大阪の名店シェフがプロデュース - キャニス・ミノール - ブランスリー電子版

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お店拝見/2014年5月号

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大阪の名店シェフがプロデュース - キャニス・ミノール
パンの博物館のような売場。選ぶ楽しさやワクワクとした気持ちが湧いてくる
パンデュース、米山雅彦氏の思いを引き継いだ熊田和弘シェフ
新鎌ケ谷駅前の新スポット、MoisTourビルの1階にある「キャニス・ミノール」。2階にフレンチレストラン「キャニス・マヨール」とライブハウス「エムティー・ミリーズ」がある
関東に進出した「パンデュース」の味
 素材や製法にこだわった独自の店鋪展開が注目を集める大阪のベーカリー「パンデュース」の米山雅彦シェフがプロデュースする新店がついに関東に現れた。その名は「キャニス・ミノール」。場所は、千葉県鎌ケ谷市内の新興住宅地に位置する新鎌ケ谷駅前に新しくできた商業ビルのMoisTourビルだ。同ビルのオーナーでミューミル(千葉県鎌ケ谷市)の小川智美社長が米山氏にプロデュースを依頼する形で始まった。2階のフレンチレストラン「キャニス・マヨール」とライブハウス「エムティー・ミリーズ」と同時に2月1日にオープンした。
 北総、新京成、東武の3つの路線が交差するこの地域で、米山氏の思いを引き継ぐパンを生み出すのは、伝統的な製法によるバゲットやクロワッサンで有名な「メゾンカイザー」や、フランスのパン職人がプロデュースする「ゴントランシェリエ」などでのシェフの経験を経た熊田和弘シェフだ。
 「この地域の需要に関しては、まだ模索中ですが、2月のオープン以来、食への意識の高い方達が予想以上に多くいるのではと思うようになりました」(熊田シェフ)
 同シェフがそう話すのも実は、同店でパンと一緒に販売する高品質なコンフィチュールや乳製品にも動きが見られるからだ。
 「少々値がはるので厳しいと思っていましたが、意外に売れています。高級嗜好一辺倒ではなくても、素材や味わいにこだわりをもたれている方が、一定の割合でいるのではと思いました」と熊田シェフは話す。
 同シェフは「都心まで行かなくても、自分の家の近くで遊びたいという思いや、特別においしいものを食べたいという気持ちが満たされる場所としての需要が高まってきているのではないかと思います。当店としては、そのあたりを2階のレストランやライブハウスとの相乗効果も兼ねて掘り起こしていければ」と意気込みを見せている。
 新鎌ケ谷駅周辺は都心まで1時間以上かけて通勤する住民が多く、ベッドタウン的な色が強い。しかし同駅は、鉄道3路線が交差する地点のため、他の近隣ベッドタウン地域の住民が近場で立寄りやすい場所でもある。新興住宅地として今後の発展が期待される場所だ。
 定期的に同店を訪れているというプロデューサーの米山氏は取材時にも来ていた。やはり既存の需要を取り込むのではなく、新しいトレンドを提案していくことに期待したいという。
 「基本的には、パンデュースで積み重ねてきたことを、ここで再現するとどうなるか、という実験的な気持ちがあります。既存の需要はここではチェーン展開の店鋪に流れていると思うので、うちらしさを出す事で差別化していきたいですね」(米山氏)




