店が安定すると販促の重要度が増す - パッパ グラッセン - ブランスリー電子版

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お店拝見/2014年2月号

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店が安定すると販促の重要度が増す - パッパ グラッセン
店の外観。取材時は雨が降っていたが、店内のほのかな灯りがクリスマス前らしい雰囲気を醸し出していた
オーナーシェフの長岩崇之さん
「リスドオル発売40周年記念パンレシピコンクール」で準大賞を受賞した「ディモンシュ」(150円)。菓子パン類では一番の人気商品という
入ってすぐ目に入る位置に5種類の食パンが並んでいる
名店で修行しみるみる頭角を現す
 神奈川県藤沢市、小田急江ノ島線・六会日大前駅の西口からほぼ北方面に5〜6分歩いた閑静な住宅街の中にあるベーカリー「パッパグラッセン」。近くの藤沢街道から分岐した車などが走る道路沿いにひょっこり佇んでおり、岩穴の洞窟のような風変わりなデザインの外観が道行く人達の目をひく。この店は2012年の9月22日にオープンした。オーナーシェフの長岩崇之さんは「この地域で共に育った同級生が設計してくれたんです」と話す。
 長岩さんが「自分が好きなことを生かし起業をしたい」と考え、パン職人になることを決意したのは28歳の時だ。趣味の食べ歩きで出合ったベーカリーに感銘を受け、それまで務めていた会社を退職した。そして日本パン技術研究所(東京・江戸川区)のパン職人養成口座「100日間コース」を受講。
 受講後すぐに就職したのが、当時は開店したばかりで現在は地域の名店として知られる東京・葛飾区の「ブーランジュリー オーヴェルニュ」だ。長岩さんは独立するまでここで8年半勤務。「最初は色々と迷惑もかけましたね。でも悩んでいる暇はありませんでした」と長岩さんは振り返る。
 パン職人としては遅めのスタートだったが、それでもみるみる頭角を現し、2009年には日清製粉主催の「リスドオル発売40周年記念パンレシピコンクール」で準大賞を受賞。その時の作品が、現在でも同ベーカリーが売れ筋として誇る「ディモンシュ」だ。職人としての自信もつけたが、「ブーランジュリー オーヴェルニュ」での終わり3年間はチーフ職も経験した。

地元で愛されるベーカリーを目指す
 独立の夢の実現の舞台として選んだ場所は、長年子供時代を過ごし育ったこの六会日大前駅エリアだった。この場所は、古くからの住民が住む一戸建てと、学生が住むアパートが入り交じり、空き地や耕作地が点在するなど、適度な緑も所々にみられる。都心や横浜方面にもアクセスは悪くないが、住民の多くはこの土地への愛着が強く、子供が独立しても親子2、3世代で続けて住むことが多いという。
 「パッパグラッセン」は、外観はこぢんまりとしているが、一歩中に入ると、意外にも中央部が広くゆったりとした空間が広がる。高齢者やベビーカーの客などが来店しても、歩きやすいようにと配慮された造りだ。入ってすぐ目に入る位置には、牛乳を15%配合し、しっとりとした食感で売れ筋の角食パン「パンカレ」(1斤230円)など5種類の食パンが並ぶ。ガラス張りの外側に面した窓の前の平台には「プチバタール」(180円)などハード系のフランスパンや「キャベッジフランク」(150円)などの総菜パン。この店で扱う総菜パンの野菜はこの近隣の農家でとれた産直品を使用しているという。「地産地消の地元素材を使うことで地域の活性化に貢献し、地元でおいしいパンを届けることで地域住民に喜んで貰えるような、そんなお店を目指しています」と話す長岩さん。



ハード系や菓子パンなども数多く並ぶ
総菜パンは地元の産直野菜を使用
全体的に木のぬくもりを感じさせる売場
「朝」という意味のふわふわ白パン「ルマタン」(190円)
品数によるボリューム感を出す
 店鋪は地域の人達が来やすい場所にするため、内装や雰囲気作りにも工夫を施している。木のぬくもりをメインに出した売り場には、1品1品が見えやすく品数のボリューム感を出せるように商品を並べ、入口からレジまでの購入の流れも意識。入口近くに食パンを置き、この店で一番の人気商品で「朝」という意味のふわふわ白パン「ルマタン」(190円)はレジ近くに置いた。ほぼコの字型にとり囲む形の厨房と隣接した奥の売場には、菓子パンの売れ筋や総菜パン、季節メニューのパンなどを置いた。菓子パン類では1番の人気商品という、コンクールで準大賞に輝いた「ディモンシュ」(150円)もここに並ぶ。しっとりとしたブリオッシュ生地をさくさくのデニッシュ生地で包んでおり、粉の香りとバターの風味が心地良い1品。野球ボールのような球形が印象的だ。
 接客の面でも地域住民とのつながりを深めるため、販売のスタッフにはなるべく積極的に客に話しかけるように言っている。「無駄話が大切です。お店に親しみを感じてもらいたいですし、周辺の情報も吸収できます。体が不自由な方が来られたら動作
を手伝うなど、細かい配慮も大切ですね」(長岩さん)。
 長岩さんの地元を愛する気持ちは熱い。起業時、自己資金のほか銀行から1500万円の融資を受けたが、その時に主張したのが「地元住民の需要に応える地域密着型のお店を作りたい」ということ。起業に協力的な父親や、厨房や販売の仕事を手伝う妻、同郷の友達や恩師などの励ましを受け、「これまでの恩返しをしたい」と強い信念で臨んだ。開店当日は多くの友人や知り合いが訪れ、応援してくれたという。 

立地条件の厳しさを補う様々な仕掛け
 「想定外のことは多々あります。自分が修行した店とは立地条件が違う点は身にしみました」と長岩さん。
 開店当初は特にチラシを配らず、ポスティングのみだったが、9、10、11、12月は目標以上の売上を達成。しかし年が明けて、寒さが厳しくなってきた頃、やや動きが鈍ってきた。修行した東京・葛飾区の店は役所や学校に囲まれた地域だったため平日も多くの客が訪れていたが、「パッパグラッセン」は平日と土日の売上が大きく違う点には戸惑った。「最初は勢いで伸びましたが、安定してくると販促の工夫がもっと必要なことがわかってきました」。駐車場を用意したため、土日は家族単位での客が売上を後押ししているが、平日や天候の悪い日は厳しい。
「1周年記念で、クイズで金券が当たる催しを実施しました。今後はこうした販促の企画も色々と取り入れていきます」。現在の客はリピーターが多く、やや固定化されてきている。立地の厳しさを補うため、さらに割引イベントや約5万枚のチラシ配布なども予定している。
 また将来的な計画としては「商品数を増やし、菓子類などももっと広げるなどやってみたいことはあります」と長岩さんは話す。「でもやっぱり一番大切なのは、お客様を裏切らない良いものを作ることです。日々の積み重ねを大切にしていきたいですね」。きっとそれが将来的には結果につながる――長岩さんはそう強く確信している。





SHOP DATA
店名:パッパ グラッセン(Pappa Glasen)
住所:〒252‐0813神奈川県藤沢市亀井野632‐5
電話番号:0466‐54‐8712
営業時間:午前9時〜午後7時
定休日:月曜、第2・第4火曜
品揃え:約80品目(うち季節限定商品20品目)
スタッフ:製造1〜2人、販売1〜2人
店舗面積:厨房13坪、売り場9坪
月商:160万円





原価計算女王
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