新年特集 リテールの意気込み / The Spirits of Retail Bakeries - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
特集/2014年1月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


新年特集 リテールの意気込み

The Spirits of Retail Bakeries
ツオップのオーナーシェフ、伊原靖友さん
ロンヌジャポンの田島浩太社長
ブーランジュリー オーヴェルニュのオーナーシェフ、井上克哉さん
ツオップの店の前には人の列が絶えない
以前の店舗と同じ敷地内に新しく建設した「クーロンヌ とりで」
 パンを作って販売するリテールベーカリーは、消費者の舌がどんどん肥えていくなかで、より高度な技術と接客が求められるようになっている。「そこでしか手に入らないもの」がないベーカリーには、もはや消費者は足を運ばなくなった。「そこでしか手に入らないもの」は、オーナーシェフの信念やキャラクターによって、多種多様に変化するが、繁盛店のオーナーシェフの商売に対する意気込みの強さは、どの店でも共通している。



日々のパンの品質を安定させ、適正な価格での販売に努める - ツオップ
店の前には店内に入るのを待ち侘びる人の列が絶えない
オーナーシェフの伊原靖友さん
昼時、焼き込み調理パンの焼きたてが次々と並んだ
菓子パン系は、「小倉あんぱん」(70円)など、小ぶりで手頃な価格のものが多い
製造スタッフは売り場で頻繁に商品の売れ具合を確認していた
店内は、豊富な種類のパンと客でいっぱい
値上げにもメリハリをつける
 開業14年目を迎える千葉県松戸市のベーカリー「ツオップ」のオーナーシェフ、伊原靖友さんは、「ここ10年間は、店全体の雰囲気はあまり変化はないですが、売上げは順調に上がってきています。ですから、2014年も例年と同じように営業していきたいと思っています」と話す。
ここ10年間と言えば、日本経済は低迷し、原材料価格は上昇し続けている。そんな状況下だが、同店は堅調な営業を維持している。その理由を伊原さんは次のように
分析する。
 「販売価格の値上げは適宜行い、利益はしっかり確保できるようにしています。原材料価格の値上げによる調整だけでなく、特にこの10年間は、労働環境を改善する意味で、少しずつですが、適正な販売価格に近付けるように努めてきました。販売価格を値上げするときは、お客様にその理由について説明できるようにしておかなくてはいけません。ですので、原材料価格の値上げによる調整の際は、すべての商品を一律に値上げすることはしません。原価が上昇した商品の価格のみを調整するようにしています」
 例えばチーズの値上げがあれば、
チーズを具材のメインとして使っている製品のみの価格を上げる。しかし、小麦粉の数パーセントの値上げに対しては、製品1個あたりの価格に換算するとわずかな上昇なので、据え置きにする。
 今春消費税が8パーセントに上がることについては、プライスカードに本体価格を表示し、レジで消費税を加算するという仕組みで、客の混乱を防ごうとしている。こうすることで、本体価格は変化しておらず、消費税のみが上がったということを、誤解なく伝えることができるとの考えだ。

変化しないことの良さを追求する
 同店が堅調な利益を維持できている理由は、このような、利益に直接影響すると思われる数字上の対策だけではない。開業からこれまで、臨時休業をほとんど取らずに営業してきたという、日々の努力がある。4年前には、定休日も
廃止したので、正月と夏の休み以外は、4年間休むことなく営業している。
 「朝6時半から夜7時まで毎日開けています。行けば必ず開いているということは、お客様にとっての当店に対する安心感や信頼感に繋がりますよね。当店は、アクセスの良くない立地ですから、臨時休業をとることによるダメージは、かなりあります。無休営業となったのは、お客様に、負担をできるだけかけないことを目指した結果だと思います」(伊原さん)
 無休で営業している上、閉店に近い時間でも、ある程度の種類のパンが揃うようにしている。客には、いつ行っても期待を裏切らない店だということが定着している。同店は、こうした毎日の営業努力の積み重ねによって、客にとって、安心感と信頼感のある店になり得たのだろう。
 「一般的にお客様は、店や商品に対して変化を求めたがると思うのですが、当店は、変わらないことの良さを追求しています。それをいいと思って下さる方もいらっしゃいますからね。ブームを意識した新商品開発は、リテールとしてはなかなか難しいことだと思います。情報収集能力は、メーカーやコンビニなどにはかないませんから。そこで勝負するのではなく、やはり、一つの商品を作り込んでいくことが大事だと思っています」(伊原さん)
 また、同店はこれまで、季節のイベントや売り出しなどは行っておらず、2014年も行わない予定だ。毎日変わらず、安定した品質の商品を購入できる店づくりを続けていく。