石壁に囲まれ木製の平台が並ぶシンプルでスッキリとした内装はナチュラルさを醸し出す
全粒粉、ライ麦の生地にチーズとミニョレットを混ぜ込んだ「チーズの小枝」(税込160円)
ト状にして練り込んだ天然酵母の「フィグ」(税込210円)
ハード系の生地にナツメヤシの実とクリームチーズの総菜を取り入れた「無添加クリームチーズとデーツを包んだ田舎パン」(税込210円)
ブリオッシュ生地にセミドライフルーツをのせた「もりたくん」(税込170円)
サクサクのレンコンをのせた「レンコンとアンチョビのガレット」(税込250)
素材のマリアージュがパンの物語を語る
 同店は全粒粉なども含め100%国産小麦を使用。もともと関西のパンデュースは素材へ強いこだわりを持つことで知られるが、その姿勢はこちらでも踏襲させている。
 また、素材そのものだけではなく、素材同士のバランスも重視している。この店では、1つ1つのパンに個性があり、それぞれに物語がある。
 「野菜などを入れた総菜パンでは、その野菜が抱える個性をパンで引き出せるように心がけています。この場合、主役はパンではなく野菜です。パンは名脇役としていかに役割を果たしていけるかが重要です。また食事と合わせたパンの食べ方提案も必要ですが、パンだけ食べても楽しめるよう、パン一つで完成された個性を大切にしています」(熊田シェフ)。
 品揃えをみると、ハード系の生地にナツメヤシの実とクリームチーズの総菜を取り入れた「無添加クリームチーズとデーツを包んだ田舎パン」(税込210円)、ホワイトソースにレンコンをのせた「レンコンとアンチョビのガレット」(税込250円)、全粒粉、ライ麦の生地にチーズとミニョレットを混ぜ込んだ「チーズの小枝」(税込160円)など、具材と生地の組み合わせだけではなく、具材同士のマリアージュも精巧に考えられた商品が並ぶ。
 また、全粒粉とライ麦の生地に甘く煮たさつまいもを入れた「おイモくん」(税込210円)、セミドライのいちぢくをペースト状にして練り込んだ天然酵母の「フィグ」(税込210円)など具材をかたどったものもあり遊び心が窺えた。
 また商品1つ1つにポップに書かれた説明がしっかりついており、まるでパンの博物館のよう。選ぶ楽しさやワクワクとした気持ちが湧いてくる。
 店の雰囲気も石壁に囲まれ木製の平台が並ぶシンプルでスッキリとした内装はナチュラルさを醸し出し、店鋪BGMは2階のライブハウスに時折演奏にくるアーティストが奏でる心地良い音楽だ。パンを買うだけでなく、その場所に通う事を楽しめる空間となっている。
 「お店と一緒にパンも成長しますが、同時にお客様もパンのことを知る事で成長していかれるような、そんな店であって欲しいです」(熊田シェフ)。

パン作りで出会った人をリスペクトする
 「パンデュースでは地元農家と契約し、その季節季節で頂いた野菜を使ったパンを作っていますが、こちらでもそうしたやり方を進めていきたいと思っています」(熊田シェフ)。
 同店では契約農家とのルートをまだ模索中で、「今後もっとネットワークを広げていくつもりです。地域に親しまれる店鋪を目指し、これからですね」と熊田シェフは話す。
 オープンして間もない現在はまだ、パンデュースで販売するパンのルセットをそのまま再現している状態だが、今後はキャニス・ミノールのオリジナル商品も増やしていきたいという。
 商品の中で一つ気になるものがあった。ブリオッシュ生地にフランス産セミドライフルーツをのせた「もりたくん」(税込170円)だ。聞くと、同商品の具材のドライフルーツを輸入している会社の担当者が「森田君」なのだそうだ。「素材提供者に対するリスペクトです。買って下さるお客様は勿論ですが、その他の関わりも含め人との『縁』を感じますね」(熊田さん)。 素材への思いは、それによってつながった人に対する感謝の気持ちにもつながるが、それは大阪でも関東でも変わらないようだ。パンデュースから続いた多くの縁が今後この地でさらに広がろうとしている。

SHOP DATA
店名:キャニス・ミノール
住所:〒273-0107
千葉県鎌ケ谷市新鎌ケ谷1‐
16‐1 MoisTour1階
電話:047‐401‐6601
営業時間:午前7時30分〜午後8時
定休日:火曜日
品揃え:80品目
スタッフ:製造3人、販売7人
店舗面積:売場14坪、厨房36坪






原価計算女王
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