングなども行う。 また、同ベーカリーの会員合計約4万人にダイレクトメールを出す。 クリスマスケーキは、本社工場で一括して製造し、販売する日に各店舗に運ぶ。 12月全店合計で、およそ2万台のクリスマスケーキを販売するという。 小ぶりのシュトーレンも12月中旬からクリスマスにかけて投入する。「比較的軽いタイプのシュトーレン」(同ベーカリー担当者)で、ひとつ150円。 また、クリスマス時期にチョコレートの詰め合わせギフトも販売する。 一方、毎年クリスマスになるとフランスパンが普段の3倍は売れるという。 「クリスマスには洋食が食卓にのぼる家庭が多いということだと思います。同じハード系の食事パンでもバゲットやバタールなどのフランスパン以外は、売上が伸びることはないようです」と同ベーカリー担当者。 |
| 自分で簡単に作れる手作り感溢れる販促ツール - ラッピング講師・坂本洋子さんの話
発砲スチロールボードや卵を利用して
私は主にお菓子のラッピングのコーディネートに関わってきたので、その立場からお話ししたいと思います。 例えば、「クリスマスケーキの予約をしています」ということを伝えるには、色付きの発砲スチロールボードで、文字を切りぬいてメッセージボードを作るという方法があります。 パン屋さんの場合は、シュトーレンをクリスマスの商品として販売することが多いと思いますが、その予約受付けにも使えると思います。 文具店に行くと、様々な色が付いた発砲スチロールのボードが売っています。そのボードから文字を切り抜くのです。 ます、雑誌やカタログなどに印刷されている文字で、ご自分が気に入ったものをコピーします。そして、コピーした文字の上を4Bの濃い鉛筆でなぞり、発砲スチロールのボードにプリントします。それをカッターで切り抜いていきます。電動カッターを使うと楽に切り抜けます。 ポップの文字を書くのが苦手な人には、とてもいい方法だと思います。1文字ずつ色を変えてもいいですし、フレーズごとに色を変えてもいいと思います。 私があるケーキ屋さんのための仕事をしたときは、白のベースに、赤、緑、黄色の文字をボンドで貼っていきました。ヒイラギやツリーなどの飾りをあしらって、仕上げました。 手作り感に溢れる販促ツールになるのではないかと思います。ちょっとした工夫で商品の売れ行きも変わってくるものです。 パンの材料として使う卵を使ったオーナメントもおもしろいと思います。 卵といっても中身ではなく殻を使います。卵に小さな穴をあけて、殻を壊さないようにして中身を抜き取ります。補強の意味で卵の表面に透明の塗料を塗ります。 好きな絵柄のラッピングペーパーを用意して、卵に貼っていきます。卵をラッピングペーパーで包むのではなく、ラッピングペーパーの絵柄に合わせた大きさに切って、貼りつけていくのです。 部分的に卵の殻の地が出ているのも、温か味があっていいと思います。穴をあけた部分にいろいろな飾りをあしらって、穴を隠します。 鶏卵だけではなく、うずらの卵やアヒルの卵で作ってもおもしろいと思います。これをクリスマスツリーに飾ると、とてもいい感じになるんです。 クリスマスはパン屋さんにとって、大きな販促の機会のひとつだと思いますので、手作り感に溢れ、温もりのあるツールをご自分で作って、店の雰囲気を盛り上げてほしいと思います。(坂本洋子=ラッピング講師) |
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