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| 海外情報/2002年12月号 |
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| アメリカのアーティザンブレッドのその後――成熟期に入った昨今を見る - 高橋秀直=(株)パンワールド代表取締役、海外情報研究会主宰 様々な分野で台頭するアーティザンブレッド アメリカのアーティザンブレッド
今まで本誌でもアメリカの手作りパン「アルチザン ブレッド」に関するニュースをお知らせしてきたが、さて昨今はどうであろうか。最新情報をまとめてみた。なお日本ではヨーロッパ風にアルチザンと発音するが、アメリカに渡ると英語読みでアーティザンとなるので、ここではそのようにしておく。 さてアメリカの製パン業界市場規模はおおよそ6兆5000億円前後であるが、そのうちブレッド類の今年度年商は推定で62億ドル(約8000億円)である。 アメリカの総人口は日本の2倍であるが、製パン市場の年間売上額をみると日本の約4倍であるから、実質的にはアメリカは日本の2倍の市場規模であると思われる。ただし、アメリカの場合はいわゆるケーキ類の売上も統計に含まれている。 アーティザンの定義パーベイク方式も台頭 そのブレッド類の伸び率は約4%であるが、問題はその内容である。今回のテーマである、いわゆるアーティザン ブレッドは伸びているのであろうか? ちなみにこのような種目は統計に出てこない。資料を調べてみると目に付くのは次のような呼び方である。 ▽クラスティ ブレッド(クラストの硬いブレッド) ▽スペシアルティ ブレッド(特化されたブレッド) ▽ノン・ホワイト ブレッド(ホワイト ブレッド以外のブレッド) ▽ブラウン ブレッド(茶色のブレッド) ▽バラエティ ブレッド(白パン以外の各種のブレッド) ▽ヨーロピアン ブレッド(欧州風のブレッド) つまりアーティザン ブレッドという名称も含めて、定められた呼び名はないということだと思う。 筆者の考え方は「従来からあるホワイト ブレッド」以外のクラスティ ブレッドをアーティザンと呼んでいいと思う。さてアーティザンの本来の意味は「手作り」であるので、アーティザン ブレッドは「手作りパン」ということになる。 ところが最近は大型製造ラインで大量生産する「アーティザン ブレッド」が特にパーベイク方式で台頭しているから、ややこしくなってきた。そこでアメリカの主だった製パン技術者が集まり「アーティザン ブレッド」の定義をまとめたという。 彼らの主張は(1)厳選された材料を使う(2)無添加(3)発酵時間が長いこと、である。つまり手作りという条件は必要ないというのだ。ただ、実際にはこれらの3条件を備えた上でパンを作り続けるということは、必然的に手作りでパンを作ることにもなるというのが彼らの主張だ。 絶対量はまだ少ないが高い伸び率をキープ さて、ブレッド類の売上の中でアーティザン ブレッド類の占める売上はどのくらいであろうか? 今年度の売上額は約1億5000万ドル(約190億円)と推測される。つまり前述のブレッド類の売上総額の中でたった2・4%を占めるにすぎないわけで、まだまだマイナーな商品であることがわかる(つまりホワイトブレッドなどの従来の商品が今なお主流)。ところが年間伸び率は約20%というから、今後は間違いなくトレンドの主流にのることと思われる。 それでは、このようなアーティザン ブレッドの隆盛を支えるものは何であろうか? 筆者も今までは「ホワイト ブレッドに飽きた消費者がベーカリー店頭で目新しい商品が欲しいという要求に対応していること」が高い伸び率の原因であると思っていた。 もちろんスーパーマーケットにおけるベーカリー販売戦略の一つとして、アーティザン ブレッドは特化商品の主力と考えて間違いではないが、実際に各種の資料やニュースを調べてみると、次のようなことがわかってきた。 