国産素材を使用した丁寧なパン作り - 麦ばたけ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2014年9月号

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国産素材を使用した丁寧なパン作り - 麦ばたけ
「国産」にこだわったパン作りをする宮下創さん
シンプルな佇まいの「麦ばたけ」の外観
激戦地にあっても特徴活かし自然体で
 東京・目黒区、東横線学芸大学駅周辺には10店舗近いベーカリーが、パン好きたちを引き付ける。いわゆるベーカリー激戦地といえそうだ。
 この「激戦地」となった学芸大学駅前の東口商店街を歩くことおよそ5分。商店街を抜けてすぐの交差点の左側に目指す「麦ばたけ」はある。この商店街にはリテールベーカリー2店舗が営業する。そのうちの1店舗は全国展開する有名店だ。加えて、商店街付近にもう1店舗評判の店がある。
 2006年11月1日に「麦ばたけ」をオープンした店主の宮下創さん(42歳)は、18年のベーカー経験を持つベテラン。宮下さんに当地のベーカリーの多さについて尋ねると「オープン当初よりベーカリーは確かに増えています。大変ですけど、各店舗それぞれに特徴がありますから、すみ分けは出来ていると思います。パンへの考え方、作り方、使う素材も異なるのではと考えると、差別化は自然に出来ているのではないでしょうか」と語った。



大切な乳製品、油脂、卵不使用の商品
 同店の商品は北海道産小麦から生み出される。使用酵母は市販される2社の天然酵母。そこから誕生する商品群は約30種類。今の季節商品は、自家製の具が入った「カレーパン」(税込200円)。辛さも丁度よく、飽きのこない味だ。「プラムのブリオッシュ」(税込160円)は、生地に果物の味がしっかり染み込んで、さっぱり感を演出。「夏野菜とトマトソースのカルツォーネ」(税込250円)は、たっぷりの季節の野菜が満腹感を誘う。
 麦ばたけの大きな特徴の一つは、乳製品、油脂、卵を使用しない商品が数多くあることだ。「手ごねパン」(税込160円)もその一つ。小麦粉と塩、若干の砂糖に2種類の天然酵母だけで作る。このパンの特色は、ミキサーを一切使用しないこと。小麦粉の味と香りがしっかり楽しめるそうだ。ざっと作り方を示すと、まず全ての材料を手でかき混ぜる。次に生地の折りたたみを数回実施後、休ませる。これを繰り返した後、出来上がった生地を冷蔵庫で寝かせる。焼き上がったパンは柔らかく、ナイフで切るより手でちぎったほうが食べやすそうだ。1日15個限定。中々手に入らないという客もいる。
 同様な材料と方法で作る「バゲット」(税込230円)は、レストランからも注文が入るので手捏ねというわけにはいかないから、ミキサーを使う。甘さを引き出した商品。「丸パン」(税込200円)も小麦粉と塩、砂糖、天然酵母だけで焼き上げたもの。「パンドミ」(1斤税込310円)と同じ生地だが、これは直焼きした商品だ。噛みしめていると、十分に小麦の香りが楽しめる。この他に生地の色と風味が食を進ませる「かぼちゃロール」(税込85円)などがある。

プラムの甘酸っぱさとアーモンドクリームがマッチした「プラムのブリオッシュ」
自家製の具材がたっぷりの「カレーパン」
じっくりと小麦の香りが楽しめる「丸パン」
手で静かに捏ねた「手ごねパン」。小麦の味が生きている
平台には、乳製品や油脂などを使わない3種類のパンが並ぶ。前列左から「手ごねパン」「バゲット」。後列左が「丸パン」
しっかりした噛み応えがある「かぼちゃロール」。乳製品、卵、油脂いずれも不使用


冷蔵庫で寝かせることで甘みを引き出した「バゲット」
夏野菜がたっぷり入った「夏野菜とトマトソースのカルツォーネ」
バターの風味が生きた「バターロール」。卵不使用



「麦ばたけ」の店内。商品は主にこちらの棚に並ぶ
ジャムの販売にも力を入れている。瀬戸内海に浮かぶ周防大島のメーカーのジャムを販売している
3坪の売り場だが、レイアウトを工夫してできるだけゆったり感を演出
パンは農業につながる食の仕事
 宮下さんが国産小麦と天然酵母でパン作りを始めた切っ掛けは、東京・目黒区内にある「ソラ」(本誌2014年1月号掲載)に出合ったことだという。食べたパンが美味しく、作ってみたいと思ったそうだ。
 宮下さんは、大学を卒業すると都内で会社員として社会人のスタートをきった。しかし、漠然と持っていた農業への興味を捨てがたく、脳裏を離れることがなかった。そのため1年ほどで会社を辞すると、北海道で農業のアルバイトを始めた。働いてみて、改めて農業に取り組むことの難しさを知ったという。その後、長野県の安曇野で働いていた頃に偶然スーパーのインストアベーカリーを知り、パンの世界へ一歩踏み込んだ。でもパンに興味があったわけではない。食べることは、農業にも通じると思ったに過ぎない。しかし、6カ月を過ぎるころには、パン作りの面白さを覚えた。この仕事は一生涯取り組めると思い、出身地の東京へ戻り、本格的な修業を始めた。
 東京の最初の修業先は品川区内のベーカリー。約3年間基礎から学ぶことが出来た。次いで、渋谷区内の著名なベーカリーへ。ここでの3年間の修業中に国産小麦でのパン作りが話題にのりはじめた。店の先輩は国産小麦でのパン作りには否定的だったが、「挑戦してみたい」と思ったころに出合ったのが前述した「ソラ」のパン。「日本のパンは、自国産の小麦を使って作るのが本筋ではないか」と宮下さん。
 その考えを実践するために次の修業先に、横浜のオーガニックスーパーが経営するベーカリーを選択。ここで、初めて、国産の小麦粉と市販の天然酵母に出合った。5年を経た後、かつての同僚が経営していたベーカリーを居抜きで購入した。それが、現在の「麦ばたけ」だ。

子供達に安心な商品を提供していきたい
 店はオープンして8年目になる。18年というベーカーとしての経験のうち、多くの期間を国産小麦に関わってきた。それだけに、国産小麦粉の性質を生かした無理のない商品作りを実践してきた。また、オーガニック素材を扱うベーカリーで学んだことを生かして、多くの子供たちに、安心してパンを食べてもらいたいとの思いから、乳製品、油脂、卵を使わない商品作りも開店以来続けている。それを知ってか、子供のアレルギーを気づかう親ばかりではなく、なかには、実際にアトピー性皮膚炎と診断された子供を持つ親も乳製品などを抜いた商品を買い求めるという。
 いつの間にかベーカリー「激戦地」となった当地で、宮下さんはこれまでどおり、丁寧なパン作りを続けていこうと考えている。

SHOP DATA
店名:麦ばたけ
住所:〒152−0001東京都目黒区中央町1-17-13
電話:03−5722−0437
営業時間:午前11時〜午後7時30分
定休日:水曜、第1、3、5木曜
品揃え:30品目
スタッフ:製造1〜2人、販売1人
店舗面積:厨房11坪、売り場3坪



原価計算女王
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