開業塾でスタッフの就業意識が変化
 同店は2013年に、初めて取り組んだことがある。スタッフを対象にした「開業塾」だ。
 「開業を目指しているスタッフに、通常の業務だけでは習得できないことを学んでもらうために始めました。せっかく開業していいパンを作っているのにも関わらず、1、2年でなぜか閉店してしまう店が少なくありません。技術や感覚だけでなく、収支の管理など、経営者としての能力も身に付けてもらいたいと思っています。基本的なことなんですが、意外とその辺が弱いスタッフが多いですね。具体的な数字が見えてくると、開業後の店づくりや暮らし方がイメージできるようになってくるんですけどね」(伊原さん)
 開業塾の受講者には、意識の変化が見られるという。
 「いいパンを作るという、職人としての部分だけに留まらず、売っていくところまで意識が向けられるようになりました。例えば、今まではクリームパンが焼けたと
ころで関心が途絶えていたのに対し、その焼けたクリームパンのその後の行方を追えるようになるんです。どんな陳列の仕方なら売れるのかや、どんなお客様が購入していくのかなどの、販売に関することにも気を配ることができるようになります。職人としてだけではなく、パン屋としての意識を持つことができるようになるんです。こうしたスタッフ達の意識変化によって、当店全体の雰囲気がかなり向上しています」(伊原さん)
 初めてとなった今回の「開業塾」は、12人が受講している。
「仕事のスキルには個人差がありますが、普段の勤務では自分がどの程度なのかが見えにくいと思います。今回のように12人が足並みを揃えて学ぶ場があれば、各自足りない部分が見えてきて、課題を見付けることができると思います。また、メーリングリストを用いて、受講者全員の質疑応答の共有化をしています」(伊原さん)
 同店では8年前から、将来の希望を調査するアンケート用紙を年に1度、スタッフに配布している。開業する予定はあるか、あるとすればその時期はいつか、また、辞める予定があればそれはいつ頃かなどといった質問が書かれている。質問事項は少ないが、なかなか口頭では意思の疎通が難しい内容になっている。
 「お互いに話しづらいことなのですが、大事なことですね。雇う側としては人員確保のためにも重要なことですし、スタッフにとっては、事前に希望を告げておいた方が、精神的には働きやすいのではないかと思います。教えるべきこと、学ぶべきことが、期限を区切ることで、明確に見えてきます」(伊原さん)

ツオップ
住所:千葉県松戸市小金原2-14-3
電話:047‐343‐3003
営業時間:ベーカリーは午前6時30分から午後6時まで、カフェは午前7時から午後5時30分まで(ラストオーダーは5時)
定休日:なし(カフェは水曜)
品揃え:300品目
スタッフ:製造14人、販売7人、カフェ9人など
店舗面積:1階のベーカリーは売り場6坪、厨房15坪、作業場3坪、倉庫3坪、2階のカフェはホール10坪、厨房6坪、事務所3坪