レストラン業界が競ってアーティザンを導入 レストランといってもファストフードではなく、ウェイターがいるテーブルサービス レストランのことである。ウェイターによってテーブルに案内されたお客がメニューを見て決める食事であるが、今までのような飲み物の選択に加えて、最近は「食事に合う美味しいパン」を求めるお客が増えているという。 ちなみに日本でいうファストフード店舗は、アメリカでは正式にはQSR(クイックサービス レストラン)と呼ぶ。 一例として全米にステーキハウスを展開している有名な「Mortons(モートンズ)」では、ステーキに合うパンとして「オニオン入りポテトブレッド」を1店舗で毎週5000個ずつ、契約したベーカリーから仕入れてテーブルに出しているという。 このように他店との差別化を図ろうとするレストランは選別したアーティザン ブレッドにより、お客に満足してもらおうというのが最近の傾向である。 サンドイッチ業界もアーティザンに注目 サンドイッチ業界を含むフードサービス市場は、これまた競争が激しい。日本でも日の出の勢いで伸びていた「スターバックス」チェーンも今年になって初めて赤字とかで、出店規制をしている。 その一方でアメリカのサンドイッチ業界市場規模は約150億ドル(約1兆9000億円)というから、日本の製パン業界を凌ぐサイズだ。 そのサンドイッチ業界も大衆路線を行くチェーンから、パンや具の種類をお客に個々に聞きながらサンドイッチに仕上げる方法をとる「サブウェイ」のようなチェーンまである。 ちなみにニューヨーク市内にはこのような注文作りのサンドイッチが以前から存在した。あたかも洋服の仕立てのようなので、このような商品を「テーラード サンドイッチ」と呼んでいる。 その商品コンセプトを見ると、これは単なるサンドイッチの域を出て、もう料理の世界であると思われる。人によってはデリやグルメの上を行く「セイボリー サンドイッチ」であるともいう。 次ページ掲載の写真で紹介したニューヨーク市内にある有名ベーカリー「エミーズ ブレッド」では、ご自慢の自家製パンを使った調理サンドイッチが人気である。そのメニュー例を紹介する。 ☆セモリナ・レーズン/フェネル ブレッドに、ローストターキー、レタス、クランベリー、マヨネーズ ☆ポテト・オニオン・ディル ブレッドに、グリルしたハムとスイスチーズ、ディジョンマスタード、マヨネーズ ☆オーガニック全粒粉ブレッドに、アボガド、トマト、レタス、レモンオイル、白豆ピューレ ☆フレンチバゲットに、ゴートチーズ、トマト、ナス、黒オリーブ、タペンデール、タイム ☆タスカン(トスカーナ)サンドイッチ(フェンネルサラミ、プロシュート、ジェノアサラミ、プロボローネ、レタス、トマト) ☆パニーニ(ソフトなイタリアンロールに、ハム、フォンタナチーズ、マヨネーズ) ☆バゲットロールに、ブリーチーズ、トマト、ビネグレット ☆セモリナ黒セサミロールに、ツナサラダ、マヨネーズ、レモン、セロリ、チャイブ(小ねぎ) ☆黒オリーブフィセルに、モッツァレラチーズ、トマト、バジル、オリーブオイル、赤ワインビネガー ☆オーガニックミシェに、ベジタブルミシェ、キャロット、ブロッコリー、スプラウト ☆サンドイッチロールに、ツナサラダ、チェダーチーズ アーティザンブレッドはインストア差別化の主流 アーティザン ブレッドは、今までのような商品導入テスト時期を経て、専門メーカーからの供給が本格化しつつある。その商品例を紹介する。 ▼ポテト・チャイブ ブレッド ▼キャラウェイ・ライ ▼アップル・シナモン・ミューズリー ▼チョコレート・チェリー ▼ブラック・グリーンオリーブ ▼ハニー グレイン ▼サンドライ トマト ▼クランベリー・ウォルナッツ ▼トマト・パルメザン チーズ このようなアーティザン ブレッドの流行の波がアメリカで起こって3年ほど経過したが、美味しい料理と飲み物に組み合わせることによって、新しい道が開けたようである。 今後どのような商品が生まれてくるかが楽しみである。 |




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