売上げよりも顧客の支持率を上げる努力をする - クーロンヌ とりで
田島浩太社長
以前の店舗と同じ敷地内に新しく建設した「クーロンヌ とりで」
「クリームホーン」(120円)は、3年ほど前からの人気商品。購入時にクリームを詰めるのでサクサクの食感が楽しめる
クリームを詰めたばかりの
「クリームホーン」
2013年に新発売した「クーロンヌ」(600円)
「クーロンヌ」は、土産にも向く大きなリング状の商品
リニューアルで本社機能も付与
 茨城県取手市のベーカリー「クーロンヌ とりで」は、19年目を迎えた2013年、リニューアルオープンした。
 できるだけ休業期間を作らないよう、敷地内の空きスペースに新しい店舗を建設した。それによって、新店舗の建設中も従来店舗で営業を続けることができたため、約3週間休業するだけで、旧店舗から新店舗への引き継ぎが完了した。 
 同店を経営するクーロンヌジャポンの田島浩太社長は、本店の同店を含め、ベーカリー8店舗と、ピッツェリア、ペンションを1店舗ずつ展開している。
 田島社長はリニューアルした理由をこう話す。
 「本社機能を果たすためのスペースが欲しかったというのが一番の理由です。これまで事務処理は自宅兼事務所で行っていて、専用スペースがなかったんです。事務員は2人増員でき、3人体制になりました」
 建物の1階部分に売り場と厨房、2階に事務所や会議室、スタッフの休憩室などを設けた。
 会議室では週に1度、田島社長と各店舗の店長、マネージャーが集まって店長会議をする。週に1度と高頻度だが、毎回2時間半ほど要するという。
 「パソコンの社内連絡ソフトを使い、各店舗の情報は全店で共有できるようにしているのですが、実際に顔を合わせてミーティングをする意味は大きいと思います。連絡ソフトでは、売上げなど数字で表現される部分は分かるのですが、元気にやっているかどうかというのは、顔色を見るしかないですね。店長とは言え、元々店長の実力があってその役職に就いている訳ではありませんから、数字と顔色、両方を見て、サポートしていかなければいけないと思っています。また、各店の店長が、それぞれ抱えている問題を発表すると、意外とどの店舗も共通している部分があることが分かります。同じ状況下で頑張っている仲間がいるというのを知るだけでも、大分心強くなります。単独で悩んでいると行き詰ってしまうことがあります。情報を共有して互いに意見を出し合っていくことで、解決策が見えてくるかと思っています」(田島社長)

自らを省みて改善していく
 同店は19年間常に、前年比増の売り上げを達成している。それは、1年毎に売上げ目標を立てたからではなく、あくまでも結果だという。
「売上げのことは、当社では『支持率』と呼ぶようにしています。商品がどれだけ売れるかということは、お客様にどれだけ支持されているか、と言い換えることができます。儲けるという意識でいるより、支持率を上げるという意識でいる方が、お客様に喜ばれるためにはどうしたら良いかということを、考えやすいですね。支持率を上げていくために必要なことは、前年の自店、前日の自店を見ていくことです。他社の競合店と争うのではなく、目線を常に自店や自分に向けて日々改善していきます。こうして少しずつ改善していったことが、前年比増の支持率を生んでいるのだと思います。大きな目標はそんなには必要ありません。地道に一歩ずつ、日々良くしていくことが大切だと思っています」(田島社長)
 このように、少しずつでも確実に前進していくために欠かせないのが、毎日の社内連絡ソフトの更新や、週に1度の店長会議などだ。情報を共有する場を高頻度に設けていることが大きな力になっている。
 同社ではこれらに加え、全店舗の社員が参加するミーティングを月に1度行っている。
 「毎月1度、日曜の夜に閉店時刻を早めて、全店の約60人の社員が集まります。そこで、支持率に対しての人件費や材料費、光熱費などのデータを全店の社員が共有できるようにしています。各店を比較し、改善できる点がないかなどを話し合います。ミーティングの後は、食事会を行います。同期入社で互いに別の店舗に勤務しているスタッフたちもいますから、励まし合うことなどができ、有意義な交流の場になっているようです」(田島社長)



ハード系も充実している。ワインやビールと相性の良いパンも多い
リニューアル後も、以前の店舗とほぼ変わらない広さの売り場
長い目で見ると重要な商品の入れ替え
2013年、店名を商品名としたパン、「クーロンヌ」(600円)を発売した。大きなリング状で、土産にも向く商品だ。
 「クーロンヌ とりで」では、店内に入ってすぐの平台に、大きなPOPを付けて陳列している。POPには、「北海道牛乳、フレ
ッシュバター、厳選メープルシュガー使用」「香料、添加物ゼロ」と記載されている。
 「材料は自然のものに切り替えています。そんななかで開発したのが、『クーロンヌ』です。メープルの風味を出すのに、メープルシュガーを使った自家製クリームを練り込んでいます」(田島社長)
 住宅街にある同店。パンの焼成時に出る臭いで、近隣の住宅からクレームをもらうこともあるという。
 「臭いを緩和するためにも、できるだけ自然の材料を使った方がいいですね」(田島社長)
 個人店として顧客から信頼を得るためには、一層材料にこだわる必要があるという。
 ホテルや百貨店で食品偽装が多発した近頃、食品の材料に対する消費者の関心はより高まっていることだろう。
 「『クーロンヌ』のように、香料や添加物を使わず、自家製にこだわった商品を揃えていくためには、ある程度商品の入れ替えをしていかなければなりません。しかし、長い常連客の方からは、『食べ慣れている以前の商品の方が良かった』と思われてまうことも少なくありません。ですが、長い目で見ると、それでも商品を入れ替えていった方が、将来的にお客様から信頼される店になっていくのだと思っています。新規のお客様も増えるでしょうし、足が遠のいていたお客様も、その評判を聞いて来店してくださるようになると思っています」(田島社長)

クーロンヌ とりで
住所:茨城県取手市戸頭2‐12‐13
電話:0297‐78‐6321
営業時間:午前6時30分〜午後7時
定休日:水曜(水曜が祝日の場合は営業)
品揃え:100品目
スタッフ:製造14人、販売6人
店舗面積:売り場11坪、厨房20坪
月商:約800万円

スタッフの技術向上を念頭に置き2号店も同じ製造設備を導入 - ブーランジュリー オーヴェルニュ
オーナーシェフの井上克哉さん
京成電鉄立石駅から徒歩10分の住宅地にある「ブーランジュリー オーヴェルニュ」
イタリアの郷土菓子「スフォリアテッラ」(189円)は、クロワッサン生地で作る
バラの形を表現した「トルタ・デッレ・ローゼ」(273円)はブリオッシュ生地で作る
ハード系を中心に、菓子パンや調理パン、焼き菓子など幅広い品ぞろえ
新商品は入り口からすぐの平台に並ぶ。毎月5〜6品の新商品が出る
念願の2号店開業へ向け準備中
 東京・葛飾区に2003年に開業した「ブーランジュリー オーヴェルニュ」。10周年の節目を迎えた現在、オーナーシェフの井上克哉さんは、2014年2月にオープン予定の2号店の準備に勤しんでいる。
 「2号店は、開業して5年経った頃から視野に入れ始めました。スタッフが成長し、物件の確保ができ、10年たった今が2号店を出すタイミングかなと思いました」(井上さん)
 定休日をなくして無休にしたと同時に、スタッフを一気に3人増やしたのが、開業5年目の時。それを機に、同店はさらに軌道に乗った。そのような状況下で、2号店を考える余裕が生まれたという。
2号店となる「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」の場所は、本店の「ブーランジュリー オーヴェルニュ」から車で10分ほどだ。両店舗に行き来が頻繁にできるよう、バイクも購入した。
 「自分の目が行き届くようにするためには、両店舗が近場である必要がありました。商圏範囲はそれぞれ異なりますが、高齢者の多い住宅街であるという環境は共通しています」(井上さん)
 見込める客層がほぼ同じことから、パンの品揃えは、特に変えない予定だが、2号店では新たに挑戦するメニューがある。ナポリピッツァだ。
 「焼き込み調理パンなど、温かいうちに食べていただきたいパンは、よく出る昼時に合わせて焼き上げています。しかし、すべてのお客様が焼き上がるタイミングで来店されるわけではなく、2時から3時頃に来店されるお客様が手にされる頃には、どうしても冷めた状態になってしまいます。ナポリピッツァなら、注文を受けてから2〜3分あればトッピングから焼成まで行えますので、無理なく、お客様一人ひとりに、焼きたてのおいしさを味わっていただけると思ったんです」(井上さん)
 井上さんが、展示会で電気式のナポリピッツァ専用窯に興味を持ったのは約3年前。それから2号店の構想が具体的に膨らんでいったという。
 2号店の店舗の大きさは、本店の約2倍で、設備費など開業費用も約2倍かかったという。
 パンの品目数はほぼ同じ予定で、陳列スペースの広さも変わらない。したがって売り場の規模は同程度だが、2号店では、本店にはないイートインスペースと駐車場を設ける予定となっている。
 「イートインスペースをつくることは念願だったので、物件探しの時からそのスペースが取れる場所を探していました。カウンター席とテーブル席合わせて24席用意する予定です。焼きたてのナポリピッツァを、厨房にある窯から、イートインスペースへ直接運べる窓口も設けます」(井上さん)
2号店のイートインの主力メニューとして予定しているのは、ナポリピッツァとパンのセットだ。
「売り場で選んでもらったパン1〜2個と、ナポリピッツァやパニーニ、ドリンクとをあわせて、ランチに利用していただけたらと思っています。ナポリピッツァだけでなく、パンも召し上がっていただきたいので、ナポリピッツァの生地重量は、少し小さめの200グラムくらいにして調節しようと思っています」(井上さん)

両店舗で同じ厨房環境を用意する
 2店舗間の距離が近いので、効率やコストを重視すれば、パン生地や製品を配達し合うということも考えられるだろう。しかし、井上さんは、そのような計画は立てていない。それぞれの店舗内でやり切ることを念頭に置き、2号店でも、本店と同じ種類のパンを製造できるよう、同様の厨房設備を整えた。理由は、スタッフの技術力を向上させることを重視しているためだ。
 「厨房の環境によって、両店舗のスタッフの間で、技術力に差が出来てしまってはいけないと思いました。両店舗が同じように、製造販売をしていくことで、すべてのスタッフが平等にチャンスを得ることができます」(井上さん)
 2号店の開業にあたり、スタッフは新たに12人増え、そのうち半数ずつが各店に就く。現在いる10人のスタッフも5人ずつ各店に分かれる。中には9年目や6年目のベテランスタッフもおり、新人のフォローも期待される。
 「現在いるスタッフにとっては、教える機会が増えることになりますので、さらなる成長ができるのではないかと思います」(井上さん)

ランチ用に人気のある「オニオンブレッド」(380円)などの焼き込み調理パン
イタリアのパンや菓子を揃える
 本店の店名の「ブーランジュリー オーヴェルニュ」はフランス語だが、2号店の「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」には、「食卓」という意味のイタリア語が使われている。
 ナポリピッツァを提供する店として、イタリアの雰囲気を出していきたいという思惑がある。さらにナポリピッツァだけでなく、イタリアの郷土菓子もいくつか展開していく。
 イタリアの郷土菓子は現在、本店でも販売している。パリパリの食感が特徴の「スフォリアテッラ」(189円)や、バラを模した形の「トルタ・デッレ・ローゼ」(273円)などだ。
 「『スフォリアテッラ』は本来ラードを使った専用生地を使用するのですが、クロワッサン生地で作れるようにしました。折込回数を増やしてパリパリ感を出します。『トルタ・デッレ・ローゼ』は、ブリオッシュ生地で作ります。どちらも無理なく作れるアイテムです」(井上さん)
 本店では、新商品を毎月5〜6個発売。スタッフは10人なので、平均すると1人あたり2カ月に1製品は開発することになる。原価計算をしたり製品のコンセプトを考えたりすることは、普段の業務では得られない貴重な経験だ。今回のイタリアのパンの導入や、500度Cの高温が出せるナポリピッツァ専用窯の導入などによって、スタッフの商品開発の幅を広げることができるだろう。

ブーランジュリー オーヴェルニュ
住所:東京都葛飾区立石6‐5‐7
電話:03‐3691‐5102
営業時間:午前7時〜午後7時30分
定休日:なし
品揃え:180品目
スタッフ:製造と販売10人
店舗面積:売り場4・5坪、厨房16・5坪、折り込み室7坪
月商:900万円

原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら